ピンホール検査(ピンホール試験)とは?8つの検査方法の仕組みと選び方・主要メーカー5社を解説【2026年最新】

この記事の要点
- ピンホール検査とは、フィルム・容器・塗膜・溶接部などにできる微小な穴(ピンホール)を見つけ、不良品を排除するための検査です。
- 代表的な方法は8種類あります。目視検査・気密検査・浸透探傷検査・放射線透過検査・超音波検査・CCDカメラによる外観検査・放電式検査・差圧式検査(リークテスター)です。
- 方式選びの軸は「何を検査するか(対象素材)」「どのくらいの穴まで見つけたいか」「全数か抜取りか」「表面の穴か内部の欠陥か」の4つです。
- 導電性のない被覆や塗膜には放電式、密閉容器の漏れには気密・差圧式、フィルムの微小孔にはCCD外観や放射線透過、というように対象で向き不向きが分かれます。
- 検査機を選ぶ前に「合否の基準」と「検査記録の残し方」をそろえておくと、方式を変えても判定がぶれにくくなります。
ピンホール検査とは、フィルムや容器、塗膜、溶接部などにできる目に見えないほど小さな穴(ピンホール)を検出し、不良品を取り除くための検査です(「ピンホール試験」とも呼ばれます)。結論から言うと、検査方法は1つではなく、対象物や求める精度に応じて8種類ほどの方式を使い分けるのが基本です。
この記事では、まずピンホールがなぜ多くの業界で問題になるのかを整理し、代表的な8方式の仕組みを図解と比較表で解説します。そのうえで、対象別の選び方と主要メーカー5社、そして「検査機を入れる前にそろえておくべきこと」までをまとめます(2026年7月時点の情報です)。
ピンホールとは?なぜ多くの業界で問題になるのか
ピンホールとは、針の先でついたような目に見えないほど小さな穴のことです。ピン(pin)は虫ピンや安全ピンのピン、ホール(hole)は穴を意味します。食品・医薬品・電線・建築塗装など幅広い分野で、ピンホールのある製品は欠陥品として扱われます。
身近な製品でもピンホールは発生する
ピンホールが問題になる製品は、たとえば次のようなものです。
- フィルム・シート類(包装材、ラミネート)
- ビニール被覆電線
- プラスチック包装・食品カップ
- 塗装後の塗膜(1〜3mm程度の気泡が破れて生じる)
- 金属を溶かして接合する溶接部(ガス不足や水分・油分が原因)
塗膜にピンホールがあると塗膜が剥がれやすくなり、溶接部のピンホールは穴が深く強度に直結します。いずれも発見しだい対策が必要な、品質上の重要な欠陥です。だからこそ、目的に合ったピンホール検査が欠かせません。
ピンホール検査にはどんな方法がある?8つの方式の仕組み
ピンホール検査の主流は、次の8方式です。まずは「検査対象から選ぶ」全体像を押さえておくと、あとの比較が理解しやすくなります。

1. 目視検査
人の目や拡大鏡、透過光を使ってピンホールを探す、もっとも手軽な方法です。導入コストがかからない一方、微小な穴の検出や大量生産品の全数検査には不向きで、検査員によるばらつきも出やすいのが弱点です。
2. 気密検査
ワークに空気圧をかけたり、水中や発泡液の中で気泡の有無を見たりして、漏れがあるかどうかを確認する方法です。密閉できる容器や成形品の「漏れているか/いないか」を判定するのに向いています。
3. 浸透探傷検査(PT)
浸透液を表面に塗り、余分を洗い流したあと現像液を使って、表面に開口した穴やきずを目に見える形で浮き上がらせる方法です。表面に開口したピンホールの検出に使われる、非破壊検査の代表的な手法です。
4. 放射線透過検査(RT)
X線やガンマ線を当て、透過した放射線の濃淡を画像にして内部の空隙(す)やピンホールを検出します。溶接部や鋳物など、表面からは見えない内部の欠陥を確認したいときに用いられます。
5. 超音波検査(UT)
超音波をワークに送り込み、欠陥で反射して返ってくる波を捉えて内部の欠陥を検出します。金属など超音波が伝わりやすい材料の内部欠陥検査に使われます。
6. CCDカメラによる外観検査
CCDカメラで撮影した画像を処理し、微小な穴を高速で自動判定します。フィルムやシートを流しながらインラインで全数検査したい場面に向いた方式です。
7. 放電式検査
ワークに高電圧をかけると、ピンホール(絶縁が破れた点)で放電が起こります。この放電を捉えてピンホールの位置を検出する方法で、フィルム・金属箔・織布・シリコンゴム・プラスチックなど導電性のない被覆や塗膜の検査に広く使われます。ごく微細な穴の検出にも対応します。
8. 差圧式検査(リークテスター)
