品質管理の4M変更とは?メリットや5M+1や6Mについても解説
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こんにちは。
ロボットに関係する機械設計の情報を発信する、製造DX.comです。
前回、結露のお話の中で少しだけ材料に関わるところのお話をしました。(まだご覧になっていない方は、ぜひ、ご覧ください。)
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今回は、材質についてもう少し広げてお話をお届けしていきます。架台設計などに使える情報となっています。
全てお話していくと膨大な量の記事となってしまうので、よく使用するSUS材、アルミ材、樹脂材の3つを比較しながら進めていきたいと思います。
もくじ
まず、物理的性質の種類から見ていきましょう。
物理的性質は、よく”物性”と略して呼ばれることが多いです。”物理的”といわれると少しわかりづらいかもしれませんが、いわゆる材質の特性のことだと思って問題ありません。
具体的には、以下のような性質のことを指します。
① 機械的性質(力学的性質)
②熱的性質
③電気的性質
④磁気的性質(磁性)
⑤光学的性質(光物性)
※括弧は別称ですが、④、⑤は、主に磁性、光物性と呼びます。
設計でよく、引張強さ、せん断強さというのは、①の機械的特性にあたります。
SUS材は、Steel special Use Stainlessの略称で、ステンレスとも呼ばれます。
「Stainless:汚れ(サビ)のない」と表記される通り、鉄に比べると非常にサビにくい材料となっています。
鉄がサビてしまうのは空気中の酸素と鉄が結びついて酸化鉄が発生することで発生します。
SUS材は、鉄にクロムを混ぜているため、表面に被膜を形成しています。
クロムは、鉄よりも酸素に結び付きやすい特性があるため、鉄が酸化するよりも先にクロムが酸化し、酸化被膜となって表面を覆います。
傷がついてもすぐに新たなクロムが酸素と結びつき、被膜を形成するため、サビの発生を防ぐことができます。
また、よく流通しているSUS300系は、ニッケルを含んでいるため、磁石にくっつかない(磁性を帯びない)というのも特徴の1つです。※一部のSUS300系は磁性を帯びるものがあります。
よく水筒などに使われている通り、熱伝導率が低く、保温性や耐熱性に優れているのは、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
SUS300系の熱伝導率が鉄の約1/3と言われており、保温や放熱については、アルミニウムと対になる用途となります。
熱伝導率が低いデメリットとして、熱が籠ってしまい、放熱を要求される箇所には適さないことと、切削加工時、工具の刃先が高温になってしまい刃先に負担がかかってしまうことです。
工具に負担がかかるということは、すなわち、工具寿命により工具交換の回数が増え、加工費が高くなってしまうことが懸念されます。
SUS材は、金属の中では、電気抵抗が高い(電気を通しにくい)特性もあり、通電箇所には適しません。
SUS材とよく比較されるのは、アルミ材だと思います。
一般的に流通しているのは、強度や性能を高めるため、金属を混ぜている”アルミニウム合金”がほとんどです。
SUS材と同様に、酸化被膜を形成することでサビの発生を防ぐことができます。
SUS材とは反対に熱伝導率が高いため、ヒートシンクやエンジンの部品にもよく用いられています。
一般的なアルミ材の熱伝達率は、鉄の約3倍といわれており、SUS300系の10倍近い熱伝達率を誇ります。
アルミの特徴の中で大きなポイントの1つとなるのが、鉄の約1/3の比重で、非常に軽く、自動車や飛行機の性能向上に大きく貢献しています。
また、加工性も優れており、特にアルミの押出成形でつくられたアルミフレームは断面係数や断面二次モーメントを維持したまま、材料を削減することができ、非常に優秀です。
通電性が高く、非磁性体なので磁場に影響されないことから、電子医療機器などにも使用されています。
ただし、アルミ材の最も大きなデメリットとして、強度の低さがあげられます。
硬さを表す値の1つであるヤング率は、鉄やステンレスと比較すると1/3程度であり、この数値は強度そのものに直結します。例えば、ある形状のステンレスに対し、ヤング率が1/3だとすると、同等の強度にするためには、断面二次モーメントを3倍にする必要があります。成形しやすいとはいえ、限られた条件下で形状を設計するのには限界があるため、アルミ材選定には注意が必要です。
また、アルミ材は溶接がしづらいため、架台に使用する場合は、ボルト固定が必須となるでしょう。
最後に樹脂材です。樹脂といっても様々でガラスを混ぜ強度を増したものからゴムまで幅広く使用されている材質ですが、今回は、どの材質においても言えることをお伝えしていきます。
産業用ロボットの導入検討の中では配線のクリップなど、細かい部品で使用することもあると思います。
そんな樹脂の意外に知られていない注意点として、樹脂には、クリープ特性があります。
具体的には、一定の荷重をかけ続けると時間とともに変形していく現象です。(コールドフローとも呼びます)
輪ゴムで何かを留めて、数か月後、外してみると輪ゴムが伸びきったままになっていた、なんて経験ある方もいるのではないでしょうか?同様の現象が他の樹脂材料にも発生します。
よくあるケースで例えると、『強度が必要されていない部品を樹脂で設計して、金属製品にネジ留めした』。
この場合、締め方にもよりますが、徐々に樹脂が変形していき、ネジが緩み始めてしまい、振動が加わる箇所であったりすると最悪の場合、ネジがとれて部品も外れてしまうこともあります。
配線クリップのクリップの適用ケーブル径以上のケーブルを使用してしまい、クリップの拘束荷重が抜け、クリップからケーブルが外れて思わぬ事故につながる可能性もあるので、ぜひ頭の片隅に置いていただきたい内容です。
クリープの対処法として、一般的に樹脂材にはネジ留め部にはインサート(成型時に金属を入れる)を使用し、直接素材を留め付けることを避けます。
上記の内容を表にまとめると下図になります。
SUS材の注意点としては、決して錆びないというわけではないこと、ニッケルを含まない400系や加工により組織に変化があった場合は、磁性を帯びてしまうことが挙げられます。
磁場の影響を懸念される場合は、アルミ材、樹脂材を選定するなど、適切な材質選びが必要です。
いかがだったでしょうか。営業担当者の方も今回の内容を把握しているだけでもお客様の要望に対して対応の幅が広がるのではないでしょうか?
また、内製で架台設計する場合などにもぜひ覚えておきたい内容でした。
協働ロボットについては、特に導入ハードルが低く、大型ロボットに比べ、架台への要求が少なく、内製で検討することも少なくないと思います。
正しい材質選定で、より安全な環境をつくり上げましょう。
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