こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
フレキシブルって便利ですね。何でもかんでもフレキシブルにすれば良いと思ってます。
柔軟性があるって大切ですね。
私はロボットなので、残念ながら柔軟性ゼロですが。
FMSとはフレキシブル生産システム(Flexible Manufacturing System)のことです。つまり、直訳すると柔軟性のある工場組織というような意味になります。
では、FMSではどのようなことができるのでしょうか。
製造業における生産体制は日々変化をし続けています。以前のように大量生産をしておけば良いという時代は終わり、多品種少量生産となりました。そして、現在は変種変量生産という時代です。
つまり、1つの生産ラインで多くの品種を変量生産しなければならないという状況。効率性を考えなければ上手く立ち回ることができません。
そんな製造業界の課題を解決する画期的な方法がFMS。FMSによってあらゆる作業を自動化すれば、変種変量生産にも対応可能です。
そこで本記事ではFMSの仕組みやメリット・デメリットについて解説しつつ、導入事例などについても紹介していきます。
FMSについて興味がある場合や導入を検討している場合には是非最後まで記事をご覧ください。
工場自動化・ロボット導入に関してお悩みがあれば、お気軽に製造DX.comまでお問い合わせください!
多数の企業が参加する弊社独自のコミュニティを駆使して、お悩みに沿った最適なご提案をさせて頂きます。
もくじ
FMSとは?どんな仕組みで生産される?
FMSとは、1つのラインで複数品種の製造を可能にする柔軟な生産システムを意味しています。その為に、加工機器や産業用ロボットと連携して柔軟性の高い製造工程を実現しなければなりません。製造工程には、下記のような様々な工程があります。
- 加工
- 組立
- 検査
- 搬送
上記の工程全てを自動化することで、変種変量生産への対応が可能です。では、どのような方法を用いて自動化を実現するのでしょうか。
FMSの仕組み!全ての工程を自動化するのが鍵!
従来の生産ラインでは、1つの製品を大量生産することに長けていました。高度経済成長期には、とにかく標準化された商品を大量に作って売れば良かったからです。しかし、この手法は現在の市場動向とは全く異なります。
現在は1つの商品としても多くの細かく分類された種類があり、それぞれの種類を必要に応じて製造しなければなりません。
FMSは加工機器や産業用ロボットを用いて自動化を行います。特にポイントとなるのが産業用ロボットとデータの活用です。
たとえば、データを活用した自動化によって、品種Aの生産をしている時に同一の生産ラインの上流から品種Bの生産を開始することもできます。また、品種Aと品種Bが並行して生産ラインに流れることもあるかもしれません。
必要なことは部材の供給や型替えです。製品に必要な部材を自動で切り替えて供給し、その製品に対応した加工や組み立てを行う。FMSでは多くの工程を自動で制御しなければなりません。
FMSの特徴!産業用ロボットが人の手のように?
FMSの最大の特徴は産業用ロボットを用いた『自動化』と、データを活用した『見える化』です。
産業用ロボットは人の手のように繊細な動きが可能。しかも、人の手以上に正確な動作を繰り返すことができます。
必要となるのはプログラミングとティーチング。これによって、μm単位での正確な制御が可能です。これまで職人にしかできなかったような作業もロボットに置き換えることもできます。
しかも、ロボットなので再現性が高く、安定した品質を保てるので多くのメリットが得られるでしょう。
また、データを活用することで、工場全体の見える化が可能です。見える化によって製造ラインの状況を即座に把握でき、イレギュラーな事象にも対応できます。
見える化については、『製造業のIoTソリューション事例!3つのメリットと導入遅れの原因』を参考にしてください。
FMSの利用シーン!こんな場合に利用しよう!
FMSは、これまでアナログな手法を行っていた製造ラインにこそ有効です。近年では自動車工場などの混流生産の現場で利用されています。
実は、FMSは製造ラインだけで利用されているわけではありません。
たとえば自動配送システムもFMSの一種です。代表的な例では、日本郵便がFMSによってFMSによって物流革命を行っています。このように、製造ラインだけでなくサービス業界においてもFMSへの取り組みが増えてきていると言えるでしょう。
FMSのメリットとデメリット
FMSは多くのメリットがあります。しかし、必ずしもメリットだけではありません。そこで、FMSではどのようなメリットとデメリットがあるのかを紹介ましょう。
FMSには6つのメリット!