ワークに空気圧をかけたあと、内圧の変化を漏れのない基準品(マスター)との「差」として検出する方法です。手順は、マスターを用意し、ワークとマスターに同時に加圧し、両者の圧力変化の差から漏れを判定します。チャンバー内を加圧・減圧する必要があるため、ごく短時間の検査には不向きな面があります。
8方式を「原理」「向いている対象」「特徴」で整理すると次のとおりです。
| 検査方式 | 原理 | 向いている対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 目視検査 | 人の目・拡大鏡・透過光 | 大きめの穴・当たり付け | 手軽・低コスト/微小孔と全数には不向き |
| 気密検査 | 気泡・圧力保持で漏れを確認 | 密閉容器・成形品 | 漏れの有無を判定しやすい |
| 浸透探傷(PT) | 浸透液+現像液で開口欠陥を可視化 | 表面に開口したピンホール | 表面欠陥に強い非破壊検査 |
| 放射線透過(RT) | X線・γ線の透過画像 | 溶接部・鋳物の内部 | 内部欠陥を可視化/設備・管理が必要 |
| 超音波(UT) | 反射波で内部欠陥を検出 | 金属などの内部 | 内部欠陥向き |
| CCD外観検査 | 画像処理で自動判定 | フィルム・シート | 高速・インライン全数に向く |
| 放電式検査 | 高電圧の放電で穴を検出 | 非導電の被覆・塗膜・容器 | 微細な穴にも対応 |
| 差圧式(リークテスター) | マスターとの圧力差で漏れを検出 | 密閉容器・成形品 | 定量的/短時間検査には不向き |
どの検査方法を選べばいい?対象別の選び方
方式選びで最初に確認したいのは、次の4点です。(1)対象素材が導電性か非導電性か、(2)見つけたい穴の大きさ、(3)全数検査か抜取り検査か、(4)表面の穴か内部の欠陥か。この4点が決まると、候補はかなり絞り込めます。

おおまかな目安としては、導電性のない被覆・塗膜・容器なら放電式、密閉容器や成形品の漏れなら気密・差圧式、フィルムやシートの微小孔なら高速に全数検査できるCCD外観、溶接部や鋳物の内部欠陥なら放射線透過や超音波、という対応になります。まず現場で当たりをつけるなら目視から、という順序も現実的です。
ただし、方式を決めても「どこまでを不良とするか」という合否の基準がそろっていないと、判定は人によってぶれます。これは検査方式の性能とは別の、情報のそろえ方の問題です。品質判定のばらつきを扱った記事では、次のように整理しています。
判定差は「やる気」や「経験年数」だけの問題ではなく、判断に使う情報がそろっていないことから生まれる構造的な現象です。
つまり、検査機の方式選定と並行して、限度見本・判定基準・過去の不具合事例を「検査の瞬間に手元で参照できる状態」にしておくことが、ピンホール検査の精度を安定させる近道になります。
ピンホール検出器の主要メーカーは?代表的な5社
国内でピンホール検出器を扱うメーカーは20社以上ありますが、ここでは代表的な5社の特徴を紹介します(各社の詳細は公式サイトで最新情報をご確認ください)。
株式会社サンコウ電子研究所
ピンホール探知器やピンホールチェッカーのほか、膜厚計や検針器なども手がけるメーカーです。非接触式で変形しやすい容器も検査できるタイプなどがあり、プラ容器・フィルム・塗装鋼管など幅広い用途で使われています。
浜松ホトニクス株式会社
光を使った計測・検査装置を数多く製造するメーカーで、光学式のピンホール検査ユニットを提供しています。従来は見つけにくかった極微小のピンホールを高速・高精度に検出でき、フィルム製造向けや成形品向けなどワークに応じて機種を選べます。
株式会社フィッシャー・インストルメンツ
高精度な測定機器を扱う専門メーカーです。放電式のピンホール検査器(POROSCOPEシリーズ)を提供し、容器の孔やクラック、非導電性コーティングのシーリング検査などに用いられます。電極テストヘッドが豊富で、さまざまなワークに対応します。
ニッカ電測株式会社
高電圧方式で自動検査・自動選別を行うピンホール検査機を提供しています。非破壊でインラインの全数検査ができるのが特徴で、食品用や卓上型、持ち運び型などのラインナップがあります。高電圧方式が使えないワーク向けに、加圧方式や真空方式のリークテスターも扱っています。
ジョーベン電機株式会社
ピンホール検査機の専門メーカーで、手動器と自動機をそろえています。自動機は一度に全面・全周を検査でき、顧客のニーズに合わせたフルオーダーメイドにも対応しています。
検査を「測って終わり」にしないために必要なことは?
