こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
頑張って作業しようと思っているのに、前工程からワークが流れてこなくてイライラすることがあるのですが・・・
もしかして、工程管理ができていないのでは?
製造業においては工程管理が重要ですよ!
製造工場において、設備や人材は限りある資源です。その資源をいかに無駄なく使うかを念頭に置いて作業しなければなりません。そこで重要となるのが工程管理という考え方。
そこで、本記事では製造業における工程管理の重要性や手法について詳しく解説しました。
コスト削減や品質の安定を求めるなら、記事を参考にして工程管理の重要性を再認識してください。
もくじ
工程管理とは?納期・生産効率・品質を管理
工程管理とは、主に製造の過程を管理する業務です。工程管理の目的は、各工程において下記3点の進捗や実績を管理することです。
- 納期の遵守
- 生産効率の最適化
- 品質の担保
それぞれについて詳しく解説しましょう。
工程管理の目的①納期の遵守
人として大事なことは約束を守るということです。それは製造業にとっても同じではないでしょうか。つまり、納期を遵守すること。価格や品質も重要ですが、約束の納期に間に合わないようなことがあってはなりません。
納期の遵守に必要となるのは主に下記の4点です。
- 在庫管理
- 材料管理
- 人員管理
- 設備の稼働管理
常に上記4点のリソースを把握しておかなければ、イレギュラーな事態が発生した時に適切な対応ができません。
たとえば、材料の入荷遅れや作業員の急な病欠などです。コロナ禍以降、サプライチェーンの混乱や半導体不足などによって製造業の現場は大きな混乱が起こっています。そのようなイレギュラーな事態に対応するためにも工程管理が重要です。
半導体不足については、下記の記事で詳しく解説しています。
工程管理の目的②生産効率の最適化
製造現場の現状を可視化できれば、生産効率が最適化されます。その為に必要なのが工程管理です。
製造現場の各工程で常に課題となっているのが下記の2点。
- 生産性の向上
- コスト削減
これらは現場のリーダーだけでなく、作業員一人ひとりが日々取り組んでいてもなかなか成果が出ない課題かもしれません。そこで有効となるのが工程管理。工程管理によって、各工程の可視化が可能となります。
工程の状況を可視化し共有することで、
- 仮説を立てる
- 改善案を実施する
という2点が容易になります。つまり、工程管理によって生産効率の最適化対策ができるということです。対策案ができれば実施し、あとはPDCAの繰り返しで生産効率は最適化されます。PDCAに関しては後述します。
工程管理の目的③品質の担保
製造業だけに限ったことではありませんが、品質の担保も重要課題です。
品質を安定させるには、各工程を自動化・ロボット化することも有効でしょう。しかし、自動化・ロボット化よりも先に取り組まなければならないのが工程管理です。
品質のバラつきは大きな問題となります。不良品が市場に流出した場合は、リコールなどの手続きが必要になるなど企業にとっても大きな損失を与えるかもしれません。生産効率が良くなったとしても、生産量が増えることによって品質がバラつくようでは本末転倒です。
品質面の安定においても有効なのが工程管理。工程管理を行なうことで、コストを抑えて品質を安定させられます。その中の一つの方法が統計的品質管理です。
統計的品質管理は、各工程の情報を統計的に処理することで、現在の生産工程の状態を管理する方法。何らかの異常を事前に察知できます。製造業の品質向上に関しては、下記の記事も参考にしてください。
工程管理の3つの目的については理解できました。
ところで、工程管理と生産管理はどう違うのでしょう?
工程管理と生産管理との違い
工程管理と生産管理は言葉の響きもよく似ているので、よく混同されてしまいます。実は、生産管理の中に含まれる一種が工程管理です。しかも、生産管理も工程管理も、製造業における生産活動を管理する際に必要な業務といえます。
では、具体的に生産管理と工程管理はどのように分けられているのでしょうか。
答えは、管理する範囲です。工程管理と生産管理では、管理する範囲が下記のように異なります。
- 工程管理:生産管理の一部
産計画のスケジュールに沿って一定の品質・数量で効率的に製造 - 生産管理:生産ライン全体
生産計画に基づき、材料の調達や製造工程などの業務全般を管理
また、生産管理の目的は企業目標の達成です。その為には長期的な視野に立ち製品に関わる全ての工程を管理しなければなりません。この点が工程管理と生産管理の大きな違いです。
ところで、工程管理はどうして重要なのでしょう?他にも方法はあると思うのですが。
なぜ工程管理が重要なのか?必要な現場はどこ?