FMSのメリットとして考えられることは主に次の6点です。
- 人材不足の解消
- 教育コストの削減
- 製造時間の短縮
- ヒューマンエラーの減少
- 危険の排除
- 属人化排除による品質安定
それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。
FMSが機能すれば人材不足の解消が可能!
FMSによって自動化を実現できれば、省人化・省力化が可能です。これまで、人が作業していた加工工程、組み立て工程や検査工程を自動化することで作業員を減らすことができるでしょう。
また、今まで作業していた人員を他の業務に割り当てることも可能。よって、慢性的に悩まされている人材不足も解消できる可能性があります。
FMSで教育コストの削減が可能!
製造業に限らず、従業員の教育には時間が掛かるものです。製造業の場合は特に教育ができていないと大事故を招く可能性もあるので、教育というものにコストを掛ける必要があるでしょう。
また、同じ教育を行っていても、教育を受ける側によってスキルの差ができることも大きな問題です。
しかし、FMSを導入することで、作業に関する教育は不要。結果として教育コストの大幅な削減が可能です。また、スキルの差も生まれにくいでしょう。
FMSで製造時間の短縮が可能に!
人の作業の場合、動作や気分のムラによって作業時間が安定しません。しかし、FMSでは基本的に人の作業を極力少なくします。つまり、人の作業のようなムラの排除が可能です。
たとえば、異なる品種の生産を行う場合、途中で品種変更のための型替え作業などが必要となります。しかし、FMSではそれすらも自動で行う為に人の介在する余地はありません。
人の作業では少しの無駄の積み重ねによって、大きな無駄な時間となります。この無駄な時間は製造時間を不安定にするだけでなく、完全に無駄な時間、無駄なコストです。
その点、FMSなら製造時間の短縮と安定が実現できます。
FMSによってヒューマンエラーは激減する?
FMSのメインは自動化です。自動化では人の作業を極力減らすことが重要であり、その結果としてヒューマンエラーは激減することになります。
たとえば、自動化ができていない生産ラインを考えてみましょう。様々な製造工程において、人の手で作業を行う必要があります。しかし、人の集中力は限られているので、その日の体調、労働時間やモチベーションに大きく左右されます。
また、技術力が低い作業員や経験の浅い作業員の場合にはヒューマンエラーが発生しやすいでしょう。
では、FMSの場合はどうでしょうか。産業用ロボットやその他の自動化設備の集中力が途切れてエラーを起こすということは考えられません。したがって、FMSを導入することでヒューマンエラーは激減することになります。
FMSで危険の排除が可能
FMSを導入することで、人の介在が減ることは明らか。つまり、人が作業しないことで、人体への危険は回避可能です。
たとえば、大きなワークを人が持って作業をするだけの工程でも、様々な危険性が考えられます。しかし、FMSでは人が介在しないので危険性はありません。
もちろん、産業用ロボットなどが高速で動作することになるので、危険性が無いというわけではありません。しかし、危険箇所に関しては十分な安全対策を行うことで、危険は排除できます。
FMSで属人化を無くせば品質が安定!
FMSを導入することで属人化を排除することができます。さらに属人化を排除することで、製品の品質は高い状態で安定するでしょう。
特に、これまでは職人技が必要だった工程もロボットに代替することで、全く同じ製品を製造することができます。作業のバラツキはなく、μm単位で正確な動作が可能です。
それでは続いて、FMSのデメリットについて考えてみましょう。
FMS2つのデメリット!
FMSのデメリットとして主に考えられるのは次の2点です。
- 初期設備の投資が必要
- 産業用ロボットのティーチングが必要
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
FMS導入には初期設備の投資が必要
FMSを導入しようとすると、従来の生産ラインをほんの少し改造するだけというわけにはいきません。つまり、生産ラインを見直して設計する必要があります。
また、産業用ロボットを始めとする周辺機器を購入しなければなりません。つまり、設計から導入までの費用が必要です。
補助金などを利用できる場合もありますが、資金がなければFMSを導入することができないという点は大きなデメリットでしょう。補助金に関しては下記の記事を参考にしてください。
>>産業用ロボット導入補助金の仕組み!行政や各自治体の助成を利用しよう!
