物流倉庫で活躍する産業用ロボット!各工程を自動化するメリットは?
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こんにちは!ロボットに関係する機械設計の情報を発信する、製造DX.comです。
前回は、強度検討についてお話をしました。基礎の内容でしたが、簡単な計算であれば調べたらできるようになったかと思います。
まだ前回のコラムをご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。
素材や部材の強度を確認するために必要なこととは?ー強度計算に必須な基礎知識!(内部リンク)
今回は、前回のコラムの中で話さなかった素材の変形についてお話していきます。
もくじ
鋼は、ある応力以下であれば、力を取り除いたとき、元の形状に戻ることができます。
バネを使って遊んだことのある方はご存知だと思いますが、バネを伸ばしていくとあるところを境に戻らなくなってしまいます。これを塑性変形と呼び、ある応力以上の領域を“塑性域”と呼びます。
逆に、ある応力以下の場合バネは元の形状に戻ることができます。この元に戻るレベルの変形を弾性変形と呼び、ある応力以下の領域を“弾性域”と呼びます。
下図は応力ひずみ線図といい、基本的な金属はある応力を加えたとき、下図のような変形をしていきます。
弾性域と塑性域の境目の点を”降伏点”と呼び、名前の通り材料が降伏する点であり、強度計算をする際もこの降伏点の応力以下を許容応力とします。
前回のコラムの中で”ヤング率”についてお話しましたが、ヤング率は弾性率の1つで、”弾性”率という通り、弾性域内での計算で用いることができます。
基本的に設計者は弾性域内で強度検討を進めていきます。
椅子の設計で例えると、「椅子に座る、椅子の上に立つ」のような通常起こりうる使い方の場合は必ず弾性域内で設計します。
しかし、バランスの悪い場所に椅子を置いてかつ、その椅子の上に立つといった使い方をされた場合、「そんな使い方するほうが悪いでしょ!」と言いたいところですが、設計者としては、お客様の安全が第一優先です。なので、壊れて椅子がひっくり返らないけど、支える脚は曲がってしまう、異常な使われ方をしたときでも材料が破壊に及ばない強度設計を行います。このとき使用するのが塑性域内の計算です。
しかしながら、塑性域内での計算はとても難しく形状に左右されることも多いため、スキルのある方と進めていくことをおすすめします。
前項で応力ひずみ線図を載せましたが、アルミや銅などの材料では、明確な降伏点が存在しません。
上図のようになだらかに塑性していくため、”点”となるところがなさそうなのは確認できるかと思います。
このような性質を示す材料の場合は、除荷した後に残る塑性ひずみが0.2%になるときの応力を耐力として定義しています。これは鋼でいう降伏点と同様な意味合いで利用されることが多いです。
この耐力は一般的に”0.2%耐力”と呼ばれており、思わず言いたくなってしまう言葉の1つです。
設計者でも頭から抜けてしまうこともある、加工硬化についてみていきましょう。
金属に応力を加えて塑性変形させたとき、金属が硬くなることを加工硬化呼ばれます。ひずみが大きくなるにつれて変形抵抗が大きくなるのでひずみ硬化とも呼ばれることがあります。
例えば、針金をクネクネと曲げたとき、1度曲げたところは硬くなっていて曲がりづらくなる、なんて経験ありませんか?まさにそれが加工硬化です。アニメ等の中にも鍛冶職人が刀を叩いて強くしているシーンなど想像する方もいると思います。
この項目の冒頭で言いました『 設計者の頭から抜けてしまう 』のがなぜかと言いますと、基本的に設計時では加工硬化をコントロールすることができません。
例えば板金設計では、素材の物性値で強度計算を行います。その後、試作型などで曲げ加工や絞り加工等をしていきますが、絞ったり曲げたりする際に金属が伸び縮みします。加工を外注している場合、材料をどのくらい伸ばしながら絞るのか等の知見は、製造元のノウハウになることが多いので、あえて加工硬化を念頭に置いた計算をすることは少ないと思います。
そんな良い点でもある加工硬化の大きなデメリットとして、耐久性が低下してしまいます。”硬くて脆い”なんて言葉聞いたことがあるかと思います。硬くなるにつれ、逆に脆くもなります。脆くなるというのは、粘り強さが低下するということであり、耐久試験などでは素材に比べ、割れや破断が発生しやすくなります。
いかがだったでしょうか。前回のコラムの中で『 強度解析(CAE)=正 』ではありませんとお伝えしました。今回の内容でもあった塑性域、弾性域の話も解析をする中で大きくかかわっています。
多くの強度解析の演算の中では、塑性域に関する計算を行っていません。
例えば、一般的な鋼の降伏点は240MPa程度ですが、「強度解析の結果では、応力が400MPa、変位量が20mmでした!目標変位以内なので目標達成です!」と元気よく喜ぶ新人さんがいたりします。(新卒時の私です。。。)
強度解析上では、降伏点のはるかに通り越し、本来であれば部材が破断している状態でも、破断せず計算を結果を出してくれます。しっかりと理解して運用していくことが大切です。
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