こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
ロボットシステムを構築したいと思っているのですが、何から始めれば良いのかわからなくて。
製造DX.comでは今までに多くのお客様のロボットシステム構築を支援してきましたが、このようなお客様は非常に多い印象です。
特に製造業においては職場環境の改善や省力化の為にロボットシステム構築を検討している企業が増えてきました。しかし、何から始めれば良いのかわからずになかなか取り掛かれないという企業が多いのが現状です。その要因として、自社だけでロボットシステムを構築するのはかなり骨の折れる作業だということが挙げられます。
したがって、ロボットシステムを構築されているほとんどの企業はSIerと協力して実現するという方法を取ることが多いでしょう。しかし、SIerに依頼するとしても、大まかな流れを把握しておかなければロボットシステム構築後の生産計画を立てることも難しくなります。
そこで、本記事ではロボットシステム構築の流れについて、どこよりもわかりやすく解説しました。現在ロボットシステム構築を検討されている場合には、とても参考になる記事となっています。
ぜひ最後まで記事をご覧になり、ロボット導入の参考にしてください。
もくじ
ロボットシステム構築の流れ!6つのステップで本格稼働まで!
ロボットシステム構築には、十分な検討を行ったうえでロボットSIerと共同作業を行うことになります。その流れとしては以下の6つのステップです。
- 事前検討・企画構想
- 仕様定義
- 設計
- 製造
- 本稼働
- 保守・点検
では、それぞれについて詳しく解説していきましょう。
ロボットシステム構築の事前検討と企画構想!
ロボットシステム構築を行う場合、経営者が取り組むことが必要です。具体的には以下のようになります。
- ロボット導入イメージを把握する
- 現状の問題点を洗い出す
- ロボット導入目的を明確にする
- どのような工程でロボットを活用するかの検討
- 検討チームの立ち上げ
まずはロボットの導入イメージを把握しなければなりません。そして、現状の生産状況や設備の稼働状況などを調査して課題点・問題点を洗い出します。
課題点・問題点が明確になれば、ロボット導入目的も明確にすることができるでしょう。たとえば、省力化や稼働率、生産品質の向上などです。
そして、ロボット導入目的が明確になれば、工程やロボットの活用方法についての検討段階に入ります。検討する場合には、専属メンバーを決めてチームとして活動していくことになるでしょう。
ロボットシステムの仕様定義
事前段階を経て検討段階に入ったら、続いてロボットシステムの仕様定義が必要となります。主に必要となる仕様書は以下の通りです。
- 見積仕様書
- 機械設計仕様書
- 制御設計仕様書
仕様書の作成については、別記事にて詳しく解説していますので、下記の記事を参考にしてください。
>>ロボット導入における3種類の仕様書作成!参考例でラクラク完成!
この時点では、ある程度の全体レイアウトやロボットが担う工程・作業などについては完成形のイメージができていなければなりません。
更に、提案依頼書(RFP)についても準備しておきましょう。RFPはSIerに依頼する場合に無くてはならない文書です。
ロボットシステムの設計!基本構想から詳細設計まで!
続いてロボットシステム構築に必要となる仕様書・RFPに従って設計を行います。設計は主に次の2種類です。
- 機械設計
- 電気(制御)設計
まずは基本的な部分の設計に取り掛かります。そして、その後に詳細設計という流れ。ある程度機械設計が進められると、電気関係の設計についても着手が可能です。
また、設計と同時に運用とロボットシステムの能力の妥当性についても検証しなければなりません。もし、求めている能力が得られないと判断された場合には、その時点で仕様変更などの手続きが必要となります。
ロボットシステムの製造と試運転調整!
設計が完了すると、ロボットシステムの製造となります。まずは部品の製造、購入品の手配です。電気関係では制御盤の製作から取り掛かります。また、装置の組み立てと同時に電気配線にも着手することになるでしょう。
設計直後から装置の組み立てが完了するまでには最低でも2~3ヶ月が掛かるので、その期間を利用してシステム全体の制御プログラムやロボットのプログラムを作成しなければなりません。
その後、ロボットシステムとして全体が組み上がったところで試運転の開始となります。試運転としては、部分的なユニットでの試運転を行い、その後に全体での試運転という流れです。
いよいよ本稼働!ロボットシステム構築完了!
全体での流動ができるようになり、仕様通りの生産が可能となればいよいよ本稼働です。この時点でロボットシステムの構築は完了となります。
ただし、ロボットシステムとしては、この時点で完璧な状態とは言えません。それは、必ず保守・点検という作業が発生するからです。
ロボットシステムの保守・点検で安全に長期間の利用も可能!
