生産ラインの生産性を向上させる方法とは?生産性が下がる要因、改善事例も紹介
こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
生産性の向上って永遠のテーマみたいな感じですよね?
生産ラインにおいては、どこまでも追い求めることになるでしょうね。
製造業の利益追求に重要となるのが生産ラインにおける生産性の向上です。しかし、生産性を向上するにしても、闇雲に手を打つだけでは成果は上がりません。
そこで本記事では、生産ラインの生産性を向上させる方法と具体的な成功事例について紹介します。
記事内では生産性を向上させる方法だけではなく、生産性を向上させることにより得られるメリットや生産性が落ちる要因についても解説しました。
生産ラインの生産性が上がらないと悩んでいる場合には、記事を参考にしてください。
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もくじ
ラインの生産性向上について考えよう
生産性とは、あるモノをつくるにあたり、生産要素がどれだけ効果的に使われたかという割合を表したもの。簡単な数式で表すと、以下のようになります。
ここでの投入は、労働力・設備費・原材料費等の生産要素。具体的な内容は以下の通りです。
- 労働力:生産に関わる人数と労働時間を掛け合わせたもの
- 設備費:生産に利用される設備費用(土地・建物も含む)
- 原材料費:生産に必要な原料・材料・部品等
また、生産性にも物的生産性と付加価値生産性の2種類があります。物的生産性は、分子の生産数を、付加価値生産性は分子に付加価値額を置いて算出。生産能力や金額ベースでの生産性を知ることができます。
たとえば、1時間あたりの労働生産性の計算式は以下の通りです。
上記の計算式の値を大きくすることで、生産ラインの生産性が向上します。つまり、分母の労働者数・労働時間を少なくし、生産量を増やすことができれば良いということ。単純に生産量を増やすだけを目的にするのではなく、分母部分に着目することで効率的な生産性向上が達成可能です。
生産性の正体が良くわかりました!
生産性が向上すると、多くのメリットが得られそうですね。
それでは、具体的なメリットについて見ていきましょう!
ラインの生産性を向上させることにより得られる2つのメリット
ラインの生産性を向上させることで、下記のような2つのメリットが得られます。
- コスト削減
- 利益増大
それぞれのメリットについて、もう少し詳しく解説しましょう。
ラインの生産性向上でコストの削減が可能
前述した通り、生産性を向上するには投入(労働力・設備費・原材料費等の生産要素)を少なく抑える必要があります。それは投入にかかわるコストを削減することと同義です。
たとえば、下記のような場合を考えてみましょう。
- 作業人数を減らす
- 設備稼働に掛かる費用削減
- 原材料の仕入価格を減らす
上記のコスト削減を実施しながら以前と同じ生産量を確保できれば、生産性向上とコスト削減を同時に達成することになります。
ラインの生産性は利益に直結!
コストを削減することで生産性が向上するだけでなく、結果的に収益額も向上します。
また、生産性の向上により生産量を増やすこともできますし、生産量を増やさず余力を新製品の開発などに活用することもできるでしょう。生産量が増えたり新製品の開発に力を入れたりすることで、利益が増大するチャンスも増えます。
利益が増大すれば、製造ラインを増やすことや企業規模を大きくすることも可能です。つまり、ラインの生産性向上は利益増大に直結すると言えます。
利益の増大は企業にとって魅力的ですね。
では、生産ラインの生産性を向上するにはどうすれば良いのでしょうか?
ラインの生産性を向上する6つのポイント
ラインの生産性を向上するには様々な方法がありますが、その中でも重要なポイントが下記の6点です。
- 5Sによる生産ラインの効率化
- ボトルネック工程を改善する
- 生産ラインのレイアウト改善
- 段取りの効率化
- 生産ラインの自動化
- 作業員のモチベーション維持
それぞれのポイントについて詳しく解説していきましょう。
5Sによる生産ラインの効率化で生産性向上!
生産ラインの生産性を向上させる基本は、徹底して5Sを実践することです。5Sとは下記5つの「S」を指します。
- 整理(Seiri)
不要なものを徹底的に処分する - 整頓(Seiton)
必要な物がいつでも誰でもすぐに取り出せる - 清掃(Seisou)
きれいな状態を維持する - 清潔(Seiketsu)
3Sを実施し奇麗な状態を維持する - しつけ(Shitsuke)
4つの「S」を習慣化する
5Sを徹底することで生産活動の無駄をなくすことができ、生産性向上につながります。5Sについての詳細は下記の記事を参考にしてください。
ボトルネック工程の改善によって生産性を向上
多くの生産ラインにおいて、生産性向上の足を引っ張っている工程があります。たとえば、他の工程よりも時間がかかる工程や、多くの作業員が必要な工程など。このような工程をボトルネック工程と言います。
もし、ボトルネック工程があれば、他の工程の生産性を向上させても全体としての生産性は向上しません。ですから、ボトルネック工程の生産性を向上させることが重要です。
まずはボトルネック工程を確認し、生産性の改善に取り組みましょう。
生産ラインのレイアウトが生産性に影響
生産ラインのレイアウトによって生産性は大きく変化します。最適なレイアウトに変更することで生産性は向上し、適していないレイアウトでは生産性は低下するでしょう。
たとえば、作業員の作業手順などを無視したレイアウトでは、移動距離が長くなる可能性があります。また、部品や資材供給がスムーズに実施できない場合もあるかもしれません。
したがって、最適なレイアウトに変更することで、ムダを省き生産性は大きく向上することになります。
段取りを効率化して生産性の向上を
