【ロボット導入事例】AI技術が使えるのは画像処理だけではない!作業者の判断基準を蓄積し自動化
- #垂直多関節ロボット
製造DX.comでは工場自動化の事例を紹介しております。参考資料は経済産業省が展開しているロボット事例となりますが、見やすく、わかりやすく、をモットーに初めての方でも問題なくご覧いただける記事制作を行っております。
もくじ
パイロット弁に評価基準の高い検査が行われており、検査に時間を要していた
今回のエンドユーザー様は多種類油圧機器の部品の生産を行っていました。製品の中でも、パイロット弁は特に評価基準の高い検査が行われており、検査に時間を要していました。パイロット弁とは、油圧機が動くための圧力を制御すための弁であり、重要度は非常に高く、また、品質が要求される部品です。中でも油圧で使用される弁は、他の物質による圧力制御よりも高い圧力を要求されていて、欠損があった場合、弁自体が破損してしまったり、圧力制御を正常に行うことができず、動作不良を起こしてしまう可能性もあります。
今回のエンドユーザー様の場合、鋳物で筐体を製造していたため、その外観検査が必要でした。外観検査の中でも、鋳物は製造後の粗材表面が粗く、スクラッチ、へこみ、異物の判別が難しく、熟練が要求されていました。また、検査に必要な人員としては、小規模で、1名での稼働でしたが、検査自体”高い集中力”と”良い目”が要求されており、常に若い人材を配置する必要があったため、人手不足になる危険がありました。
そのため、以前より画像処理を使った自動化のチャレンジを行っていましたが、いい結果が得られず、断念していました。近年、AI技術の進化が著しく、その情報をキャッチしたため、AI技術を用いた自動化の検討を進めました。
今回の事例でAI技術を用いた1番の理由は、AIにより常に判断基準が向上するためでした。通常のビジョンセンサによる画像処理で判断できる不良は、ロボットSIerが設定した状態に限り、また、不良基準の分類定義に多くの時間やコストを費やす可能性が大きくあります。今回、重利アの画像処理方法ではなく、AIを運用することにより、分類定義のムダを削減すると同時に、製品改良等で対象物が置き換わった場合でも、それまでの判定基準を活用することができるようになりました。
AIによる画像処理を活用することで、常に判別の質を上げることができます。今回の事例に限らず、よくある判断基準として、傷やへこみの深さ、傷の向き、色の深さなどがあります。そういった基準は、明確なルールこそありますが、人手作業による判断の場合、判断が難しいことがあります。AI技術を活用することで、製品の判定履歴は蓄積していき、精度を向上していくことができます。
今回の事例のシステムでは、協働ロボットを搬送、ハンドリング用にもちいて、双腕ロボットは、片腕は画像処理カメラ等のセンサ、もう片腕は、照明を装備して、様々な角度から外観検査ができるシステムを実現しました。
本案件は、弊社が設計したものではないため、具体的な導入費用を掲載することができませんが、効果などとしては下記のようになっています。
※参考動画は本案件のロボットシステムではありません
AI技術は今もなお進化し続けています。AIは、自動で学習し、知識であるデータを蓄積、そして更なる品質を得ることができます。ひと昔前のAI技術では、画像の分類など、複雑な事象に対しては学習するのが難しいという課題がありました。しかし、現在は、実用化レベルまで進化しています。幸か不幸か、今世界中で蔓延している新型コロナウィルスの影響によって、さまざまな分野からAI技術が注目されたことにより、多くの企業が更に力を上げて開発しています。今後、導入ハードルが更に低くなり、コストの軽減や実用性の向上が期待されます。
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