ロボットシステム構築後には保守・点検業務が必要となります。ロボットシステムは機械なので必ず故障するのは仕方がありません。したがって、故障を定期的な点検によって早期に発見して対処することが必要となります。
故障などを早期に発見するには、IoTを利用して「見える化」に取り組むことをおすすめします。IoTについては別記事に詳しく記載しているので、下記リンク記事を参考にしてください。
>>製造業のIoTソリューション事例!3つのメリットと導入遅れの原因
以上、ロボットシステム構築の流れについて解説してきました。
しかし、上記の流れでロボットシステムを構築できたとしても、成果を挙げることができないこともあります。そこで、成果を挙げる為にはどのようなことに注意すべきかということについて考えてみましょう。
ロボットシステム構築で成果を挙げるための4つの注意点
ロボットシステム構築で成果を挙げるための注意点としては主に次の4点です。
- 適切なロボットの選定を行う
- ロボット本体だけでなく付帯装置についても検討する
- 安全性の確保
- 人材育成
それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。
ロボットシステム構築に適切な選定が必要
産業用ロボットは大きく分類すると6種類ですが、実際に選定する場合にはその状況に応じて無数の選択肢があります。その中から、目的を達成するのに最適なロボットを選定しなければなりません。
たとえば、どんなことにでも対応できる高機能の多関節ロボットをロボットシステムに組み込むことは簡単です。しかし、実際の用途を考慮すると、高機能な多関節ロボットは不要となるケースがあります。当然、複雑な動作が可能なロボットは高額なので、利用用途に応じたロボットを選定することが重要でしょう。
予算的に余裕があるのなら気にする必要はないかもしれませんが、メンテナンスのことも考慮すると可能な限り機能の少ないロボットを使用するのがおすすめです。
単軸や2軸程度のロボットならエアーシリンダーやロボシリンダーなどに置き換えた方がコストを抑えることができます。多角的な視野で検討して、システム全体での成果が挙がるようにしてください。
ロボットの種類ついては別記事に記載しているので、下記リンク記事を参考にしてください。
>>産業用ロボットは6種類!それぞれの特徴と導入事例も紹介!
ロボット本体だけでなく付帯装置についても検討する
ロボットシステムの構築はロボットだけでは成り立ちません。たとえば、ロボットの付帯設備としてビジョンセンサや画像処理などが必要な場合があります。また、ワークを掴むのか、何らかの組み立てを行うのかということによって、ロボットハンドの形状も異なるでしょう。
更に、ロボット以外でワークの搬送に必要なユニットなども必要かもしれません。
したがって、ロボット本体だけでなく、付帯装置についてもレイアウトや各々の機能などを検討しなければなりません。安易に考えてしまうと成果が挙がらないロボットシステムとなってしまうので注意が必要です。
ロボットシステム構築での安全性確保
ロボットシステム構築時に重要となるのは安全性の確保です。近年、協働ロボットの導入が増えてきました。したがって、安全性については以前ほど難しく考える必要はなくなってきたというイメージもあります。しかし、ロボットの性質上、やはり安全性の確保は最重要項目です。
ロボットの安全に関しては国際規格などもあるので、十分な検討が必要となります。
協働ロボットに関しては下記の記事を参考にしてください。
>>省スペースで導入可能!安全柵不要で人と一緒に働ける協働ロボットのメリットとは?
ロボットシステムのメンテナンスには人材育成が必要!
ロボットシステムはシステムを構築して終了ではありません。必ず保守・点検作業が必要となります。つまり、保守・点検作業ができる人材が必要です。ロボットシステムの保守・点検作業の為に外部から人材を確保することも可能ですが、できれば社内の人材を教育して育成することをおすすめします。
人材を育成することこそ、ロボットシステム構築で成果を挙げる条件でしょう。
最後に
本記事ではロボットのシステム構築の流れについて詳しく解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
ロボットシステム構築の流れは以下の6つのステップです。
- 事前検討・企画構想
- 仕様定義
- 設計
- 製造
- 本稼働
- 保守・点検
ただし、上記の手順に沿ってロボットシステムを構築しても、必ずしも成果が得られるとは限りません。成果を挙げる為の注意点としては、次の4点です。
- 適切なロボットの選定を行う
- ロボット本体だけでなく付帯装置についても検討する
- 安全性の確保
- 人材育成
また多くの企業では、ロボットシステム構築はSIerと協力して立ち上げていくことになります。
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