こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
世の中は5Gですよね。
ずっと5ギガだと思ってました。ちなみに、僕のスマホは5G(ギガ)プランです。
ギガと混同するって話も良く聞きますが、こちらはジェネレーションの方です。
実は製造業界でも5Gが話題。これからの製造業はローカル5Gの時代ですよ!
製造業界では無線通信での信号のやり取りが増えてきました。装置間であったり、生産管理情報とのやり取りであったり。そんな製造業の無線通信でも、最近大きな変化があったようです。
それが、ローカル5G。スマートフォンの電波が5Gになったのと同じように、工場内でも無線通信で5Gの電波が利用可能になっています。
そこで、今回は下記3点について詳しく解説しましょう。
- 製造業でのローカル5Gの活用方法
- ローカル5Gとはどのようなものか
- ローカル5Gの導入手順
これからはローカル5Gの時代。本記事は既に無線通信を使っている製造業の方も、無線通信の導入を検討している担当者の方も知っておいて損は無い情報です。
ぜひ記事を最後までご覧になり、今後の製造業界の発展に活用してください。
もくじ
製造業におけるローカル5Gの活用効果
令和2年の総務省の調査では、全国の製造業の70.%の企業が工場内で無線通信を導入しているということがわかりました。
製造業におけるローカル5Gの活用によって、どのような効果が得られるのでしょうか。総務省の調査によると、製造業では無線通信を活用することで下記のような効果が得られるということがわかりました。
- 業務の効率化
- ノウハウの継承
- 設備の生産性向上
- 省配線による断線リスクの低下
- 管理の効率化
- 設備の稼働効率向上
- 製造工程の適正化(待ち時間削減)
- 製品の品質向上
上記は無線通信に関するアンケートですが、ローカル5Gも無線通信の一つです。しかも、最先端の無線通信ということになります。
よって、ローカル5Gを活用することで、より大きな効果が得られるでしょう。
それでは、具体的にローカル5Gが製造業にどのような効果をもたらすのか考えてみましょう!
ローカル5Gの活用で製造業の業務効率化が可能!
ローカル5Gを活用することで、製造業の業務効率化が可能です。効率化が可能な業務は多岐にわたりますが、総合的に考えた場合はスマートファクトリー化という結論に至ります。
具体的なスマートファクトリーの事例については、『国内スマートファクトリー5つの具体的事例!メリットも詳しく解説』の記事をご覧ください。
スマートファクトリーはデジタルデータを活用することで業務の効率化・品質・生産性の向上を行うという取り組みが必要となります。そして、デジタルデータを活用するのに必要不可欠なのが通信です。
通信には「有線」と「無線」がありますが、近年様々なところで活用されているのがローカル5Gに代表される無線通信でしょう。無線通信は配線が不要なことから、配線工数と断線などの故障リスクを軽減できます。
ローカル5Gを活用すれば故障リスクが軽減されるだけではありません。設備保全という点においても良い効果が得られます。
ローカル5Gが工場設備の予知保全に効果を発揮
工場内の設備をローカル5Gで接続することによってリアルタイムで遠隔地との情報共有ができるようになります。
情報共有が円滑にできるので、生産状況や装置の稼働状況も瞬時に把握可能。遠隔地にある工場の状況まで遅延なく把握できるようになります。
たとえば、何らかの変化が起こった場合には遠隔地から直ぐに点検・監視を実施し、原因を突き止めることができるでしょう。データを蓄積することで、保全予知につながります。
また、ビッグデータの送受信もできるので、高精度映像を見ながらの技術指導や動作解析も可能です。
このように、工場設備の予知保全ができることは大きなメリットと言えます。よって、ローカル5Gを活用することで、安定した設備稼働が実現可能です。
ローカル5G活用で多くの装置との同時接続が可能に!
