【事例紹介】AGV導入で得られる3つのメリットと実現できること
こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
この前、初めて通販を利用してびっくりしました。
注文した次の日に商品が届くって、どんなからくりなんですか?
もしかするとAGVが大活躍しているのかもしれませんね!
AGVとはAutomatic Guided Vehicleの略で、日本語に訳すと自動搬送車・無人搬送車。AGVは磁気のガイドテープがあれば、ガイドに沿って自動で走ることができる便利な装置です。
AGVについての基本的なことは『AGV・AMRとは?工場・倉庫で活躍が加速!スマートな自動化に貢献!』の記事をご覧ください。
今回は、AGVの導入事例を紹介しながら、実際に導入した場合のメリットとデメリットについて考えてみましょう。
AGVはAmazonの大規模倉庫などで活躍しているように、随分前から工場などで利用されてきました。しかし、まだまだ活用されているところは少ない印象です。
ぜひAGVのメリットを知り、今度の事業展開に役立てててみませんか?
もくじ
AGVの導入事例!人手不足の職場改善
まずは下記は以前に別の記事で紹介したことのある物流倉庫のAGV導入事例を紹介しましょう。
下記の事例は比較的小規模な物流倉庫ですが、AGVを導入することで年間約1000万円のコスト削減を実現しています。
実際に得られた効果を具体的な数値で表すと、下記のようになります。
投資回収年数 | 約6.6年 |
生産性 | 約4倍 |
導入部門人員 | 5人削減 |
効果 | 約1000万円/年のコスト削減 |
その他の効果 | 過酷作業の代替、採用できる作業者の幅が広がった |
約6.6年で投資した費用を回収できる計算なので、継続的に利用することでますます効果が上がるでしょう。
また、倉庫作業なのでどうしても重労働になりがちな部分があります。しかし、AGVを導入することで作業員の過酷な作業は激減しました。従業員の肉体的・精神的な健康を保つという点でも大きな効果が得られていることがわかります。
もう少し具体的な導入事例を見てみましょう!
下記2社ではトヨタL&FのAGVを導入しています。
- ダイキン工業
- 共同物流サービス
それぞれ、どのような効果が得られたのでしょうか。
ダイキン工業のAGV導入事例!多品種少量生産に対応
下の動画は業務用の空調機を製造しているダイキン工業堺製作所におけるAGV導入事例です。
ダイキン工業では空調の部品ということで、部品自体が重くて大きいという特徴があります。部品が大きいので、AGVを導入する前は二人作業での載せ替え作業が必要でした。
しかし、AGVを導入することで、載せ替え作業自体が不要。さらに自動制御ができるようになり、人件費削減を実現できました。AGVを導入は他にも
- コストパフォーマンスが高い
- 多品種少量生産に対応できる
という効果があります。
また、今後は生産情報に基づいて部品の搬送を行うなどの改善を計画中なので、さらなる発展が期待できるでしょう。
共同物流サービスはAGV導入で人手不足を改善
下記の動画は、共同物流サービスのAGV導入事例です。共同物流サービスは青森県にある物流業者。
共同物流サービスの最大の問題は人手不足。具体的には、下記のような要因がありました。
- 往復200mの距離を移動しなければならない
- 台車の重量が300~350kg
台車が重く移動距離が長いということで、人手作業ではかなりの重労働となります。AGVを導入する前は人が台車を押して移動させていたということを考えると、その点だけでも大きな効果が得られたと言えるでしょう。
AGVによる労働環境の改善は従業員の健康やモチベーション向上にも直結します。
このように、AGVを導入することで多くの課題を解決できた事例は他にも多く、あなたの身近な企業でも利用されているかもしれません。
では、AGV導入のメリットについてまとめてみましょう。
AGV導入で得られる3つのメリット
AGVを導入することで得られるメリットとしては、主に次の3点です。
- 従業員の負担軽減
- 人為的ミスの低減
- コスト削減
もう少し詳しく見ていきましょう。
AGV導入で従業員の負担が軽減
先程紹介したAGVの導入事例からもわかるように、台車の中には非常に重くて大きなものもあります。先程の例では300~350kgということでした。それだけの重量のものを人が押したり引いたりすることはかなりの重労働です。
さらに、移動距離の問題もあります。先程の例では約200mの距離を一日に何往復もしなければなりません。仮に徒歩ではなくリフトだったとしても、一日中往復し続けるのはかなりの重労働ではないでしょうか。
