こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
この前、「ツインズ」って映画を観たんですよ。ツインズっていうからそっくりな双子が出てくる物語だと思っていたのですが、全然違いました。
双子って言っても、一卵性でないと似ていないこともありますね。
でも、安心してください。デジタルツインは完全な一卵性双生児なので!
製造業において注目を集めているデジタルツインは、ただの双子というわけではありません。双子のように同じものを作り出すことで、DX推進の大きな役割りを果たしています。今、最も注目を集めている技術の一つです。
そこで今回は、注目のデジタルツインについて
- どのような技術か
- どのような分野で活用されているのか
- 利用することでどのようなメリットが得られるのか
ということを詳しく解説しました。
今後、製造業の様々な場面でデジタルツインの利用が期待されています。最新の技術であるデジタルツインの内容を理解し、今後の技術開発や生産現場の効率化に活用しましょう。
もくじ
製造業におけるデジタルツインとは?注目の理由は応用分野の多さだった
まずはデジタルツインについて簡単に解説しておきましょう。
デジタルツインとは、現実空間にあるものを仮想空間にそっくりそのまま複製するという考えです。では、製造業におけるデジタルツインとはどのようなものでしょうか。
製造業におけるデジタルツインとは、上図のように現実空間の製造工場と同じものを仮想空間に作り出すというものです。仮想空間とは、バーチャルな空間。実際にはデジタル空間のことを表します。もう少し具体的な例を見ていきましょう。
製造業におけるデジタルツイン
製造業におけるデジタルツインではデジタル空間にバーチャルな製造工場を建設します。バーチャルな製造工場には現実世界と同じ装置を設置し、製品の製造も現実空間と同じソフトウェア、同じ条件で行うというものです。
現実空間の工場に設置してある様々なセンサーなどの情報を仮想空間に再現します。そして、分析・シミュレーションを行ったものを、再度現実空間の工場にフィードバックを行うというシステムです。
しかし、言葉で説明してもイメージが掴みづらいかもしれませんので、具体的な例を見てみましょう。下記は安川電機のロボットを使ったデジタルツインの解説動画です。短い動画なので、ぜひ御覧ください。
安川電機ではロボットがメインとなりますが、実際の工場ではロボットだけというわけではありません。他にも様々な製造ラインや搬送ロボットなどを使用することになるでしょう。
そして、忘れてはならないのが作業員です。作業員の動きも全てデジタルツインとして仮想空間に再現しなければなりません。
デジタルツインの詳しい解説は、別記事に記載しています。更に詳しい解説をお求めの場合には、『デジタルツインとは?工場での活用方法』を参照してください。
確かにデジタルツインは様々な利用方法がありそうですが、どうしてこんなに注目されているのでしょう?
製造業においてデジタルツインが注目される理由
なぜ製造業においてデジタルツインが注目されているのかということについて考えてみましょう。大きな理由としては、次の4点
- 先進国では産学官連携で導入を進めている
- シミュレーションの精度が飛躍的に高まっている
- フィジカルの変更に合わせてサイバーがアップデートされる
- 製造現場だけでなくサプライチェーンやアフターサービスにも利用可能
デジタルツインの活用という点では、日本国内よりも海外の方が進んでいます。特に先進国では製造業の競争力を強化することを目的として、産学官連携で導入を進めているという状況です。日本国内でも同様の取り組みを行っていますが、まだまだこれからと言わざるを得ないでしょう。
今後の技術革新に大いに期待したいところです。
また、製造業界全体としてIoT機器やインフラ自体が高機能化していることを受け、シミュレーションの精度も飛躍的に高まってきました。シミュレーションの精度が高まってきたことで、実用化レベルに近付いていると言えるでしょう。
実際にデジタルツインを用いてシミュレーションしている事例として、BMWの製造工場が挙げられます。BMWでは新規工場の建設に際し、デジタルツインを用いることで計画時間を30%削減しました。
BMWの具体的な事例については『メタバースがもたらす製造業への影響!AR・VRとの違いは?』の記事を参考にしてください。
また、デジタルツインが利用できるのは製造物だけではありません。BMWの事例からもわかるように、製造現場にも応用可能です。更に、サプライチェーンやアフターサービスにも応用できるという点も見逃せません。
では、続いてデジタルツインのメリットについて紹介しましょう!
