OPCサーバーとは?OPC UAとDAの選び方・導入が要る条件と、OPCサーバーが向かない3条件【2026年版】

工場の設備からデータを集めようとすると、PLCのメーカーごとに通信方式が違い、1つのソフトでまとめて読めないという壁に当たります。この壁を越えるためによく使われるのがOPCサーバーです。この記事では、OPCサーバーの役割と、OPC UA/OPC DAの選び方、導入が要る条件・要らない条件を、判断の順番に沿って整理します。

この記事の要点

  • OPCサーバーは、メーカーごとに違う機器の通信方式を、OPCという共通の形にそろえて公開するソフトです。データを使う監視画面やMESの側がOPCクライアントです。
  • 新しく構築するならOPC UAが基本です。OSを選ばず、暗号化と証明書による認証を備えています。
  • 機器がOPC UAのサーバー機能を内蔵しているなら、専用のOPCサーバーを置かずに直接つなげる場合があります。
  • 選ぶときは対応する機種(ドライバ)・タグ点数・更新周期・セキュリティを確認します。
  • ミリ秒単位の制御信号のやり取りや、集めたデータの使い道が決まっていない段階には向きません。
PR図面バンク — AIで図面を探す・活かすクラウド図面管理システム。

この記事はどんな判断に役立つ?

この記事が支援する判断:生産技術・設備担当者が、設備のデータを集める仕組みを発注する前に「OPCサーバーを入れるか、入れるならOPC UAかOPC DAか」を決める場面を支援します。特定の製品の比較ではなく、その手前の要否と方式の判断を対象にしています。

OPCサーバーとは?何をするソフトなのか?

OPCサーバーとは、PLCなどの機器とそれぞれの通信方式でつながってデータを読み書きし、そのデータをOPCという共通の規格の形で公開するソフトです。監視画面やMESなど、データを使う側のソフトはOPCクライアントと呼ばれ、機器のメーカーを意識せずにOPCサーバーからデータを受け取れます(図1)。

OPCはもともと、WindowsのOLE(COM/DCOM)という仕組みを使った規格として始まり、この系統はOPC Classicと呼ばれます。代表的なのが、機器の現在値を読み書きするOPC DA(Data Access)です。現在は後継のOPC UAが主流になっています。

機器ごとの通信方式を、OPCサーバーが1つの形にそろえる現場の機器A社のPLCB社のPLCロボット・検査装置各社の通信方式OPCサーバー機種ごとのドライバで読み書きOPCの形にそろえて公開OPCクライアントSCADA・監視画面MES・生産管理データ収集・分析OPCで統一機器がOPC UAのサーバー機能を内蔵していれば、中央のOPCサーバーを置かずに直接つなげる
図1 OPCサーバーとOPCクライアントの関係。機器ごとの通信方式の違いをOPCサーバーが吸収する(編集部作成)

OPCサーバーの用途は、稼働状況の監視、生産実績の収集、トレーサビリティの記録、設備データの分析などです。監視画面(HMI)もデータを上位システムへつなぐ入口になり、過去記事では次のように説明しています。

データ・グラフ表示:温度や生産数の推移をグラフ化し、稼働データをネットワークへ出力できます。IoTや上位システムへ連携する入口にもなります。

タッチパネル(HMI)とは|PLCとの違い・役割・選び方を図解で解説【2026年版】
PR図面バンク — AIで図面を探す・活かすクラウド図面管理システム。

OPC UAとOPC DAは、どちらを選ぶべきか?

新しく構築するなら、原則としてOPC UAを選びます。規格を管理するOPC Foundationは、OPC UAを「The OPC Unified Architecture (UA), released in 2008, is a platform independent service-oriented architecture that integrates all the functionality of the individual OPC Classic specifications into one extensible framework.」(2008年に公開された、プラットフォームに依存しないサービス指向のアーキテクチャで、個々のOPC Classic仕様の機能を1つの拡張可能な枠組みに統合したもの)と説明しています(出典:OPC Foundation)。

OPC DAは、WindowsのDCOMという仕組みで通信するため、OSがWindowsに限られ、ネットワークやファイアウォールをまたいだ接続の設定が難しくなりがちです。一方で、長く使われてきた監視ソフトにはDAにしか対応していないものもあります。表1は、この2つを選ぶ判断基準です。

比べる点OPC UAOPC DA(Classic)
動作するOS・機器Windows・Linux・PLC内蔵などWindowsに限られる
ネットワークをまたぐ接続TCPで設定しやすい(既定のポートは4840)DCOMの設定が必要で難しい
セキュリティ暗号化・証明書による認証を備えるWindowsの認証に依存する
選ぶ条件新しく構築する、他のシステムとつなぐ既存の監視ソフトがDAにしか対応しない
表1 OPC UAとOPC DAを選ぶ判断基準(編集部作成)

OPCサーバーが要るかは、どう判断するのか?