近年の生産ラインは多品種少量生産が主流となっています。多品種少量生産の最大の問題は段取時間です。したがって、段取り時間を削減できれば、それだけで簡単に生産性が向上します。
生産ラインのレイアウトを最適化するとともに、段取り替えの流れを見直しましょう。
生産ラインの自動化が生産性向上のカギ
生産ラインの生産性向上に大きく影響を与えるのが労働力と労働時間です。生産量を増やそうと考えた場合、作業人数を増やせば簡単に解決するかもしれません。しかし、生産性向上には逆効果となります。
そこで、労働力の問題を解決するために考えられたのが自動化です。極論を言えば、全ての生産ラインを自動化してしまえば工場の無人化もできます。つまり、スマート工場です。
スマート工場に関しては別記事にて詳しく解説していますので、下記を参考にしてください。
しかし、スマート工場のように極端な自動化をしなくても、位置決め作業などを自動化したり産業用ロボットを導入したりというだけでも生産性は向上します。
たとえば、以下のような状況であれば自動化の検討が必要でしょう。
- 時間のかかる人手作業
- 人手作業によるミスが多い工程
ただし、自動化を実施するには設備費用が必要です。設備費用に関しても生産性に大きく影響します。しかし、生産ラインを自動化することで人件費や不良の削減効果が大きく、生産性が向上することは間違いありません。
生産性と作業員のモチベーションには大きな関係性
生産ラインの生産性向上には現場作業員のモチベーションが大きく影響を及ぼします。したがって、作業員一人ひとりのモチベーションを維持することも重要です。
作業員のモチベーションを維持するためには以下の4点がポイントとなります。
- 従業員一人ひとりが生産性向上の目的を見失わない
- 小さな改善を積み重ねる
- 改善活動の適正な評価をする
- 改善によって負荷が増えない
生産ライン全体のモチベーションを維持して、生産性向上に努めましょう。
生産性向上のポイントがよくわかりました。
生産性が落ちることのないように注意しなければなりませんね。
実は、生産性が落ちる要因もあるので、簡単に説明しておきましょう。
生産ラインの生産性が落ちる主な3つの要因
これまで、生産ラインの生産性を向上させる方法について紹介してきました。ここでは逆に生産性を悪化させる要因について考えてみましょう。
生産性が悪化する要因としては様々なものがありますが、主な要因としては下記の3つです。
- 人材不足
- 他部門とのコミュニケーション不足
- 標準化が進まない
最も大きな要因は人材不足でしょう。生産性を向上させるには、労働力を削減する必要があります。しかし、必要な人材が不足した状態では思うような生産量を確保することができません。
ただし、人材が確保できている場合でもコミュニケーション不足が大きな問題となります。製造業は生産ラインだけが稼働すれば製品が作れるわけではなく、他部門との連携が重要です。したがって、コミュニケーション不足によって上手く連携が取れずに生産性が落ちることもあります。
また、日々の生産時の作業が標準化されていなければ生産性の向上は難しいでしょう。標準化が進まないということは、作業員の間でも技術的な差が生まれます。ノウハウは蓄積されず、作業ミスの発生にもつながるでしょう。
作業ミスが発生することで修正も必要となります。結果として生産量は落ち、生産性が悪化することは間違いありません。
ところで、生産性が向上した事例などがあれば教えてください。
実際に生産性が向上した事例
それでは、生産ラインの生産性が向上した具体的な事例として、下記の2つを紹介します。
- ボトルネック工程のIoT導入による生産性向上事例
- 製造ラインの自動化によって生産性が向上した例
【株式会社ヤマヒロ】ボトルネック工程のIoT導入による生産性向上
株式会社ヤマヒロは建築ファスナーの専門メーカーです。最も大きな特長は高効率少量生産システムラインによる多品種少量生産。多様化するニーズに柔軟に対応しています。
株式会社ヤマヒロでは、生産ラインにIoTを導入し、生産性向上に成功しました。
上の動画内でも紹介されていますが、ボトルネック工程の改善に取り組んだことが生産性向上のカギとなったようです。また、IoT導入を横展開することで、生産ライン全体の省人化にも成功しています。
【オークラ工業株式会社】製造ラインの自動化による生産性向上
オークラ工業株式会社はコンベヤや垂直搬送機をメインとした搬送設備の製造を手掛ける企業です。オークラ工業では電動バキュームグリッパーと協働ロボットを組み合わせた自動化を導入することによって、生産性が大きく向上しました。
費用対効果は11%となり、社内の技術力向上にもつながっています。単純な長時間作業を自動化することで、生産性向上する製造ラインは他にもあり、今後はさらなる横展開をする予定です。
まとめ
本記事では生産ラインの生産性を向上させる方法と具体的な成功事例などについて詳しく解説しました。
生産ラインの生産性は「産出(Output)/投入(Input)」の式で算出できます。つまり、生産性の向上を考える際には産出に注目しがちですが、投入を減らすことにも注目すべきです。
ラインの生産性を向上させることで、下記のような2つのメリットが得られます。
- コスト削減
- 利益増大
上記のメリットを得るためのポイントとして、下記の6点について紹介しました。
- 5Sによる生産ラインの効率化
- ボトルネック工程を改善する
- 生産ラインのレイアウト改善
- 段取りの効率化
- 生産ラインの自動化
- 作業員のモチベーション維持
また、記事内では生産性向上の具体的な成功事例として下記の2社を紹介。
- 株式会社ヤマヒロ
- オークラ工業株式会社
上記の2社は、ボトルネック工程に着目したIoTの導入や生産ラインの自動化によって生産性向上に成功した事例となります。
製造ラインの生産性向上は永遠のテーマとも言えますが、少しずつの改善を積み重ねるのがおすすめです。
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