こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
あなたは、ロボットと聞いてどのようなものを思い浮かべますか?実はロボットと呼ばれるものには、次の3種類があります。
- 家庭用ロボット
- サービスロボット
- 産業用ロボット
今回はその中の産業用ロボットに焦点を当て、どのような種類のものがあるのかということについて紹介していきましょう。産業用ロボットの利用方法は多岐に渡るので、ロボットの種類も多いというイメージかもしれません。実際はどうでしょうか。
本記事では、産業用ロボットの種類とそれぞれの特徴や利用方法など、導入事例についても紹介しています。これから産業用ロボットの導入を検討するという場合は、ぜひ記事をご覧になって導入後のイメージを掴んでください。
もくじ
産業用ロボットの種類と導入事例
現在は国内・海外で多くの産業用ロボットが製造されています。それぞれのロボットメーカーによって大型のロボットや、小型のロボット、あるいは複雑な動きをするロボットなど、それぞれに特長があるので興味深いところです。
そう考えると、非常に多くの種類の産業用ロボットがあるように思えますが、実は分類すると次のような6種類。意外と少ないと感じたのではないでしょうか。
- 直交ロボット(2~6軸)
- 垂直多関節ロボット(4~7軸)
- 双腕型ロボット
- 人協働ロボット
- 水平多関節ロボット(スカラロボット)
- パラレルリンクロボット
大きな分類としては、上記1~4を垂直多関節型ロボットということで1つのグループに分類することもできます。また、直行ロボットを別と考え、2~4を垂直多関節ロボットと考える場合もあります。したがって、大きく分類すると3種類、もしくは4種類となり、細かく分類すると6種類の産業用ロボットがあるという認識です。
それでは、それぞれの産業用ロボットはどのような特長があるのか、事例と共に解説していきましょう。
最も基本的な産業用ロボットは直交ロボット!1軸でも?
まず、最も基本的な産業用ロボットが直交ロボットです。直交ロボットとは、X軸、Y軸、Z軸の直交するスライド軸を組み合わせたロボットのことを言います。一般的には2軸以上のスライド軸が直交するロボットのことを言いますが、1軸のロボット(単軸ロボット)も含む場合があります。
直交ロボットのメリットは安価なので手軽に導入することができる点でしょう。制御プログラムについても比較的容易で、命令も多軸ロボットのように複雑ではありません。では、直交ロボットはどのような工程に利用されるのでしょうか。
直交ロボットは産業ロボットとしては小型のものが多く、小さな部品の組み立て工程や搬送工程が主な用途となります。参考として、下記の動画を御覧ください。動画はプリント基板の組み立ての工程のシミュレーションです。
直交ロボットの具体的な事例としてはいかのようなものが挙げられます。
- 部品の組付け
- 小物の搬送(Pic & Place)やパレタイジング
- 繊細な物(豆腐など)の搬送
- デュアルドライブを応用した工程間搬送
- 接着剤の塗布工程
実際には1つの軸に対して複数の直交軸のあるロボットや安定した搬送を行うために門型になっているタイプを利用される場合もあります。
また、直交ロボットを使用することで、ある程度複雑な動作も可能です。しかし、そのための機構が複雑になることが多く、複雑な動作には不向き。そのような場合には、垂直多関節ロボットやスカラロボットなどに置き換える方が良いでしょう。
産業用ロボットのイメージは垂直多関節ロボット!
産業用ロボットには様々な種類のものがありますが、その中でも「産業用ロボット」というイメージが強いのが垂直多関節ロボットでしょう。 垂直多関節ロボットは人間の腕のようなロボットをイメージして頂ければわかりやすいと思います。垂直多関節ロボットの関節としては、次の4つ。
- 腰
- 肩
- 肘
- 手首
上記の4つの関節を4~6軸のサーボモーターによって人間の腕のように動かすので、実に複雑な動作が可能です。ただし、複雑な動作を行うには、複雑なプログラミングが必要。ロボットを使いこなせる技術者がいなければ導入しても失敗する可能性があるので注意してください。
下記の動画は日産自動車九州の自動車製造ラインです。ファナック製の垂直多関節ロボットが所狭しと並べられ、複雑な動作を行っている様子が良くわかります。
垂直多関節ロボットの具体的な事例としては、以下の通りです。関節が多いほど複雑な動作が可能になるというイメージで捉えるとわかりやすいでしょう。
- 4軸:搬送・パレタイジングなど
- 5軸:搬送・パレタイジング・塗装など
- 6軸:溶接・組立・塗装など
- 7軸:特に狭所での溶接など
垂直多関節ロボットは最も自由度の高い産業用ロボットの種類であり、需要の高いロボットです。ただし、導入時にはロボットを扱う技術が必要なことと、導入費用が高額になることを考慮して検討する必要があります。
そして、垂直多関節ロボットを両腕として使用しているのが、双腕型ロボットです。
両腕が使える双腕型ロボットで複雑な動作も可能に!
