産業用ロボットと協働ロボットの違い!安全基準の緩和で導入増加

産業用ロボットと協働ロボットの違い!安全基準の緩和で導入増加
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こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]

ロボイヌは人とロボットが一緒に働ける、優しい世界が大好き!
実は、ロボイヌは協働ロボットの仲間なんです。

そう言えば最近は協働ロボットの活躍が目覚ましいですね。

近年、工場の生産ラインで見掛けることが多くなった協働ロボットは、従来の産業用ロボットとは種類が異なります。最もわかりやすいのが、人間と一緒に作業ができるという点でしょう。産業用ロボットは危険なイメージが強く、協働ロボットは優しいイメージです。

ところで、生産工程によって産業用ロボットを使うべきか、それとも協働ロボットを使うべきか悩んだことはありませんか?

従来の産業用ロボットと協働ロボットには得意・不得意な作業や様々な制限の違いがあります。そこで本記事では、産業用ロボットと協働ロボットの違いについて詳しく解説しました。

また、協働ロボットの導入事例や導入の手順についても解説しています。

産業用ロボットと協働ロボットの違いを知り、御社の作業環境をより良くしていきましょう。産業用ロボットと協働ロボットを上手く活用することで、生産性が向上することは間違いありません。

産業用ロボットと協働ロボットの違い

従来の産業用ロボットと協働ロボットの主な違いを簡単に表現するなら、根本的な部分は下記の点になります。

  • 産業用ロボット:人間の作業員の代わりに働くように設計されている
  • 協働ロボット:人間の作業員と一緒に働くように設計されている

つまり、従来の産業用ロボットは製造工場で単純作業を行うことに長けているので、同じ製品を大量生産する場合には便利なシステムです。ただし、人よりも動作が速く、力も強いために危険を伴います。その為、産業用ロボットの作業範囲には人が入れないような設計をしなければなりません。

一方、協働ロボットは人の手助けするような作業に長けています。そのため、ロボットの作業範囲に人が入る必要があるので、安全柵などを設置せずに稼働可能です。

また、協働ロボットは小型のものが多く、安全に利用できるように設計されているので広い設置面積も必要ありません。

上記のことを、もう少しわかりやすく表にまとめました。下表をご覧ください。

項目産業用ロボット協働ロボット
作業内容主に単純作業
産業用ロボット単体で完結する作業が多い
人と一緒に作業ができる
ロボットの特性パワーが強い
動作スピードが速い
パワーが弱い
動作スピードが遅い
設置場所安全対策として柵の設置が必要
広い設置場所が必要
安全基準が緩く柵が不要
設置場所を選ばない
制御主に位置制御
ティーチングが複雑
位置制御とトルク制御(力制御)
ティーチングが容易
生産物同品種・大量生産が中心多品種少量生産に柔軟に対応可能
産業用ロボットと協働ロボットの違い

産業用ロボットと協働ロボットの違いについてはわかりましたが・・・
どうして最近は協働ロボットの導入が増えているのでしょう?

製造業で協働ロボットの導入が進んでいるのはなぜ?

従来の産業用ロボットと協働ロボットは作業区分は異なるものの、従来の産業用ロボットを利用しても良さそうなもの。しかし、近年は特に製造業において協働ロボットの導入が増えています。それはなぜでしょうか。

協働ロボットの導入が進んでいる主な理由としては次の2点です。

  1. 協働ロボットに関する安全基準は緩い
  2. 協働ロボットは導入が容易

それぞれについて、もう少し詳しく解説しましょう。

協働ロボットは産業用ロボットよりも安全基準が緩い?

産業用ロボットの安全基準として、ロボットの出力容量(パワー)が重要です。つまり、出力の小さなロボットは危険性が低く、出力の大きなロボットは危険性が高いとの認識でした。

労働安全衛生法には以下のように記載されていました。

当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。
但し、定格出力(駆動用原動機を二以上有する者にあっては、それぞれの定格出力のうち最大のもの)が80ワット以下の駆動用原動機を有する機械は除く(労働安全衛生規則第36条第31号)

労働安全衛生規則150条の4 抜粋

しかし、度重なる法改正により80W以下という条件が削除されました。改正されたのは2013年12月24日の厚生労働省通達(基発1224第2号)です。

つまり、80W以上の定格出力であっても、ISO 10218-1/-2:2011に準じた措置を講じていれば安全柵(または囲い)の設置が不要とのこと。

上記の規制緩和により協働ロボットの範囲が広くなり、製造現場では導入しやすい状況になりました。

また、ロボットメーカー各社の企業努力によって、ロボット自体の安全技術が進化しています。ロボットの安全技術が進化したことで、人とロボットがより安全な作業空間を確保しやすくなりました。

このように80W規制の緩和とユーザー側での安全性の確保が容易になったことにより、産業ロボットではなく協働ロボットの導入が進んでいる状況です。

協働ロボットは従来の産業ロボットよりも導入が容易

生産ラインにおいて産業ロボットを活用するには、ロボット単体だけではなくハンド部分や周辺機器などの付帯設備が必要でした。そのため、従来の産業用ロボットの導入にはいくつかの障壁があります。

