ピッキングロボットとは?メリットや導入事例などを紹介
- #ピッキングロボット
こんにちは。
産業用ロボットの情報を発信する、製造DX.comです。
産業用ロボットは、半完成品と呼ばれ、そのままでは動作しません。魂を吹き込む必要があり、それをティーチングと呼びます。ティーチングは動作を定義するものですが、外注にプログラミングを任せると、かなりコストがかかるのは事実です。
しかし、動かさなければロボットの意味がありませんので、ティーチングもロボットの作成コストに見積もる必要があります。
一方、ティーチングレスロボットという産業用ロボットのシステム構成も存在します。
ティーチングレスロボットとは、AIコントローラを搭載し、自分で動作を考えて、自分で動くロボットです。今回は、ティーチングレスロボットのメリットと課題についてみていきます。
もくじ
ティーチングレスロボットが進化した理由として、人材不足とロボットシステムのセットアップに費やす時間的負荷の過大さが挙げられます。人材不足は産業のあらゆる点で改革をもたらしています。産業用ロボットも例外ではなく、AIの搭載は同時に人の関わりが減ることでもあるのです。
動作を定義するティーチングは、従来人がやらねばならず、それなりに複雑な作業でした。システムを考えなければなりませんし、プログラミングをするにも人の知性が必要です。しかし、ティーチングレスロボットならもともとAIが搭載されているので、人の関わりがかなり減るのは事実なのです。
動作ルートの選択や対象物の認識をAIによって処理できるようになり、ロボットSIerの職人のセットアップよりも大幅にセットアップ時間を削減できています。
では、そんなティーチングレスロボットのメリットをみていきましょう。
最初に、ティーチング費用が大幅にカットできます。ティーチングは専門のエンジニアが複雑なプログラミングをするので、教育コストも予算に乗りますし、人材の育成も大変です。しかし、ティーチングレスロボットなら、ある程度の動作はAIが自動で行いますので、人の関与が大幅に減り、人件費の削減につながります。
冒頭にお伝えしたように、人が関われば関わるほど、コストが跳ね上がります。人件費はばかにならないのです。
仮に、年収300万円の人を雇用するとして、社会保険や諸経費で年間450万円かかるとします。産業用ロボットが3人分の働きをするとしたら、1,350万円分の削減になりますし、その1,350万円を産業用ロボットの制作費に充てることも十分考えられます。いずれにせよ、もう企業には余分な人員を配置している余裕はなく、適材適所が求められるのです。
さらに、運用コストも下がります。ティーチングレスロボットは、AIを搭載し、復旧作業が容易になることや運搬物が変わった際のティーチング時間の削減ができます。これにより、人間が関わる部分が大幅に減りますので、運用コストもだいぶ下がってくれます。
さらに、複雑な挙動もさせられます。たとえば、アルミニウム製品のバリ取り。バリ取りとは、製品を切削したときや、ダイカスト成形であれば、製品を型から取り出したときにでる素材の出っ張りや角を削り取る工程のことをいいますが、バリは、どんな素材を加工したときにも必ずといっていいほど発生してしまいます。そのバリを取るのに、産業用ロボットのティーチングレスロボットが活躍します。
バリ取りというあまり生産的ではない行為に対し、画像認識を搭載した産業用ロボットで、削っていくのです。複雑な動きができるので、細かい作業もロボットは得意とするものです。もはや人間が動かす必要はありません。
さらに主流として使われているのが、物流倉庫のパレタイズ・デパレタイズや工場の生産物のピッキングです。パレタイズとは倉庫におけるパレットへの積み込みで、軽量なら人間ができますが、倉庫では大型の荷物も多くなるので、ロボット化が理想的です。また、複雑かつ細かい動きで対応できるため、コンベアからのピッキングも注目を集めています。
では、そんな賢くて優秀なティーチングレスロボットですが、課題はないのでしょうか。まず、ティーチングレスロボットがうまく動かないとき、膨大なメンテコストがかかることが挙げられます。ティーチングが不要である代わりに、中身を理解している人がおらず、仮にうまく動かないとき、故障したとき、何を直せば良いかさっぱりわからないとなれば深刻な事態です。
また、難易度が高いというのも挙げられます。AIの搭載は導入する人にある程度の知性が求められ、簡単にいかないのが現状です。高度なスキルを持った人材が必要なので、より人材面での格差が広がっていくことは間違いないでしょう。
産業用ロボットは、もうティーチングが不要な段階に入りつつあります。品質向上や生産力向上、スピード向上など、さまざまなメリットが挙げられることでしょう。課題はありつつも、これから時代はティーチングレスになるのは間違いないと思われます。
人が足りない世の中ですから、産業用ロボットでの生産力向上は不可避です。ロボットそのものが自分で考え、自分で動く。そんな未来がやってきつつあります。ティーチングの人材すらも足りていないので、AIで動かしてAIが自分で判断する、そんなティーチングレスロボットの普及が待たれます。
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