ローカル5Gにおける同時接続台数の規格は1km²で100万台という目標値となっています。
目標値なので実際に100万台接続可能か否かは現在のところ不明です。しかし、途方もない台数が接続可能ということはわかっていただけるでしょう。では、接続台数が多いことでどのようなメリットがあるのでしょうか。
実は、Wi-Fi接続のようにアクセスポイントを設置しなくても1つのネットワークで多くの装置・機械を接続できることになります。
具体的な事例では、長距離搬送に自動走行ロボットAGVの使用が挙げられます。常に移動し続けているAGVも、ローカル5Gを活用することで通信接続が途切れる心配がありません。
AGVについては、下記の記事『搬送工程に今後必須!自動走行ロボットAGV・AMRの種類と特徴を紹介!』も参考にしてください。
ローカル5Gが凄いのはよくわかりましたが、他の無線通信とはどのような違いがあるのでしょう?
ローカル5Gとは?製造業におすすめする3つの理由!
ローカル5Gとは具体的にどのようなものでしょうか?わかりやすくする為に、その他の無線通信との違いについて解説しましょう。
また、製造業でローカル5Gの利用をおすすめする理由についても詳しく解説します。
ローカル5Gとは?自営利用できる無線通信システム!
テレビでよく耳にする「5G(ファイブジー)」は通信キャリアが展開する無線通信のことです。Gは「Generation」の略。つまり、第5世代の無線通信を表しています。5Gの大きな特長は次の3点。
- 高速で大容量の通信ができる
- 信頼性が高く低遅延の通信ができる
- 多数の機器に同時に接続ができる
そして、これらの特長はローカル5Gにも当てはまります。ただし、ローカル5Gは、通信キャリアの5Gとは別のもの。企業や自治体で自営利用が可能な通信システムとなります。
実は、ローカル5Gは社内のネットワークとは異なり免許の取得が必要です。
総務省でローカル5Gの免許申請が始まったのが2019年12月24日でした。企業や教育機関の中には、既に免許を取得しているところもあります。(出典:総務省『5G・ローカル5Gの普及・高度化に向けた取組』)
同じ5Gの中にもローカル5G以外のネットワークがあります。それは次の2種類。
- パブリック5G
- プライベート5G
これらはローカル5Gと混同しやすいので、ローカル5Gとの違いについて簡単に解説しておきましょう。
パブリック5Gとは?通信事業者が展開する移動通信システム
パブリック5Gは通信事業者が展開する第5世代の移動通信システムのことを指します。
通信事業者とは、下記のような企業です。
- ソフトバンク株式会社
- KDDI株式会社
- 株式会社NTTドコモ
パブリック5Gのサービスが開始されたのが2020年3月でした。ただし、2022年2月現在ではまだ整備されていないエリアが多い状況です。今後全国的にエリアが拡大されることが期待されますが、どこでも利用可能という状況までにはまだ時間が掛かるでしょう。
プライベート5Gとは?企業独自の5Gネットワークの構築が可能!
プライベート5Gは、ローカル5Gと同じように企業や自治体が独自のネットワークを構築できる通信システムです。ただし、通信事業者が持つ周波数帯を用いるという点がローカル5Gとは大きく異なります。
また、ローカル5Gを使用するには免許が必要となりますが、プライベート5Gは免許不要です。
では、どうしてローカル5Gを利用するのがおすすめなの?