前述の垂直多関節ロボットは片腕のように見えるために、別名「単腕型ロボット」とも言われます。そして、両腕になったものが「双腕型ロボット」です。 アームが2本になることで、1台のロボットでより複雑な動作が可能になりました。
ただし、プログラミングについてもより複雑になることは明らかなので、導入に際しては注意が必要です。
下記の動画は2台の垂直多関節ロボットが組み合わさったものですが、中には垂直多関節ロボットではなくスカラロボットが2台組み合わさった双腕型ロボットもあります。
双腕型ロボットの導入事例としては下記のような工程です。
- 電子部品のハンドリング
- 金型のハンドリング・清掃
- メッキ塗装のハンドリング
- 化粧品の袋詰め
動画で紹介されている双腕型ロボットは比較的大きなロボットですが、よりコンパクトになった種類もあります。それが人協働ロボットです。
狭い場所にも設置できる人協働ロボット
人協働ロボットは「人と協働できるロボット」というコンセプトを元に作り出された産業用ロボットです。人協働ロボットの最大の特長は軽量で安全な産業用ロボットという点。安全策が不要で、人とロボットが同じ場所で作業ができるというのは、場所が狭くて大きな設置場所を確保することができない場合に重宝します。
実際の人協働ロボットの導入事例としては、以下のような工程です。
- 自動車部品の組み立てやねじ締め
- 検査工程
- 板金プレス作業
- 装置間の製品の出し入れ
- ロボットから人への製品の受け渡し
それでは続いてスカラロボットについて見ていきましょう。
水平多関節ロボット(スカラロボット)
水平多関節ロボット(スカラロボット)とは、複数の回転軸とアームを持ち、先端部がZ軸方向に動作するロボットのことを言います。特徴としては、水平方向の動作がメインとなるため、複雑な動作ができないという点です。しかし、機構も動作も複雑ではないため、ロボット自体の導入費用は比較的安価となります。
また、省スペースで設置可能な点も大きなメリットと言えるでしょう。ただし、動作の自由度が低いので複雑な動作はできません。したがって使用できる工程は限られます。
下記の動画はボトルを搬送するという工程です。ボトルの向きを判別して搬送するという、制御的には難しいことをしています。しかし、動作だけを見た場合は単純な動きをしていることが理解できるのではないでしょうか。
水平多関節ロボット(スカラロボット)が実際に利用されている事例としては次のような工程です。
- 小物部品の組付け
- 部品のピッキング
- 部品の挿入やネジ締め
では続いて比較的新しい種類の産業用ロボットであるパラレルリンクロボットについて解説しましょう。
高精度・高性能なパラレルリンクロボット
パラレルリンクロボットはメーカーによっては「ゲンコツロボット」とも呼ばれている、比較的新しい種類の産業用ロボットです。従来型の産業用ロボットのデメリットを改善するために用途を絞ったロボットと言えます。パラレルリンクロボットの主な特長は次の4点。
- 高精度
- 高速
- シンプルな機構
- 狭い作業領域
参考となる動画がありましたので、ご覧ください。
パラレルリンクロボットの導入事例としては、『小物の仕分け作業』がほとんど。コンベア上に不規則に並べられた製品や部品を仕分けて別の場所に置くという工程です。仕分け工程では瞬時にワークの向きや種類を把握する必要があるので、ビジュアルセンサーが必須となります。
仕分け作業に関しては別記事にて詳しく解説していますので、下記リンク記事を参考にしてください。
>>不規則に配置された柔らかい製品の仕分作業を高速ロボット化!ーロボット導入事例8
最後に
今回は産業用ロボットにはどのような種類があるのかということについて、事例を交えて紹介しました。
産業用ロボットは現在のところ下記の6種類となっています。
- 直交ロボット(2~6軸)
- 垂直多関節ロボット(4~7軸)
- 双腕型ロボット
- 人協働ロボット
- 水平多関節ロボット(スカラロボット)
- パラレルリンクロボット
ロボットの種類によって長所と短所があるので、産業用ロボットの導入を検討するときにはどの種類のロボットをどの工程に使うべきかということをよく考えましょう。
極端に言うと、直線的な動作で十分なところに多関節ロボットを使用する必要はありません。むしろ動作が複雑になったり、コストも大きくなるのでデメリットの方が大きいでしょう。
産業用ロボットは適材適所に使用することで導入目的を達成することができます。
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