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スポット溶接とは?その特徴やメリットデメリットを紹介

こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]

溶接の方法はいくつかありますが、何が違うのでしょう?

ロボイヌ君の体はスポット溶接が多いようですね。溶接は方法によって素材が違ったり、部品の目的や用途が違ったりしますが、溶接後の強度も異なります。

金属と金属を接合する手法として、最もポピュラーなのが「溶接」です。しかし、溶接にはスポット溶接やプロジェクション溶接、アーク溶接など様々な方法があります。その中でも自動化に最適なのがスポット溶接です。

そこで、本記事ではスポット溶接の方法や特徴、他の溶接方法との違いなどについて詳しく解説しました。

溶接を自動化したいと考えている場合には参考になると思いますので、ぜひ最後まで記事をご覧ください。

スポット溶接とは

溶接手法を大きく分類すると下記の3種類になります。

  • 融接
  • 圧接
  • ろう接

上記の中でスポット溶接は「圧接」に分類される溶接手法。電気抵抗の特性を利用し、大電流を流すことによって溶解して接合する方法です。

では、スポット溶接の原理から具体的に解説していきましょう。

スポット溶接の原理

スポット溶接は「圧接」の代表的手法です。圧接は、2枚の金属を加圧しながら熱の力で接合するというもの。では、どのように熱を発生させているのでしょうか。

前述したとおり、電気の力を使います。スポット溶接の手順は、まず溶接したい母材を「チップ」と呼ばれる合金製の電極で挟み込みます。そして、挟み込んだ状態で加圧しながら電気を流すという手順です。

このとき、違う抵抗値の素材に電流を流すことによって抵抗熱が発生。発生した抵抗熱によって金属を溶かし、接合するという原理です。スポット溶接は抵抗熱を利用するので、「抵抗溶接」と呼ばれることもあります。

具体的なイメージは、こちらの動画をご覧ください。

スポット溶接の原理と溶接のイメージができたところで、スポット溶接に向いている素材について解説しましょう。

スポット溶接に向いている素材

実は、スポット溶接には適している素材と不向きな素材があります。スポット溶接に適しているのは電気伝導率と熱伝導が均等な金属母材。具体的には

  • ニッケル
  • ステンレス

などです。ただし、メッキ処理されている素材についてはスポット溶接に不向きとなっています。メッキ処理がされている素材を溶接する場合には、2段階での溶接となります。

一方、スポット溶接に向いていない素材の特徴は、銅やアルミニウムなどの電気伝導率や熱伝導のバランスが均等でない金属です。

また、最近ではアルミ合金材と鋼材との異種材接合技術も確立されつつあります。スポット溶接は他の溶接方法とは異なり、素材自体を発熱させるものです。したがって、異種材接合の可能性を秘めています。今後の技術開発にも期待できるでしょう。

スポット溶接は抵抗熱を利用するのですね。

それでは、続いてスポット溶接のメリットについて考えてみましょう。

スポット溶接3つのメリット

スポット溶接には、下記のように多くのメリットがあります。

  • 溶接速度が速くコスト削減も可能
  • 熟練工でなくても可能 (自動化に最適)
  • 仕上がりが美しい

それでは、もう少し具体的に見ていきましょう。

スポット溶接で時間短縮!コスト削減も可能!

スポット溶接は他の溶接方法と比較すると溶接速度が速く、大幅な時間短縮が可能です。

スポット溶接は、その名のとおり「点」のように小さな範囲を溶接する手法。したがって、1か所の溶接に必要な時間はほんの一瞬です。もちろん溶接の条件にもよりますが、数秒で完了してしまいます。

作業時間の大幅な短縮により、生産性が向上することは間違いありません。生産性が向上すれば、人件費も削減できるでしょう。結果としてコスト削減も可能です。  

スポット溶接なら経験の浅い作業員でも美しい仕上がり

従来の溶接作業は経験を積んだ熟練工でなければ難しかったのですが、スポット溶接は初心者でも作業可能です。

先程の動画でも紹介したように、スポット溶接は溶接する位置さえ決まれば誰でも簡単に作業ができます。経験値が少ない作業員が溶接を行っても美しく仕上げられるのは大きなメリットでしょう。