FMS導入には産業用ロボットのティーチングが必要
FMSを導入する場合には産業用ロボットが必須となります。しかし、産業用ロボットを使用するにはロボットのティーチングをしなければなりません。
ロボットのティーチングはロボットプログラムの内容をよく理解していなければ困難な場合があります。
したがって、ティーチングには高い専門知識が必要であり、これは大きなデメリットと言えるでしょう。
具体的な導入事例を見てみましょう。
FMSの導入事例
実際の導入事例を見てみましょう。紹介するのは次の2社です。
- Steurerがサルバニーニシステムを導入
- 安川電機ミニカー製造ライン
もう少しだけ詳しく見ていきましょう。
Steurerがサルバニーニシステムを導入
Steurerは約60年間、ウィンタースポーツ関連製品の製造・販売をしている小さな企業です。Steurerはパネルベンダーとパンチング・シャーリング複合マシンからなるFMSラインを導入しました。
SteurerがFMSラインを導入した決め手は下記の3点。
- 生産能力の大幅な向上
- 1~無制限にバッチサイズを生産できる柔軟性
- 生産スペースやスタッフの拡充無しで①と②を実現できる
FMSラインを導入することで生産スペースやスタッフの拡充を行わず多品種生産が可能になりました。
安川電機のミニカー製造ライン
こちらは安川電機のミニカー製造ライン。FMSを導入することで、データの一元管理ができ、多品種変量生産に対応可能です。
ミニカー製造ラインでは、
- ボディの色
- ボディの印字テキスト
- オーダーの優先度
をオーダーと同時に選択することで多品種変量生産に対応しました。また、データの一元管理によって、リアルタイムで稼働状況の見える化も可能です。
FMSについてまとめ
本記事ではFMSとは何かということを詳しく解説しました。また、FMSのメリット・デメリットについても紹介し、さらに具体的な事例を紹介しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
FMSとはFlexible Manufacturing Systemの略で、柔軟性の高い生産システムを表します。
また、FMSの主なメリットとデメリットは以下の通り。
FMSのメリット
- 人材不足の解消
- 教育コストの削減
- 製造時間の短縮
- ヒューマンエラーの減少
- 危険の排除
- 属人化排除による品質安定
FMSのデメリット
- 初期設備の投資が必要
- 産業用ロボットのティーチングが必要
FMSを導入することで、製造ラインの抱えている大きな問題の解決が可能です。デメリットについて問題がなければ、是非導入してください。
ロボット導入のお問い合わせは製造DX.comまで
自動化を行うにあたって知っておくべき事項をまとめた「工場自動化ガイド」を作成しました。これから自動化を行っていきたいと考えている企業様は是非参考にしてみてください。
ITトレンドEXPO2024 Summerに出展します!
弊社からは、製造業のデスクワークを簡単にするAI「SPESILL」を出展します。
ITトレンドEXPO 2024 Summer イベント概要
開催日時 2024年9月18日(水)~20日(金)
開催場所 オンラインでの開催
参 加 費 無料
※過去ITトレンドEXPOに参加いただいた方も再度参加登録をお願いします。
インターネット接続せずに使える生成AI「ローカルLLM」を使いたい方はこちら
https://spesill-local.studio.site
インターネット接続せず、セキュアに生成AI活用ができる環境を提供します。具体的には、ローカルLLMを使用して、専用アプリを50万円~提供します。買い切りになるのでランニングコストはかかりません。
DIfy、Microsoft Copilot Studio、GPTsの構築支援のご相談はこちら
DifyやMicrosoft CopilotなどのノーコードAIツールの活用方法がわからない、社内に導入したけど使用している社員が少ない、生成AIを活用した新事業を立ち上げたい、という企業様を徹底的にサポートします!
お気軽にお問い合わせください。
汎用的な生成AIツールを導入したい方はこちら
Word、Excelと親和性が高く、高度な文章生成、図表から文字・文字から図表の生成ができ、ナレッジ検索ができるAIアシスタントツールです。
専門文書の作成や社内外からのお問い合わせ対応などに課題を感じている、人手不足で業務が逼迫している、埋もれている有益なデータが大量にあるなどナレッジマネジメントのお悩みがあれば是非お気軽にお問い合わせください。
運営会社について
製造DX.comを運営する株式会社ファースト・オートメーションは製造業特化の生成AI活用支援会社です。製造DX.com内で研究成果の一部を投稿しています。また、製造業のデスクワークをAIで簡単にする「SPESILL(スぺシル)」を開発提供しており、特に反響をいただいております。ぜひご活用ください!