製造業において工場全体がスムーズに稼働しているのは、工程管理のおかげと言っても過言ではありません。
逆に、工程管理を行わなかった場合について考えてみましょう。工程管理を行わずに生産活動を進めればどうなるでしょうか。答えは簡単。工場全体の統制が取れなくなります。具体的には、以下のような不具合が生じるでしょう。
- 各工程の進捗状況を容易に確認できない
- 作業者間での認識に食い違いが生じる
- 負荷の多い現場を認識できない
- 適切な人員配置ができない
- 納期の遅れが生じる
しかも、従業員の数が増えたり工程が増えたりすることで、より多くの不具合が生じることになります。しかし、工程管理を行うことで、上記の不具合は全て解決可能です。
実は、上記のような不具合が生じる製造現場には条件がありました。
工程管理が必要になるのは3パターンの製造現場
製造業において工程管理が必要とされるのは、次のような現場です。
- 生産工程が複数に分かれている
- 製品毎に生産工程が異なる
- 属人性が高い工程
生産工程が複数に分かれている現場では、各工程の進捗状況が解り辛いという問題があります。しかし、工程管理を行なうことで、各工程の進捗をリアルタイムで確認可能です。何らかのトラブルが発生した時にも迅速な対応につながるでしょう。
製品ごとに生産工程が異なる現場では、工程の状況確認が複雑になります。また、図面や工程表などが分散したり、混乱を招いたりすることもあります。データ集計にも手間がかかるでしょう。
したがって、生産管理によってリアルタイムで状況を把握することは必須です。
また、属人性が高い工程の場合は進捗状況の確認が困難。担当者しか進捗状況を把握できていない状況が発生するのは問題です。もし、担当者が不在となれば、進捗状況が不明となる可能性もあります。
したがって、属人性の高い工程では工程管理が重要です。
続いて工程管理の具体的な方法について解説しましょう。
製造業における工程管理の手法
ここでは、製造業における工程管理の基本的な手法などについて解説します。解説するのは、次の3点。
- 基本的な手法:PDCAサイクル
- 様々な種類の工程表
- 工程管理に利用できるツール
それでは、それぞれについてもう少し具体的に見ていきましょう。
工程管理の基本的な手法「PDCAサイクル」
工程管理の実施手順として多く利用されているのが「PDCAサイクル」です。PDCAサイクルは下記の4つの頭文字を取ったもの。
- Plan(計画): 生産計画を立てる
- Do(行動):生産計画を実施
- Check(確認):進捗を管理・評価
- Action(実施):問題に対する対策の実施
工程管理の手順としてPDCAを取り入れることで、スケジュールや活動が明確になります。また、現在各工程で起こっている課題や問題点を把握しやすくなるでしょう。PDCAは単なる工程管理の実施手順ではなく、トラブル防止や業務改善にもつながります。
工程管理で利用できる3種類の工程表
工程管理には工程表が必要ですが、目的によって使用する工程表も異なります。主な工程表は下記の3種類です。
- バーチャート工程表
- ガントチャート工程表
- グラフ式工程表
上記以外の工程表としては、「ネットワーク方式工程表」や「出来高累計曲線」などもありますが、工程管理でポピュラーなものは上記の3点となります。
それでは、上記3つの工程表にどのような特徴があるのか解説していきましょう。
最もポピュラーなバーチャート工程表
バーチャート工程表は最もポピュラーな工程表です。一般的な工程表のイメージがバーチャート工程表となります。バーチャート工程表の主な特徴は下記の3点です。
- 横軸が日時を表す(必要日数がわかる)
- 開始日時と終了日時が明確になる
- 他工程との関係が解り辛い
バーチャート工程表は必要日数の管理が主な役割なので、他工程との関係が解り辛くなるのがデメリットでしょう。
他工程の進捗把握が容易なガントチャート工程表
ガンチャート工程表は他工程の進捗状況(進捗率:ガンチャート)を視覚的に把握できる点が特徴的な工程表です。主な特徴は下記の4点。
- 縦軸で作業名を示す
- 横軸で進捗状況を表す
- 作業の達成率や進捗状況がわかりやすい
- 他工程との関係が解りやすい
- トラブル発生時に原因の特定や対処をしやすい
ガンチャート工程表はメリットの多い工程表と言えますが、作成に手間が掛かるのが大きなデメリットです。
ハイブリッド型のグラフ式工程表
グラフ式工程表は前述の「バーチャート工程表」と「ガントチャート工程表」を組み合わせたもの。グラフ式工程表は比較的ポピュラーな工程表の一つで、下記のような形式で見やすいのが特徴です。
- 横軸:日数(バーチャート)
- 縦軸:進捗率(ガンチャート)
ただし、デメリットとしては作成が複雑になり、手間が掛かるという点です。
工程管理に利用できる4つのツール
工程管理の方法も徐々にデジタル化やDX推進が求められるようになってきました。方法は企業によって異なりますが、多くの企業では下記の4つの方法で工程管理を行なっています。
- 紙やホワイトボードなどに工程表を書いて管理
- Excel(エクセル)で管理
- クラウドシステムで管理
- 工程管理システムを活用
紙やホワイトボードは従来のようなアナログな工程管理の方法です。手軽に利用できるのが最大のメリット。ただし、デジタル化が求められる昨今では主流ではなくなってきています。また、現場にいない人に進捗を伝えることができないというデメリットもあります。
そこで、近年ではオンラインで編集・閲覧できる方法が主流となってきました。
工程管理の手法は工程表を作って、PDCAサイクルをまわすということですね。
【まとめ】製造業において工程管理は必須
本記事では製造業における工程管理の重要性や手法について詳しく解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
工程管理とは主に製造の過程を管理する業務です。生産管理の一部が工程管理になります。工程管理の目的は次の3点。
- 納期の遵守
- 生産効率の最適化
- 品質の担保
上記の目標達成のために工程管理が必要になるのは、次の3つのケースでした。
- 生産工程が複数に分かれている
- 製品ごとに生産工程が異なる
- 属人性が高い工程
工程管理の基本的な手法としてはPDCAサイクルを回すことです。
- Plan(計画): 生産計画を立てる
- Do(行動):生産計画を実施
- Check(確認):進捗を管理・評価
- Action(実施):問題に対する対策の実施
また、工程管理には工程表が必要となります。工程表も目的によって様々なものがあり、その中でもポピュラーなのが次の3種類でした。
- バーチャート工程表
- ガントチャート工程表
- グラフ式工程表
工程管理ツールは紙やホワイトボードなどのアナログから、デジタルへと変化してきました。現在はオンラインで編集・閲覧が可能なツールが主流となっています。
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