また、他の溶接より安全性が高いことも、初心者が安心して作業に取り組める要因となっています。

上記のことから、熟練工と初心者の差はほとんどありません。したがって、スポット溶接の工程では、初心者でもすぐに即戦力になり得ます。

また、熟練工のような数値化が難しいノウハウもほとんどないことから、自動化にも最適です。溶接工程の自動化・ロボット化については、下記の記事を参考にしてください。

スポット溶接は仕上がりが美しい

スポット溶接の大きなメリットとして、仕上がりの美しさが挙げられます。スポット溶接は小さな範囲を接合するため、溶接個所が目立ちません。

特に自動車産業でスポット溶接が用いられているのは、見た目の美しさが大きな理由です。溶接部が目立たないので、デザインの邪魔をすることがありません。

スポット溶接はメリットが多いですね。

しかし、残念ながらスポット溶接はメリットばかりではありません。では、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

スポット溶接3つのデメリット

それでは、続いてスポット溶接のデメリットについて考えてみましょう。主なデメリットは次の3点です。

  • 溶接強度が弱い 
  • 厚い金属には不向き 
  • 母材の厚さや素材によって電極を変えなければならない

スポット溶接は強度が弱い

前述したとおり、スポット溶接は点で溶接する手法なので、他の溶接方法と比較すると溶接範囲が狭くなります。したがって、溶接強度は弱くなるのが大きなデメリットです。

そのため、強度の必要な個所や部品、衝撃が加わる部分の溶接には使用できません。スポット溶接を多くの工程で利用している自動車製造においても、強度が必要な部分にはスポット溶接以外の方法で接合しています。

スポット溶接は厚い金属には不向き

スポット溶接は薄い金属の接合に最適の方法であり、厚みのある金属には適していません。

その理由は、スポット溶接の原理を理解すればわかりやすいでしょう。スポット溶接は金属同士に大きな電流を流して熱を発生させます。しかし、分厚い金属を対象とした場合、瞬間的に電流を流すことができません。

したがって、十分な熱が発生せず、結果的に溶接ができないことになります。スポット溶接では厚い金属の溶接ができないので、他の溶接方法の検討をおすすめします。

スポット溶接は状況によって電極を変える必要がある

スポット溶接は分厚い金属には不向きですが、溶接可能な厚さであっても素材によって電極を選ばなければなりません。電極とは、「チップ」や「キャップチップ」と呼ばれるものです。

スポット溶接をするには、電極でワークを挟み込む必要がありますが、溶接の目的材質によって最適なものを選択する必要があります。代表的な電極は下記のような7種類の形状です。

  • F:フラット
  • R:ラジアス
  • D:ドーム
  • DR:ドームラジアス
  • CF:コーンフラット
  • CR:コーンラジアス
  • E:オフセット

条件が変わる度に電極を選択し、交換しなければならないのは手間がかかります。また、その度に最適な条件を揃えなければならないのもデメリットでしょう。

スポット溶接が使えない場合はどうすれば良いのでしょう?

では、他の溶接方法についても見ていきましょう。スポット溶接との違いについても解説しましょう。

他の溶接方法との違い

それでは、スポット溶接以外の溶接方法についても解説します。ここで取り上げる溶接方法は下記の4種類です。

  • プロジェクション溶接
  • シーム溶接
  • レーザー溶接
  • アーク溶接

上記の4つの溶接方法とスポット溶接との相違点を見ていきましょう。

スポット溶接とプロジェクション溶接の違い

プロジェクション溶接はスポット溶接によく似た溶接方法です。最も大きな違いは、母材の溶接箇所にプロジェクション(突起部)を設けるという点でしょう。スポット溶接と異なり、設けた突起部分に電流を流します。

