製造業のIoTソリューション事例!3つのメリットと導入遅れの原因
- #IoT
こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
ポケモンGOってゲーム流行ったじゃないですか。
あの時、捕まえられそうになったんですよね。
ポケモンと間違えられたってこと?
そう言えば、ポケモンGOが流行ったことでサイバーフィジカル空間が身近になりましたね。CPSですよ。
サイバーフィジカル空間?CPS?
何ですか?
ポケモンGOはサイバー空間(仮想的な空間)とフィジカル空間(物理空間)の融合とでも呼ぶべきゲームです。そして、サイバー空間とフィジカル空間の融合は、今や製造業やサービス業でも利用されるようになってきました。
それが、CPS(Cyber-Physical System:サイバーフィジカルシステム)です。そこで、本記事では
ということについて詳しく解説しました。現在の製造業界は高齢化や労働人口の減少によって大きな変革の時です。CPSを取り入れて、明るい製造業の未来を築いていきましょう。
もくじ
製造業におけるCPSとは?
IoTやデジタルツインとはどう違う?
CPSとはCyber-Physical Systemの略で、サイバー空間(Cyber)と物理空間(Physical)の情報を相互に分析して活用していくというものです。ここで言うサイバー空間とはコンピュータ上の仮想空間を指し、物理空間は現実の世界を指します。
つまり、CPSはコンピュータ上の情報と現実の情報を相互にやり取りするシステムです。CPSに似ているのが、下記の2点。
ここでは、製造業におけるCPSとは具体的にどのようなものかということについて解説し、更にIoTやデジタルツインとの違いについて解説しましょう。
CPSの分野では日本よりも先行している国があります。それがドイツです。ドイツは少子高齢化という、日本と同様の深刻な問題に直面しています。そこで取り組まれているのが「Industrie4.0(インダストリー4.0)」です。
Industrie4.0で重要な役割をするのがCPSとIoT。インダストリー4.0に関しては「日本の製造業が抱える7つの課題!自動化とDX化がカギ!」の記事を参考にしてください。
製造業におけるCPSでは、以下のような一連のサイクルを行います。
サイバー空間にフィジカル空間をコピーしてシミュレーションを行うのがデジタルツイン。つまり、製造業では上記のようなシステムを作り、製造現場で効果を得るということが目的になります。
では、CPSの理論を取り入れることで、製造現場ではどのような効果が得られるのでしょうか。最もわかりやすいのが、熟練技術者の「経験と勘」を数値化するということです。数値化することによって、「経験と勘」に頼っていた作業も効率化が可能。これは大きなメリットではないでしょうか。
それでは、CPSとIoTの関係について、もう少し詳しく解説しましょう。
近年、実生活の中でも身近になってきたIoTは「Internet of Things」の略です。つまり、センサやカメラ、ロボットなどの様々な装置をインターネットに接続することでフィジカル世界でのデータ収集が可能となりました。また、フィジカル世界へのデータ送信を行うことでモノの制御も可能です。
このように、IoTでは「モノ」を中心とした考えになっているのがCPSと異なる点でしょう。IoTに関しては、「製造業のIoTソリューション事例!3つのメリットと導入遅れの原因」の記事で詳しく解説しています。
続いてCPSと関わりが深いデジタルツインについて解説します。
前述した通り、デジタルツインは、サイバー空間(デジタル空間)にフィジカル空間の情報をコピーし、再現するというものです。これにより、フィジカル世界のシミュレーションが可能になります。
記憶に新しいのが、コロナ禍における飛沫を再現したデジタルツイン。下記はスパコン「富岳」が飛沫検証をした動画となります。あなたも見たことがあるのではないでしょうか。
つまり、前述のIoTとデジタルツインはサイバー空間とフィジカル空間の違いはあれど同じものということ。いわば表裏一体であり、IoTとデジタルツインがCPSの両輪となっています。
それでは、CPSのメリットと今後の展望について考えてみましょう。
CPSのメリット
製造業における主なCPSのメリットは下記の3点です。
CPSはIoTによって工場のデータを収集することができます。また、そのデータを蓄積し、解析することで生産ラインの最適化が可能。サイバー空間でシミュレーションすることによって、実際の生産ラインでは試せないことも試すこともできます。
更にデジタルツインによって高度な自動化を実現することも可能。
また、サイバーとフィジカルを融合させることで、サイバー空間上に工場を再現させるなどの新たな価値を見出すことができるでしょう。
このように、CPSの概念を用いることで、製造業における可能性が大きく広がります。では、CPSを利用した成功事例を紹介しましょう。
CPSの成功事例
製造業におけるCPSの成功事例として、次の3つを紹介します。
では、具体的にCPSの取り組みを見ていきましょう。
パナソニックにおけるCPSの取り組みとして、下記のようなことを行われています。
パナソニックでは家電製品から産業機器まで様々な事業を展開されていますが、CPSで大きな成果が出たのは設備投資でした。製造業において、スムーズな設備投資ができなければ機会損失につながります。したがって、設備投資の期間短縮は大きなメリットと言えるでしょう。
パナソニックの電池事業での設備投資ではCPSを導入することで、計画時間が従来の1/10の時間で判断できたということです。電池の生産ラインとなると、かなり大きな設備。計画段階での時間短縮は次の工程へとつながる大きな成果と言えるでしょう。
株式会社東芝が開発した設備点検支援クラウドサービス 「Sharepo™(シェアレポ)」はオフィスビルや商業施設の設備点検を行うCPSサービスです。具体的なサービス内容は下記のようになっています。
実際に「Sharepo™」を利用する場合にはスマートフォンを使っての操作が多く、手軽に使えるというイメージです。ビル管理・保全業務は点検作業や稼働データの収集に手間が掛かります。しかし、「Sharepo™」を利用すれば工数は大幅に削減可能。
更に、CPSはデータの蓄積と解析によって、発生する可能性のあるトラブルを未然に防止することにも役立ちます。
したがって、ビル管理・保全業務のCPS化を検討している場合には有益なサービスと言えるでしょう。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)では、2019年11月に「製造業向けデジタルツインソリューション」の提供を開始しました。「製造業向けデジタルツインソリューション」とは、
などをコンピュータ上のサイバー空間に再現するものです。サイバー空間上に再現した工場で生産の最適化を見出すことができます。
CTCのデジタルツインソリューションでは、更にAIを用いたデータ解析を用いることによって、より高度な自動化へとつなげることも可能です。
従来のCPSの導入には敷居が高いイメージがありましたが、CTCのデジタルツインソリューションによって製造業へのCPS導入がしやすくなりました。
本記事では、製造業におけるCPSの導入について詳しく解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
CPSとはCyber-Physical Systemの略で、サイバー空間(Cyber)と物理空間(Physical)の情報を相互に分析して活用していくというものです。具体的な手順としては次の2点。
CPSの主なメリットとしては、次の3つが考えられます。
特に、サイバー空間に工場を再現することで、従来は試せなかったことを短期間に実現可能。更にフィードバックすることで生産ラインの最適化も容易となります。
また、実際にCPSで成功している事例として、パナソニック・東芝・伊藤忠テクノソリューションズの3つの例を紹介しました。他にもCPSで成功している国内の事例はたくさんあります。
日本国内の製造業は既に労働人口の減少という問題に直面しつつあり、CPSは今後ますます利用されるでしょう。ぜひ、御社でもCPSの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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