国内スマートファクトリー5つの具体的事例!メリットも詳しく解説
- #スマートファクトリー
こんにちは。
ロボットに関係する機械設計の情報を発信する、製造DX.comです。
今回は、ロボットと湿度や温度の関係性についてお話をお届けしていきます。特に各ロボットの推奨環境下においても発生する可能性がある結露についてお話していきます。
管理していないと大きな損失が発生することになってしまうかもしれませんよ・・・。
もくじ
学生時代に習ったかと思いますが、一緒に振り返っていきましょう。
結露の発生には、気温の変化と空気中の水蒸気の量が大きく関係しています。
地球上どの空間においても空気中には水蒸気が含まれていて、空気が含むことのできる水蒸気量の上限は、気温と比例しています。これを飽和水蒸気量と呼びます。聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか?
空気が冷やされることで飽和水蒸気量が小さくなり、空気が含んでいる水蒸気量が飽和水蒸気量より大きくなったとき、水蒸気が凝縮して液化して、物体の表面に水となって現れます。
日常生活でよく目にするのが、外気などで冷やされた窓ガラスやサッシが室内の温かい空気に触れることで結露が発生したり、暖かい部屋で冷たい飲み物が入ったコップを置いておくとコップの周りに結露が発生しますよね。
同じ現象が自動車や家電は勿論、ロボットにだって発生します。
ちなみに”暖かい”と”温かい”の使い訳は、”寒い”の反対が”暖かい”、”冷たい”の反対が”温かい”なんですって。日本語は難しいですね。
さて、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、いろんなお客様に使っていただいているため使用環境を制御することが難しい製品はたくさんあります。
例えば、自動車。雪のたくさん降る地域もあれば、年間を通しても暖かい地域もあり、日本中は勿論、欧州など世界中に対応するためにいろんな対策をしています。
一番簡易的かつ効果的な結露対策として、樹脂材の使用です。金属と比べ、樹脂の熱伝導率は、数百分の一、アルミに至っては1000分の1程度で、とても熱を通しづらい材料なので、内外部の温度差の影響を受けづらくすることができます。
ただ、ハーネスなど、配線は金属にせざるを得ないため、経路を”U字”にして、結露した場合でも水が下に垂れるように制御して、コネクタ部に水伝っていかないように経路設計しています。
しかしながら、ロボットアームでは、各関節が可動しますしので、姿勢や方向すら制御することができないので、対策は勿論されていますが、条件の大半は使用環境に委ねることになります。
当然のことですが、結露は水分なのでそれに関わる以下のような悪影響が発生します。
① 短絡(ショート)
意図していない電気回路間での通電のことを短絡(ショート)と呼びます。電気が設計された正しい回路を通れば、各所で電気的負荷が発生するので問題ないですが、短絡した場合、とても大きな電流が流れることになります。
発生した電流によってケーブルや配線器具が加熱されて最悪の場合、発火する可能性もあります。
基本的には、電気設備の設計の中で短絡を防止したり、短絡が発生しても電気回路を開放・遮断できる保護装置を設けていますが、やはり予期せぬ事故につながる可能性があります。
②大気腐食
いわゆる錆です。高湿度下で腐食したり、結露水により腐食することを大気腐食と呼びます。
一般的な金属は、湿度50%程度から急激に錆が進行してしまうと言われており、それを踏まえると結露水が素材に接触することで錆てしまうことは容易に想像できるかと思います。
「防錆塗装してるから大丈夫」と思っていても結露は内部から機器や架台内部から発生する可能性も十分にあります。
架台の腐食により、ロボットが倒れるだけならいいですが、作業員が怪我をしたり、大きな事故につながります。
③異種金属間での電食
異種金属が接した状態で水が触れると微弱な電流が流れます。
このとき、電流が酸化しにくい貴金属(銀や銅など)から酸化しやすい卑金属(アルミニウムや亜鉛など)に流れることで卑金属がイオン化して腐食してしまうことを電食(ガルバニック腐食)と呼びます。
一般的に貴金属というと、金や銀、プラチナ等のジュエリーでよく使われる金属を思い浮かべますが、合金であるステンレスも貴金属の銅と同等となります。
電蝕については、また、別の記事で詳しくお話したいと思いますが、例えば、機械設計業界でよく耳にするのは、『ステンレスと亜鉛メッキを使用した鋼材』『ステンレスと素材のアルミ』です。
適切な知識を積んでいない方の設計により電蝕が発生してしまい、当初の設計より大幅に強度が落ちるということは残念ながらよく聞く話です。
少し難しいですが、ご興味のある方は、ぜひお調べください。
産業用ロボットはとても高価なお買い物です。日々のメンテナンスは勿論、導入環境を管理することにより、未然に事故を防ぐことができ、ムダな出費を抑えることができます。
倉庫など扉の開け閉めが激しかったり、外気温に影響されやすい環境である場合は、対策をする必要があるかと思います。
倉庫内の温度分布や、日差し、風通しなどの把握は勿論、エアコンの風が直接当たる場所など急激な温度変化の危険がある場所の把握はとても大切です。
24時間稼働している工場や倉庫の場合は、温度変化が少なく、比較的管理が容易ですが、限られた時間のみ稼働している工場や倉庫は特に注意が必要です。
いかがだったでしょうか。各ロボットの仕様書に温度や湿度の指定がされていますが、結露に関しては、指定された環境内でも起きうる現象です。
協働ロボットについては、特に導入ハードルが低く、大型ロボットに比べ、架台への要求が少なく、内製で検討することも少なくないと思います。
しかし、安全への配慮は、ロボットが人やものにぶつかったりすることを防ぐだけではなく、使用された材質や環境まで把握することです。
ロボット導入をすることで、より安全な環境をつくり上げましょう。
勿論、日々のメンテナンスも欠かせません。メンテナンスについては過去に記事を掲載していますので、ぜひご覧ください。
『ロボットのメンテナンスは必須!事故・故障を未然防止!その重要性とは?』
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