プロジェクション溶接は下記の2種類です。

  • エンボスプロジェクション
  • ソリッドプロジェクション

エンボスプロジェクションは一方の金属に突起を作る方法、ソリッドプロジェクションは元からある突起を利用して溶接する方法となります。

スポット溶接とシーム溶接の違い

シーム溶接は2枚の円板電極で溶接材を挟み、線状に溶接する方法です。「ラップシーム溶接」とも呼ばれます。スポット溶接と同様に、電気抵抗による加熱を利用して溶接材を溶かします。

シーム溶接とスポット溶接の原理は同じです。異なるのは、溶接箇所が点状になるか線状になるかという点。シーム溶接は線状に溶接する方法なので、気密性水密性の必要な箇所の溶接に適しています。

スポット溶接とレーザー溶接の違い

レーザー溶接は、レーザー発信機から発するレーザー光の熱を利用して溶接する方法です。ですから、スポット溶接とは溶かす原理が異なります。レーザー溶接で使用するレーザーには下記のような種類があります。

  • CO2レーザー
  • YAGレーザー
  • ファイバーレーザー
  • ディスクレーザー

レーザー溶接は十分な安全対策が必要となるので、スポット溶接のように手軽に利用できません。

スポット溶接とアーク溶接の違い

アーク溶接はアーク放電を利用した溶接手法です。スポット溶接とは根本的に異なる原理の溶接方法と言えます。また、スポット溶接は自動化に適していますが、アーク溶接は作業者の熟練度などが仕上がりに大きく影響するので自動化には適していません。

アーク溶接を大きく分類すると下記の2種類になります。

  • 消耗電極式溶接
  • 非消耗電極式溶接

安全性という点では、アーク溶接は上記4つの溶接方法の中で最も危険度が高い溶接方法です。したがって、作業を行うには特別な講習を受ける必要があります。

スポット溶接以外の溶接方法としては「プロジェクション溶接」「シーム溶接」「レーザー溶接」「アーク溶接」があります。レーザー溶接とアーク溶接はスポット溶接と全く違う原理で危険度も異なることがわかりました。

スポット溶接のまとめ

本記事ではスポット溶接の原理や特徴などについて詳しく解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。

スポット溶接は「圧接」に分類される溶接手法で、2枚の金属を加圧しながら熱の力で接合するというものです。スポット溶接は瞬間的に大きな電流を流すことで発生する抵抗熱によって金属を溶かし、接合します。

スポット溶接のメリットとデメリットは下記のとおりでした。

  • スポット溶接のメリット
  • 溶接速度が速くコスト削減も可能
  • 熟練工でなくても可能 (自動化に最適)
  • 仕上がりが美しい
  • スポット溶接のデメリット
  • 溶接強度が弱い 
  • 厚い金属には不向き 
  • 母材の厚さや素材によって電極を変えなければならない

また、記事内では下記4種類の溶接方法とスポット溶接との違いについても解説しました。

  • プロジェクション溶接
  • シーム溶接
  • レーザー溶接
  • アーク溶接

プロジェクション溶接とシーム溶接はスポット溶接と同じく抵抗熱を利用した溶接方法です。スポット溶接との相違点は電極でした。また、シーム溶接は線状に溶接できるので、気密性・水密性の要求される部分にも利用できます。

一方、レーザー溶接とアーク溶接はスポット溶接とは全く異なる方法です。安全性においても、スポット溶接よりも危険なので利用する際には注意しなければなりません。

スポット溶接は安全性が高く、熟練工のような経験を積まなくても綺麗に仕上がる溶接方法です。したがって、自動化にも最適な方法と言えます。溶接工程の自動化を検討する際には、スポット溶接の導入を検討してはいかがでしょうか。

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自動化を行うにあたって知っておくべき事項をまとめた「工場自動化ガイド」を作成しました。これから自動化を行っていきたいと考えている企業様は是非参考にしてみてください。

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