ロボット導入におけるRFP作成の流れと4つのメリットを詳しく解説!
- #RFP
こんにちは!ロボットに関係する機械設計の情報を発信する、製造DX.comです。
前回は、材料の特性についてお話をしました。まだご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。
ステンレスやアルミニウム合金の材料の性質ー構想設計に使える基礎知識!(内部リンク)
記事の中で「ヤング率」「断面二次モーメント」「断面係数」といったワードが出てきて少し難しかったかと思います。
今回は、その3つのワードについてお話をお届けしていきます。強度計算を行うとき必ず出てくるワードで業界問わず、詳細設計などに使える情報となっています。
これによってなにを求めることができるか、強度が不十分なときはどうするべきか、初心に振り返って進めていきましょう。
まず、”求めることができるもの”から見ていきましょう。
・応力
ある物体に力を加えたときにその物体内にも力を発生する”1mm^2あたりの力”のことです。
「物体内にも力が・・・」と考えると難しそうに聞こえますが、勇者がモンスターに攻撃したとき、モンスターにダメージが発生する。そのダメージこそ応力です。
・たわみ
応力によって生じる変形のことを”たわみ”を呼びます。こちらは、”板がたわむ”など、日常会話でも耳にしたことある方も多いのではないでしょうか?
初心者の方が混乱してしまう単語で”ひずみ”がありますが、大きな違いとしては、変形方向にあります。
たわみは、軸方向と直交方向に力を受けたときの変形のことで、飛込競技の飛込台のイメージです。
一方、ひずみとは、軸方向に荷重を受けたときの変形と元の長さの比率のことです。こちらは輪ゴムをイメージするとわかりやすいですね。
向きが違い、また、ひずみは比率のことであると覚えておくと間違いづらくなると思います。
この2つの応力、たわみ量を求めるために使用するのが、冒頭の3つの単語になります。各単語の意味を確認していきましょう。
さて、いよいよ前回のコラムで出てきたワードのお話です。
応力とひずみの比率のことをヤング率と呼びます。伸びの弾性率、縦弾性率ともいわれる弾性率で、ヤング率は材料の強さの尺度となります。
すなわち、ヤング率が高いほど強い材料であり、変形しにくい材料であることを示します。
前回のコラムの中で「ステンレスはアルミニウムの約3倍のヤング率」とあった通り、単純にステンレスはアルミの3倍強いということがいえます。
モーメントとか、二次とか複数の単語が合わさった言葉を聞くとなぜか難しく感じてしまうのは私だけでしょうか・・・。
ただ、断面二次モーメント自体はそんなに難しいものではなく、単純に”形状の曲がりにくさ”のことを表します。
前項のヤング率は、素材そのものの強さ、断面二次モーメントは、形状による強さなので、この二つでもう何か計算ができてしまいそうですね。
断面二次モーメントは形状ごとに公式があり長年設計をしていたり、導出方法を理解すると覚えることができますが、例をあげると
長方形の場合は、(幅X高さ^3)/12、円形の場合は、(πD^4)/64、またこれらの組み合わせにより中空形状の計算をすることができます。式からもわかる通り、長方形の高さが3乗で効いてくるため、向きを変えることで、数値が大きく変わってきます。
文房具の下敷きで例えると簡単にイメージが付きますね。一方は簡単にたわみ、割れてしまいますが、もう一方は割れません。
前回のコラムの中にも出てきましたが、アルミの押出成形では、断面形状を自由に設計することができるため、不足しているヤング率を断面強度で補うことができるため、優秀なことがわかりますね。
材料力学の中でもとても重要な概念となりますので、覚えておきたいですね。
断面係数とは、”断面性能を表す値”のことで、曲げに対する強さのことです。
前項目にある断面二次モーメントと密な関係であり、ソーシャルディスタンスを取りたくても取ることができません。
また、”曲げに対する強さ”という意味では、同じですので初めての方が少し混乱を招くかもしれません。更に、断面係数を求める公式は、長方形の場合、(幅X高さ^2)/6であり、断面二次モーメントの公式の(幅X高さ^3)/12と酷似しています。
慣れない間は、何を求めたいか、それによってしっかりと教科書を見返し公式を確認するようにすると間違いも少なくなると思います。
似たり寄ったりな2つに思えますが、力学の中では全く違う使い方をします。具体的には、断面二次モーメントはたわみ量を求めるときに使用し、断面係数は、応力を求めるときに使用します。
実務では、一般的に、まず許容変位量(たわみ量)から必要断面を計算し、その断面で発生しうる応力を確認していきます。つまり、最初に断面二次モーメントを求め、次に断面係数を求めるといったイメージになります。(設計の趣旨によって異なります)
最近では、強度解析(CAE)を用いて設計することが一般的になってきましたが、実は、”強度解析=正しい”をいうのは間違っています。
強度解析の基礎として有限要素法を用いて演算が行われています。有限要素法とは、解析が行えるように形状を分割し、その分割した形状の計算を行う、次にその隣の形状の計算、また隣の形状の計算・・・と計算して近似解を求める方法となります。
つまり、形状分割が大きく結果を左右し、また、近似解ので決して正しい数字を得られるものではないです。一般的な解析の使い方としては、旧製品と新製品等の比較解析が良いでしょう。(強度解析の正しい運用方法はまた別のコラムでお話します)
営業さんや意匠屋さんは「そんなの解析ですぐ結果でるんじゃないの!?早くして!」と怒らず、寄り添ってあげると良いかもしれませんね。
設計者さんは、できるだけ簡易的な形状で手計算を行い、より正確なより安全な設計をしていきましょう。
レベルの高い設計チーム内では、打合せ中やDR中に暗算で断面二次モーメントや断面係数を求め、簡易的な形状をイメージすることも多々あります。(恐ろしいことに形状を見ただけで断面係数を言い当てる人たちもいらっしゃいます)
簡易形状程度の計算はぜひ身につけていきましょう。
いかがだったでしょうか。レベルの高い営業担当者さんの中には『 商談中に暗算で必要強度を求める 』なんて人が当然いらっしゃいます。
設計者さんは、絶対負けたくない領域なので、ぜひ身につけていきましょう。
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