判断は、製品を比べる前に「データの用途」から始めます。図2の順に進めると、専用のOPCサーバーが要らないと分かる場合もあります。たとえば、つなぎたい機器がすべて同じメーカーのPLCで、そのメーカーのデータ収集ソフトで用途が足りるなら、OPCサーバーを間に置く必要はありません。

OPCサーバーが要るかは、この順で決める1用途集めたデータで何を決めるかを先に決める2内蔵の有無機器がOPC UAのサーバー機能を持つか調べる3メーカー機器のメーカーや通信方式が混在しているか4方式OPC UAかOPC DA(Classic)かを選ぶ5規模タグ点数・更新周期・台数からライセンスを決める
図2 OPCサーバーの要否と方式を決める5つの段階。①の用途が決まらないうちに製品を選ばない(編集部作成)

用途を先に決める理由は、集める項目が際限なく増えるのを防ぐためです。スマートファクトリー化の進め方を扱った過去記事でも、次のように指摘しています。

集める対象を先に決めると、そのデータで何を決めるのかが最後まで決まらないからです。

スマートファクトリーは何からつなぐのか?

製品を選ぶときは、何を確認するのか?

要ると判断したら、次の点を製品の仕様書で確認します。①つなぐ機器の機種と通信方式に対応したドライバがあるか ②タグ(読み書きするデータの項目)の点数と台数がライセンスの範囲に収まるか ③必要な更新周期で読めるか ④証明書や暗号化の設定ができるか ⑤動かすPCのOSと保守の体制です。とくに①は、同じメーカーでも古い機種や通信ユニットの有無で対応が変わるため、機種名まで照合します。

OPCサーバーが向かないのはどんなときか?——避けるべき3つの条件

OPCサーバーは、メーカーの違う機器のデータをまとめて集めるための道具です。次の条件に当てはまる場合は、別の手段を選ぶか、導入の前に条件を整えるべきです。

  • ミリ秒単位の制御信号をやり取りしたい——OPCは監視とデータ収集のための仕組みです。設備間のインターロックや安全に関わる信号は、PLC同士の通信やフィールドネットワーク、安全回路で扱います。
  • 集めたデータの使い道が決まっていない——「とりあえず全部集める」と項目が数百になり、どれを見ればよいか分からなくなります。用途と、その判断に要る項目を先に決めます。
  • サーバーのPCを保守する体制がない——OPCサーバーは工場のネットワークに常時つながるPCで動きます。OSの更新や証明書の管理を担う人がいないと、止まったときに誰も直せず、セキュリティの穴にもなります。

データを集める仕組みは、つないだ後に使い続けて初めて価値が出ます。デジタルツインを扱った過去記事でも、実データとつながらないモデルの限界を次のように書いています。

失敗は計測器の不足ではなく、計測したものが判断につながっていないことで起きています。

スマートファクトリーは何からつなぐのか?

OPCサーバーの代表的な製品は?

OPCサーバーの製品は、制御システムのメーカーが自社の機器向けに出しているものと、多くのメーカーの機器に対応するドライバをそろえた汎用のものに大きく分かれます。本記事の初版(2022年)では、横河電機グループのExaopc、KepwareのKEPServerEX、ロボティクスウェアのFA-Serverを紹介しました。対応機種・OPC UAへの対応状況・価格は版によって変わるため、選定時は各社の最新の仕様書で、自社の機種名が対応一覧にあるかを確認してください。

まとめ——OPCサーバーは「用途」から決める

OPCサーバーは、メーカーごとに違う機器の通信方式をOPCの形にそろえ、監視画面やMESなどのクライアントへデータを渡すソフトです。新しく構築するならOPC UAを基本とし、既存のソフトがDAにしか対応しない場合だけDAを使います。導入の判断は、データの用途→機器の内蔵機能→メーカーの混在→方式→規模の順に進め、制御信号のやり取りや、用途の決まっていない収集、保守の体制がない場合は避けてください。

どの設備から、何のデータを、何に使うために集めるかは、業務の流れを分解すると決めやすくなります。設備データの集め方を相談する(無料)

よくある質問(FAQ)

OPCサーバーとOPCクライアントは、どちらが機器側ですか?

機器(PLCなど)とつながってデータを読み書きし、それをOPCの形で公開するソフトがOPCサーバーです。そのデータを使う監視画面・MES・データ収集ソフトなどがOPCクライアントです。最近は、PLC自体がOPC UAのサーバー機能を内蔵している機種もあります。

いま新しく導入するなら、OPC UAとOPC DAのどちらを選べばよいですか?

新しく構築するなら、原則としてOPC UAを選びます。OSを選ばず、暗号化や証明書による認証を備え、ネットワークをまたいだ接続も設定しやすいためです。既存の監視ソフトがOPC DAにしか対応していない場合は、DAを使うか、UAとDAを変換する仕組みを併用します。

OPCサーバーは、制御の信号のやり取りにも使えますか?

OPCは監視やデータ収集のための仕組みで、ミリ秒単位の応答が要るインターロックや安全に関わる信号には向きません。そうした信号は、PLC同士の通信やフィールドネットワーク、安全回路で扱います。

出典

  • OPC Foundation「Unified Architecture」opcfoundation.org(2026年9月29日に参照)
  • IEC 62541「OPC Unified Architecture」

次に読む

PR図面バンク — AIで図面を探す・活かすクラウド図面管理システム。

次のアクション

製造DXドットコムは、製造業の AX(AI Transformation)= 現場の業務を AI で作り替えることを扱うメディアです。運営は株式会社 New Innovations。

記事一覧
PR図面バンク — AIで図面を探す・活かすクラウド図面管理システム。

製造業の基礎知識 の記事をすべて読む(233 本)

製造業のAI活用、週1回の要点だけ

現場で使える事例と手順を厳選してお届けします。
購読は無料、配信停止はいつでもできます。