『ロボットは半完成品』と言われるように、ロボット単体で完結することはありませんでした。しかし、協働ロボットの場合は最低限、ワークに対応したハンドがあれば作業が完結することが多いでしょう。

また、ロボットを動作させるプログラムやティーチングに関しても、産業用ロボットの方が複雑という印象です。たとえば、協働ロボットを製造販売しているデンソーウェーブでは下記2点を開発しました。

  • ビジュアルプログラミングツール
  • ダイレクトティーチング方式

従来の産業用ロボットよりもわかりやすいプログラミングとティーチングを取り入れることで、協働ロボットの導入がより身近になった例です。

このような流れはデンソーウェーブ以外の協働ロボットでも同様。今までは教育・訓練を受けた専門家しかできなかったことが、誰でも簡単にできるようになったと言っても過言ではありません。

こちらは協働ロボット「テックマン」のティーチングとプログラミングの方法を紹介している動画です。

まるでおもちゃで遊んでいるような感覚でプログラミングが進んでいるのがわかるのではないでしょうか。

よって、協働ロボットはハードソフトの両方で導入が容易になっていることは確かです。また、生産ラインの組み替えが発生した場合においても、協働ロボットなら容易に変更が可能となります。

システムの立ち上げという点でも大きく時間短縮ができるので、協働ロボットの導入はますます進んでいるという状況です。

それでは続いて協働ロボットの導入事例を紹介しましょう!

協働ロボットの活用事例

協働ロボットの導入事例として、次の2社を紹介します。

  • ボールネジ組み立て作業
  • 製函&箱詰め作業

動画を交えて具体的に見ていきましょう。

協働ロボットを活用したボールネジ組み立て作業

下の動画はボールネジの組立作業です。こちらはファナックの協働ロボット『CRXシリーズ』を導入している事例となります。

動画は協働ロボットがワークを取り出し、人が組み立て手作業を行うという工程です。協働ロボットとしてはかなり大型のロボットで可搬重量も10kgとなっています。

また、前述したようにプログラミングツールの使い勝手は従来の産業用ロボットとは異なり、ブロックを組み立てるようなイメージで作ることが可能です。

協働ロボットで製函&箱詰め

下記の動画は、「外観検査」「製函」「箱詰め」という3つの工程を協働ロボットと人が共同で行うという導入事例です。

協働ロボットの動作としては、次の2つの工程となります。

  1. ダンボールの組立作業(取り出し・組み立て・形を整える)
  2. 3個の瓶を取り出して箱に詰める

この工程で協働ロボットを導入する大きなメリットとしては、安全柵を設置する必要がないという点でしょう。動画を見ると一目瞭然ですが、安全柵が無いことで狭い場所にも設置可能です。

協働ロボットは簡単に導入できるということですが、実際はどのような手順でしょう?

協働ロボットの導入手順

協働ロボットの導入手順は以下の通りです。

現状の課題を明確にする

まずは現在の生産ラインの見直しが必要です。どのようなことに困っているのか、協働ロボットを導入することで改善が可能か否かを検討します。

ロボットの導入計画とロボット選定

課題が明確化できたら、ロボットの導入計画を作成します。計画と同時に協働ロボットの選定や必要となる付帯設備についても検討が必要です。

協働ロボット・付帯設備の設計

協働ロボットや付帯設備を検討したら、具体的な設計を行います。生産ライン全体のレイアウトの変更なども必要になるかもしれません。ロボットハンドなどについても、ワークの品種毎に最適なものを製作する必要があります。

協働ロボットの安全設計

協働ロボット導入におけるリスクを検討します。リスクアセスメントなどを利用し、安全基準を考慮した安全設計が必要です。

協働ロボット・付帯設備の制御設計

協働ロボットの制御プログラムを作成します。プログラミングを実施するうえで、どうしてもセンサが必要という場合には追加が必要です。また、周辺機器の動作に関しても制御プログラムを作成しなければなりません。

導入・立ち上げ

生産ラインに協働ロボット・周辺設備を導入し、実際にテスト運転を行います。最適なティーチングが必要です。また、周辺機器との取り合いなども実ワークを使用してテストします。

生産ラインの保守・運用

日々の生産を行うと同時に、点検・保守業務が必要です。運用ルールを作成し、定期的な見直しを行いましょう。

上記のようにロボットの導入手順自体は難しいものではありません。

しかし、実際の導入の際には様々な問題が発生することが考えられます。そのため、導入を円滑に実施するには実績のあるSIerへの依頼がおすすめです。

産業用ロボット・協働ロボットは最適な活用を!

本記事では従来の産業用ロボットと協働ロボットの違いについて詳しく解説し、さらに協働ロボットの導入事例についても紹介しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。

従来の産業用ロボットと協働ロボットの最も大きな違いは下記の2点でした。

  • 産業用ロボット:人間の作業員の代わりに働くように設計されている
  • 協働ロボット:人間の作業員と一緒に働くように設計されている

また、ロボットの安全基準の緩和とロボットメーカーの企業努力による安全技術の進化により、協働ロボットの導入が容易となりました。今後はますます協働ロボットの導入が増えるでしょう。

しかし、実際にロボットを導入する際には知識と経験が必要。そのため、円滑なロボット導入は、実績のあるSIerへの依頼がおすすめです。

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