しかし、AGVを導入することで上記のような労働から解放されることになります。従業員の肉体的な負担が軽減することで、離職率も下がり職場の雰囲気も良くなることでしょう。
AGVを導入することで人為的ミスが低減
AGVを導入しない場合は人の作業となるので、どうしても人為的ミスが発生します。たとえばピッキング時の商品間違いなど、疲労の蓄積と共に増えるかもしれません。
しかし、ロボットはプログラム通りに動くので人為的ミスは発生しづらくなります。したがって、AGVを導入することでミスが発生しなくなり、作業の効率化と生産性向上が可能です。
AGV導入でコスト削減が可能
AGVを導入している多くの事業所ではコスト削減を実現しています。ただし、AGVは導入費用なども必要なので長期的に考えなければなりません。
AGV導入によるコスト削減の具体的な内容は下記のようなものです。
- 人員削減による人件費削減(採用コスト含む)
- 新人教育にかかる時間を削減
- 作業環境維持のための経費削減
たとえば、米Amazonの例では倉庫1個あたり年間約24億円(2200万ドル)のコストが削減できたと報じられています。コスト削減はAGV導入による最も大きなメリットでしょう。
AGVを導入することで多くのメリットがあることがわかりました。
もしかすると、何かデメリットがあるのでしょうか?
AGV導入に関する3つのデメリット
AGV導入はメリットばかりではありません。実はいくつかのデメリットがあります。ここでは、AGV導入時に考えられる主なデメリットについて紹介しましょう。
大きなデメリットとして考えられるのは次の3点です。
- 工場レイアウトの見直しが必要
- 導入費用が高い
- 安全対策が必要
それぞれについてもう少し詳しく解説します。
AGVを導入するには工場レイアウトの見直しが必要
AGVの導入に際して、現状の工場レイアウトでは不具合が生じることがあります。たとえば、人間が通るには十分な通路があったとしても、AGVが通ることができない場合など。
その場合、AGVを導入するには工場のレイアウトを変更してAGVの動作に十分な広さを確保しなければなりません。
また、AGVの運転には誘導体が必要となります。そのため、AGVの導入前にはレイアウト変更と共に誘導体の設置(搬送ルート)についても良く検討しましょう。
AGVのデメリット!導入費用が高い?
AGVの最大のデメリットは導入費用。AGVの導入に必要な費用としては主に次の3点です。
- AGV本体の購入費用
- 誘導体の設置費用
- レイアウト変更を含むシステム構築費用
初期費用としてAGV本体の購入費用が必要なのは仕方がありません。忘れがちなのが本体以外に必要となる費用です。前述したように工場自体を変更しなければならない場合もあるので、本体以上に高額となる可能性もあります。
多くの場合は長期間の利用によって、導入費用以上のコストダウンが可能です。しかし、中には思ったようにコストダウンができないこともあるので、導入前にどれくらいのコストダウンが可能か検討しましょう。
AGVの安全対策!安全基準に則って活用しよう!
AGVは無人運転が可能な搬送車です。したがって、導入に際しては安全対策を実施しなければなりません。特にAGV同士の衝突や人とAGVの衝突に関しては何らかの対策が必要です。
接触や衝突の予防としてはセンサを活用することが有効。また、注意喚起としては、回転灯や大音量の警報を使用するのが良いでしょう。
また、AGVの安全基準としては、「JIS D6802:1997」「ISO 3691-4」で安全機能の要件と自動機能の妥当性確認について決められています。したがって、AGV導入時には安全基準に則って活用しなければなりません。
AGVはメリットとデメリットを検討して導入しよう
本記事では無人搬送車AGVについて、具体的な導入事例とメリット・デメリットについて紹介しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
AGV導入時のメリットとしては、主に下記の3点です。
- 従業員の負担軽減
- 人為的ミスの低減
- コスト削減
しかし、AGV導入にはメリットばかりではなく、下記のようなデメリットもあります。
- 工場レイアウトの見直しが必要
- 導入費用が高い
- 安全対策が必要
したがって、AGV導入時には上記のメリットとデメリットをよく検討しなければなりません。また、工場のレイアウト変更などについてはSIerに相談することで、良いアイディアも得られます。効率的にAGVを導入するためにも、ぜひSIerに相談してください。
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