【ロボット導入事例】熱間鍛造用の金型の硬化処理を自動化!熟練技能を正確に再現し品質向上へ
- #溶接ロボット
製造DX.comでは工場自動化の事例を紹介しております。参考資料は経済産業省が展開しているロボット事例となりますが、見やすく、わかりやすく、をモットーに初めての方でも問題なくご覧いただける記事制作を行っております。
もくじ
配置変更により出荷工程の負荷が増大し、作業の質を維持できなくなっていた
今回の事例のエンドユーザー様は、事業の1つとして医療機器の製造を行っていました。多品種を扱っている企業様であるため、各品種を判別して、荷積みをして出荷する必要があり、その工程を2名の作業員が負担しておりました。製品の重量はおおよそ12kgで、一般的に人が持ってはいけない”重量物”とは扱わないものの、長時間にわたり、12kgもの段ボールを荷積みするのは、負荷が高いのは明白です。
しかし、ロボットの導入をまだされていない企業様だったため、「現場の要求に応えられる仕事をこなしてくれるのだろうか?」 「作業者が馴染んでくれるのだろうか?」 「故障して生産に支障をきたすのでは?」といくつもの不安があったため、踏み出せていませんでした。社内の編成が変わり、人員配置の形態も変わってしまったことから、作業の質を維持できなくなってしまいました。
「配置を戻せばいい」と思う方もいらっしゃると思いますが、今回の場合は戻すことができませんでした。理由は、『生産数向上』を目的とした配置変更であり、他の工程の改善は成功し、生産数は確実に増えています。しかし、出荷工程の負荷がオーバーしまう大きな問題を抱えてしまいました。その結果、不安があったものの、抜本的な解決策として、ロボット導入を検討することになりました。
今回の事例の場合は、対象が多品目だったため、パレットチェンジャの導入が必要不可欠でした。パレットチェンジャとはロボットやセンサから信号が送られてきた際、適したパレットを引き当てることができる機器です。今回のシステムの動きとしては、流れてきた製品をカメラで識別、製品に合ったパレットをロボットアームの手元へパレットチェンジャが搬送、そのパレットへロボットが荷積み。
比較的シンプルな構造のシステムではありますが、設備規模(設置範囲)が大きくなってしまうのが難点です。今回は協働ロボットが選定できるサイズ感だったため、安全柵が不要で比較的コンパクトなシステムが実現しました。
本案件は、弊社が設計したものではないため、具体的な導入費用を掲載することができませんが、効果などとしては下記のようになっています。
対象の工程では、従来腰痛や椎間板ヘルニアを患ってしまう作業員が多く、それが原因で欠勤になってしまう方がいました。荷積作業へロボットを導入することで、抜本的な解決ができました。作業員の中では、ロボットへ愛称をつけ呼んでいるようで、作業工程にとてもなじんでいるようです。
※参考動画は本案件のロボットシステムではありません
人員の配置転換によって、生産効率が落ちたり、今までできていたことが上手くできなくなってしまうというのは、少なくありません。理想的なのは、『全ての工程の効率が上がる』。ですが、生産管理を行っている方ならご理解いただけると思いますが、工程は複数あり、前工程、後工程にも関わっていることなので、ある工程の効率を上げても、後工程で詰まってしまう、後工程への思いやりができていない、なんてことも課題としてあがってきます。
今回の事例は、まさにそういった、他の工程を改善した結果、後工程である荷積工程の負荷が上がってしまい、社員の負荷や体調不良も加速してしまった事例でした。今回の事例の企業様は、最初、ロボット導入への抵抗が強かったですが、導入後の満足度は非常に高く、不安も取り去ることができ、他の工程も自動化を検討しています。一歩踏み出し、ロボットを検討してみると、よりよい未来を切り開くことができるかもしれません。
自動化を行うにあたって知っておくべき事項をまとめた「工場自動化ガイド」を作成しました。これから自動化を行っていきたいと考えている企業様は是非参考にしてみてください。
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