ピンホール検査を導入すると、次に効いてくるのが「検査した結果をどう残し、次にどう活かすか」です。せっかく全数検査をしても、結果が個人のExcelや紙にばらばらに残っていると、成績書づくりや不具合の再発防止で手戻りが生まれます。検査記録の散らばりについては、次のような指摘があります。
同じ品番・寸法・条件が、検査表・成績書・是正処置票の間で何度も書き写される構造は、他の製造業務でも共通して観察されます。
ピンホール検査に限らず、品目や工程に検査基準・記録を紐づけて構造化しておくと、検査の瞬間に必要な情報が呼び出せ、記録も自動的にそろっていきます。こうした「業務そのものを実行する基盤」は、近年こう位置づけられています。
そこで近年、第3の基盤として注目されているのが「業務OS」という考え方です。
自己診断チェックリスト
自社のピンホール検査を見直すために、次の5項目をチェックしてみてください。
- 検査したい対象素材が導電性か非導電性か、整理できている
- 見つけたい穴の大きさ(許容できる限度)を数値または見本で決めている
- 全数検査か抜取り検査か、方針が決まっている
- 合否の基準が文書や限度見本でそろい、検査員が同じ判断をできる
- 検査結果が個人の紙・Excelではなく、共有できる形で残っている
よくある質問(FAQ)
ピンホール検査は何のために行う?
フィルム・容器・塗膜・溶接部などにできた微小な穴(ピンホール)を見つけ、漏れや強度低下、腐食などの不良を防ぐために行います。ピンホールは食品・医薬品・電線・建築などで重大な欠陥になるためです。
ピンホール検査とピンホール試験は同じもの?
基本的に同じものを指します。微小な穴(ピンホール)を見つける検査は「ピンホール検査」とも「ピンホール試験」とも呼ばれ、非破壊検査の分野では「試験」という語もよく使われます。呼び方は違っても、対象や方式の考え方は本記事で解説したとおりです。
最も手軽なピンホール検査の方法は?
目視検査です。人の目や拡大鏡、透過光で確認するため設備コストがかかりません。ただし微小な穴の検出や大量生産品の全数検査には不向きで、検査員によるばらつきも出やすい点に注意が必要です。
ごく微小なピンホールも検出できる?
方式によります。放電式検査は導電性のない被覆や塗膜のごく微細な穴にも対応し、光学式のCCD外観検査は極微小のピンホールを高速・高精度に検出できます。求める最小の穴径に合わせて方式を選ぶことが大切です。
放電式検査と差圧式検査(リークテスター)の違いは?
放電式は高電圧をかけて穴で起こる放電を捉える方式で、非導電の被覆・塗膜・フィルムの穴を検出します。差圧式は加圧後の圧力変化を基準品との差で捉える方式で、密閉容器や成形品の漏れの判定に向きます。対象が「被覆・膜の穴」か「容器の漏れ」かで使い分けます。
ピンホール検査は自動化・全数検査できる?
できます。CCDカメラによる外観検査や高電圧方式の検査機は、ラインを流しながらインラインで全数検査・自動選別を行えます。全数検査を前提とする場合は、インライン対応の方式とメーカーを選ぶとよいでしょう。
まとめ
ピンホール検査は、目視・気密・浸透探傷・放射線透過・超音波・CCD外観・放電式・差圧式の8方式を、対象素材・穴の大きさ・全数か抜取りか・表面か内部か、という4つの軸で使い分けるのが基本です。主要メーカーもそれぞれ得意分野が異なるため、自社のワークに合った方式から相談するのが近道です。
そして検査機を選ぶ前に、合否の基準と検査記録の残し方をそろえておくと、方式を変えても判定がぶれにくくなります。検査の「測る」部分と「証明・活用する」部分を切り分けて設計することが、品質を安定させるポイントです。
関連記事:業務OSの最前線
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出典・参考情報
- 一般社団法人 日本非破壊検査協会(JSNDT)「非破壊試験の種類」(浸透探傷・放射線透過・超音波などの一般的な原理/2026年7月時点で編集部確認)
- JIS Z 2330「非破壊試験—漏れ試験方法の種類及びその選択」(漏れ試験・リークテストの一般的な分類)
- 株式会社サンコウ電子研究所/浜松ホトニクス株式会社/株式会社フィッシャー・インストルメンツ/ニッカ電測株式会社/ジョーベン電機株式会社 各公式サイト(製品情報・2026年7月時点で編集部確認)
- 図2は各方式の一般的な傾向を相対配置した概念図であり、実測値ではありません。実際の性能は機種・対象物・条件で変わります。










