外観検査は自動化するべき?自動化するメリットや考え方について解説
- #外観検査
はじめまして。
ロボットに関係する機械設計の情報を発信する、製造DX.comです。
今回は、製品組付けや製品配置による”バラツキ”についてお話をお届けしていきたいと思います。
ただただ「精度が良ければそれで良し!」ではなく、「必要な性能や必要な目標値を達成しつつ、最低限のコストで設計する」ことが機械設計では非常に大切なこととなってきます。
もくじ
読んで字のごとく、製品1つ1つの寸法のバラツキのことを指します。
ハードウェア製品を造るにあたって、必ず何らかの加工を行います。せん断加工、曲げ加工、鋳造、射出成型、、、などなど、いろんな加工がありますが、そのどれを選択しても必ず、バラツキが発生します。
作業空間の湿度や温度、材料の射出速度、材料の材質含有量などにも影響を受けてしまうため、百発百中で、ある寸法のものを作るのは、ほぼ不可能となってしまいます。
某ファーストフード店のテリヤキバーガーのレタスが食べるたびに大きさや量、質が異なってしまうのと同じ現象が金属や樹脂、アルミニウム等の材質にだって起きてしまうのです。
寸法公差とは、各部品、各製品に必ず要求される精度に対して「この寸法の誤差までなら問題ないですよ」という数値を見える化したものになります。
テリヤキバーガーのレタスが0か100か、なんて悲しいですもんね。「レタスの量は〇〇g~〇〇gとする」というルールを設け、フランチャイズ化しているので一定の味を維持し、お客様を維持することができます。
製造における精度は、粗級→中級→精級のように、公差等級を振り分け、製品には各等級に従った寸法公差が割り当てられます。このとき、精度を要求するほど、コストは大きくなっていきます。これは、工具交換や、製造型のチューニングの頻度を増やす、などの必要があるためです。
なので、精度を求めていないところは、粗級にするなど、コストを下げる必要があります。
(公差等級については、自社規格を適用している企業も多々あります)
単品に対して、『 基準~A面 』までの寸法に対して±1mmの公差が適用されている場合、もちろん、『 基準~A面 』までのばらつきは±1mmですよね。
では、『 基準~A面 』が±1mm、『 A面~B穴 』が±1mmだった場合の『 基準~B穴 』までの適切なバラツキはいくつでしょうか?
±1mmと±1mmだからバラツキは±2mm?・・・答えは、±1.414 です。考え方とともに解説していきます。
まず、最悪のケースで考えている±2mmという答えは、必ずしも間違いではありませんが、組み合わせる部品の数が増えるにつれて、バラツキが大きくなりすぎて、そのバラツキを抑えるために要求精度が高くなり、製造コストが膨大に膨れ上がってしまいます。また、要求精度外の製品については、不良として処理されてしまいます。
そのため、統計的に計算する方法を採用します。
簡単にご説明すると、15mmに対し±1mmの公差を適用していたとしましょう。この場合、『最大値:16mm』『最小値:14mm』となります。しかし実際のところ、『中央値:15mm』を狙って製造しているため、最悪のケースでばらつく確率は少ない。また、その少ない確率が複数箇所同時に発生する確率は極めて少ないので、無視しちゃいましょう。という考え方です。
具体的には、中央値を中心(平均値)とした正規分布となっていると仮定して、このときのバラツキの程度を示すのが標準偏差σ、標準偏差の2乗が分布となります。平均値±σの範囲内にバラツキが収まる確率は、68.3%。平均値±2σの範囲内にバラツキが収まる確率は、95.4%。平均値±3σの範囲内では99.7%が収まります。
一般的に、この±3σ(99.7%)の中に収まるように管理します。つまり、残りの0.3%が不良となります。
「平均値は実際に加工してみないとわからないことでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、平均値が中央値になるよう、加工や製造する際に品質を管理します。試作時に品質管理と相談し、本型品の公差を精査することが大切です。
品質の”千三つ”とも呼ばれ、1000個中、3個の不良が出ることになりますが、最悪ケースの累積で計算した結果に比べ、はるかに製造コストを削減することができます。
『製造コストを上げて1つでも不良を減らす』よりも、『製造コストを下げる分、不良が出てしまうが、その不良はバラツキ管理内の量であるため問題ない』という考え方となります。
基本的に、ロボットを活用して組付けや配置を行う場合は、バラツキの計算の中にロボットの公差を積む必要があります。
例えば、ロボットが部品Aのある箇所を”基準”に部品Aをハンドリングし、ASSYマスター製品の”部品A組付基準”を狙い載せて組付ける。という一連の動作の中でもバラツキが発生しています。
1つ目は、部品Aをロボットがハンドリングした際、部品Aの”基準” と ロボットハンドの間ででバラツキが発生します。
2つ目は、ASSYマスター製品に部品Aを載せた際、ASSYマスターの”部品A組付基準” とロボットハンドの間でバラツキが発生します。
製品全体のバラツキが精査できていれば、上記2つのバラツキに対しても必要な精度が見えてきます。
関節の数が多いと自由度が高くなる一方で、『 関節の数と精度は反比例 』ともいわれています。
高精度な多関節ロボットは非常に高価になる傾向があります。
貴社に合った精度、コストの産業用ロボットを選定するには、自社の製品を見つめなおし、公差を追求するのが必要不可欠だと思います。
しっかりと見つめなおすことでワンランク上の産業用ロボットを導入しなくてもよくなるかもしれませんし、導入後、想定外のバラツキが発生し、組付け不良が発生することも防ぐことができます。
製品の詳細設計がある程度完了していなければ、ロボットの必要精度を見積もることができないのでロボットの仕様検討と対象ワークとなる製品の設計は二人三脚で進めていく必要があります。
また、ロボットのメンテナンスを怠ってしまうと意図した精度を出せなくなってしまうこともあります。
メンテナンスについては過去に記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。
『ロボットのメンテナンスは必須!事故・故障を未然防止!その重要性とは?』
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