製造業におけるデジタルツインの活用メリット
製造業において、デジタルツインを活用することで多くのメリットが得られます。その中でも特に大きなメリットとしては、次の3点でしょう。
- 製造体制の最適化とリードタイムの短縮
- コスト削減
- アフターサービスが容易
それぞれについて、もう少し詳しく解説しましょう。
設計・製造時のデジタルツイン活用でリードタイムを短縮
1つ目のメリットとして考えられるのは、製造時のリードタイム短縮です。生産ライン全体をデジタルツインで再現することで、実際に製造する前に無駄な部分を洗い出すことができます。
業務の負荷や稼働状況をすぐにデジタル上で分析し、最適化することでリードタイムの短縮が可能です。
また、デジタルツインでの生産をシミュレーションすることで装置や人的なトラブルを未然に防ぐこともできます。
トラブルに関しては、実際の製造ラインでは原因がわからないトラブルも少なくありません。しかし、デジタルツインを活用することで、今までは発見できなかった原因の究明も容易となります。
それだけではありません。製造物に関するトラブルに関しても、製造時にわかるものはシミュレーションの時点で発見可能。トラブル対応に関しても大幅な時間短縮につながるでしょう。
その結果、設計から製造までのスケジュールを最適化し、リードタイムの短縮が可能となります。
デジタルツインの活用でコスト削減も可能に!
デジタルツインを活用することで、コスト削減が可能です。コスト削減ができる大きな要因としては次の3点。
- 適切な人員配置による人件費削減
- 試作品の製作時間短縮
- 設備保全
実際の製造ラインでどのくらいの人員が必要なのかを知るにはデジタルツインでのシミュレーションで分析するのが確実です。最適な人員で製造を行うことができれば、余計なコストは必要ありません。最適化はコスト削減に直結すると言って良いでしょう。
また、実際に製品を販売するまでには何度も試作品を繰り返して作る必要があります。しかし、試作品の製造には多くのコストが必要です。そこで、デジタルツインを活用することで大幅なコスト削減につながります。
試作品を早く作り出すことは、機会損失を免れることにもつながります。この点もデジタルツインの大きなメリットと言えるでしょう。
前述したように、デジタルツインを活用することでリードタイムを大幅に減らすこともできます。リードタイムを減らすことで、時間の節約も可能。時間の節約はコスト削減の大きく貢献します。
更に、設備保全という点においてもデジタルツインが有効です。たとえば、設備を稼働させると、機械的な摩耗などによって破損することがあります。しかし、デジタルツインでのシミュレーションは設備の故障に関しても分析が可能。
その結果、正確なシミュレーションと分析によって、設備の故障を事前に対策することができます。破損する前に対策を行うこともコスト削減につながるでしょう。
デジタルツインの活用でアフターサービスも万全!
デジタルツインを活用することで、製品出荷後のアフターサービスが容易になるというのも大きなメリットです。
デジタルツインを活用することで、ユーザーの使用状況を分析できます。ユーザーの使用状況を分析することで、下記2点が実現可能です。
- 製品の故障時期を推測
- 顧客のニーズに合った製品開発に役立つ
製品にIoT機器を組み込むことができれば、ユーザーの使用状況を容易に把握できます。ユーザーの使用方法が正しいか否かの分析も可能です。つまり、故障時期を予想してメンテナンスを促すようなサービス展開も考えられます。
また、ユーザーの利用状況や使用方法などを分析することで、そのデータを新たな製品開発にも役立てることができるでしょう。
デジタルツインを活用することで多くのメリットが得られます。デジタルツインが当たり前の技術として認識される日も近いでしょう。
製造業はデジタルツイン活用で革新を!
本記事では製造業におけるデジタルツインの活用ということについて詳しく解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
昨今は製造業においてDX推進と共に注目されるようになったのがデジタルツインです。製造業においてデジタルツインが注目される理由としては、主に下記の4つでした。
- 先進国では産学官連携で導入を進めている
- シミュレーションの精度が飛躍的に高まっている
- フィジカルの変更に合わせてサイバーがアップデートされる
- 製造現場だけでなくサプライチェーンやアフターサービスにも利用可能
また、製造業におけるデジタルツインの活用は下記のような3つのメリットがあります。
- 製造体制の最適化とリードタイムの短縮
- コスト削減
- 出荷後のフォローが容易
このようにデジタルツインには多くのメリットがあることは確かです。しかし、最先端の技術なので、まだまだ導入には時期尚早と考える方も多いのではないでしょうか。
もちろん、現段階ではデジタルツインの導入には多くの費用が必要です。しかし、製造業界では近い将来、当たり前の技術となることが予測されます。
また、今後は製造業だけではなく、様々な分野においてメタバースやデジタルツインという考え方が取り入れられるでしょう。
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