製造業にローカル5Gをおすすめする3つの理由
無線通信の方法はいくつもありますが、その中でも製造業がより多くのメリットを感じるのがローカル5Gです。では、製造業にはどうしてローカル5Gがおすすめなのでしょうか。
製造業にローカル5Gがおすすめな理由は下記の3点です。
- 通信速度が速い
- 周波数帯域が広いので他の電波と干渉しにくい
- 伝送距離が長い
上の画像は各通信規格毎に通信速度と通信距離の関係を表示した図です。図を見ていただくとよく分かると思いますが、5G/ローカル5Gは通信速度が速く、通信距離も長いという特長があります。
具体的な仕様の違いについては、下記の表を参考にしてください。
通信方式 | 周波数帯域 | 無線区間伝送速度(理論値) | 遅延(規格値) | 伝送距離 |
Wi-Fi | 2.4GHz・5GHz | 9.6 Gbps | – | 数十m |
Bluetooth | 2.4GHz | 2 Mbps | – | 10m-100m程度 |
4G | 3.5/3.4/2.0/1.7GHz,800MHz | 1.0 Gbps | 10ms | 約1~5km |
キャリア5G | 3.7/4.5/28GHz | 20 Gbps | 1ms | 3.7/4.5GHz:数百m~1km 28GHz:数十m |
ローカル5G | 4.6-4.9/28.2-29.1GHz | 20 Gbps | 1ms | 4.6-4.9GHz:数百m~1km 28.2-29.1GHz:数十m |
表を見るとわかるように、ローカル5Gの通信速度(無線区間伝送速度)は20Gbpsです。4Gの通信速度と比較すると、4Gの速度1Gbpsに対してローカル5Gの通信速度は20倍の速さということになります。
つまり、現在1秒間掛かっていた通信内容が、理論上はたった3秒で完結してしまうということです。驚きの速さではないでしょうか。
また、周波数帯域が広いことも大きなメリットです。工場内は様々な装置があり、無線通信と電波干渉を起こすことも少なくありません。
たとえば、Wi-Fiの2.4GHzの電波はリモコンの電波や電子レンジの電磁波に干渉するので通信が途切れることもあります。したがって、他の装置と電波干渉を起こさない周波数帯域を使用できるローカル5Gを活用するべきでしょう。
更に伝送距離の問題もあります。特に広い工場や大きな設備では伝送距離が長い方が安心です。その点、ローカル5Gの伝送距離は数百mから1kmなので、十分な距離と言えます。
工場内で使用する無線通信は「ローカル5Gが最強」ということがよくわかりました!
しかし、実際にローカル5Gを導入するにはどうすれば良いのでしょうか?
【製造業編】ローカル5Gの導入方法!
製造業がローカル5Gを導入する手順としては、次の7つのステップとなります。
- 導入目的(現状の課題・実現したい将来像)を明確にする
- 導入・運用体制の検討
- 導入計画の策定(実施事項・スケジュールの調整)
- 環境構築(機器の選定・調達、無線環境の確認・ソフトウェアの開発)
- 干渉調整(携帯電話事業者・ローカル5G基地局との干渉を調整)・免許申請
- 機器の導入・設置工事
- 保守・運用
特に免許の申請に関しては、工事設計書や無線設備系統図など多くの書類が必要です。免許申請に関するご相談もお気軽に製造DX.comまでお問い合わせください。
ローカル5G導入時の注意点としては、障害物に気をつけるということでしょう。工場には電波を妨害する金属などの障害物が多いので、電波伝搬シミュレーションを行う必要があります。実際にローカル5Gを運用し始めてから電波が届かないのは大きな問題です。
ローカル5Gの導入には、事前準備をしっかり行ってから取り組んでください。
ローカル5Gの活用で製造業は生産性向上!
本記事では製造業におけるローカル5Gの活用について詳しく解説してきました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
ローカル5Gは通信事業者が展開しているパブリック5Gとは異なり、企業や自治体の自営利用が可能な通信システムです。ただし、ローカル5Gを使用するには、免許の取得が必要。
ローカル5Gを製造業が活用することで、次のような効果が得られます。
- 高速で大容量の通信により業務効率化が可能
- 工場設備の予知保全に効果的
- 多くの装置・機械と同時接続が可能
上記のように、ローカル5Gは他の無線通信よりもメリットが多いのは確かです。したがって、既に無線通信を利用している事業所も今後はローカル5Gに切り替わっていく可能性が高いでしょう。
ローカル5Gの導入手順としては、次の7ステップです。
- 導入目的(現状の課題・実現したい将来像)を明確にする
- 導入・運用体制の検討
- 導入計画の策定(実施事項・スケジュールの調整)
- 環境構築(機器の選定・調達、無線環境の確認・ソフトウェアの開発)
- 干渉調整(携帯電話事業者・ローカル5G基地局との干渉を調整)・免許申請
- 機器の導入・設置工事
- 保守・運用
御社でもローカル5Gの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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