ファクトリーオートメーション(FA)市場の今後は?日本の産業用ロボット市場規模と世界動向・2035年予測を最新統計で解説【2026年最新】

ファクトリーオートメーション(FA)市場は、いま明確な成長局面にあります。日本ロボット工業会(JARA)の統計では、2025年の産業用ロボット受注額は前年比25.7%増の1兆456億円。国際ロボット連盟(IFR)の統計では、2024年の世界の産業用ロボット設置台数は54万2,000台と、10年前の2倍以上に拡大しました。本記事では、日本と世界の最新の市場規模、2035年に向けた将来予測、そして市場の成長の裏で製造現場が直面している課題までを、公開されている一次統計に基づいて解説します。
この記事の要点
- 日本の産業用ロボット受注額は2025年に1兆456億円(前年比25.7%増)と3年ぶりの増加。2026年は1兆2,200億円が見込まれている(日本ロボット工業会)
- 世界の産業用ロボット設置台数は2024年に54万2,000台で10年前の2倍超。新規設置の74%をアジアが占める(IFR「World Robotics 2025」)
- 日本は世界2位の市場。2024年の設置台数は4万4,500台、稼働台数は45万500台に達する
- 成長のけん引役は輸出(前年比32.4%増)とAI関連投資。一方で国内向け出荷は2,041億円(10.8%減)と減少しており、国内と海外で温度差がある
- NEDOの予測では、ロボット全体の世界市場は2035年に約28兆円に迫る規模へ。サービス分野が産業用の2倍近くまで拡大すると見込まれている
ファクトリーオートメーション(FA)とは?産業用ロボットとどう違う?
ファクトリーオートメーション(FA)とは、工場の生産工程をセンサー・PLC(制御装置)・産業用ロボットなどの機器と制御技術で自動化する仕組みの総称です。産業用ロボットはFAを構成する中核機器のひとつであり、市場統計の世界では産業用ロボットの受注・出荷・設置台数がFA市場の勢いを測る代表的な指標として使われます。
FAを構成する機器の種類(PLC・サーボモータ・センサ・インバータなど)については、FA機器の解説記事で体系的に整理しています。本記事では「市場」に焦点を絞り、日本と世界の最新統計を見ていきます。
日本のFA・産業用ロボット市場規模は今どれくらい?【2025年実績】
結論から言うと、日本の産業用ロボット市場は2025年に受注額ベースで1兆円を超えました。日本ロボット工業会が2026年5月に発表した2025年1〜12月の実績(会員・非会員合計)によると、受注額は前年比25.7%増の1兆456億円、生産額は21.0%増の9,452億円、総出荷額は20.4%増の9,937億円。受注台数は20.0%増の21万8,987台で、いずれも3年ぶりの増加となりました。
四半期ベースでも勢いは明確です。日本ロボット工業会の会員ベース統計では、2025年10〜12月期の受注額・生産額は四半期として過去最高を記録しました。けん引したのは、AI・半導体関連投資を背景に需要が旺盛な電子部品実装機と、堅調な垂直多関節ロボットです。
ただし、成長の中身には濃淡があります。輸出額が前年比32.4%増の7,896億円と大きく伸びた一方、国内向け出荷額は10.8%減の2,041億円と減少しました。つまり2025年の成長は、中国・タイを中心とするアジア向けや欧米向けの外需がけん引したものであり、日本国内の工場の自動化投資はむしろ弱含んでいる、という構図です。この「国内の弱さ」は後半で取り上げる現場課題と直結しています。
世界の産業用ロボット市場はどう動いている?【IFR最新統計】
世界に目を向けると、市場の主戦場がアジアに集中していることがわかります。IFR(国際ロボット連盟)が2025年9月に発表した「World Robotics 2025」によると、2024年の世界の産業用ロボット設置台数は54万2,000台で、史上2番目の高水準。年間設置台数が50万台を超えるのは4年連続です。世界で稼働している産業用ロボットの総数は466万4,000台(前年比9%増)に達しました。
| 順位 | 国 | 2024年設置台数 | 前年比 | 補足(IFR発表より) |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 中国 | 29万5,000台 | 過去最高 | 世界シェア54%。中国国内メーカーのシェアが57%に上昇し、初めて外国勢を逆転 |
| 2位 | 日本 | 4万4,500台 | −4% | 稼働台数は45万500台(+3%)。2025年は小幅成長、その後は年平均で中程度の1桁成長の見込み |
| 3位 | 米国 | 3万4,200台 | −9% | 米州全体の68%を占める。ロボットの多くを日本・欧州から輸入 |
| 4位 | 韓国 | 3万600台 | −3% | 2019年以降、年間約3.1万台で横ばい傾向 |
| 5位 | ドイツ | 2万6,982台 | −5% | 欧州最大の市場(欧州全体の32%) |
| 6位 | インド | 9,100台 | +7%(過去最高) | 自動車産業が設置の45%を占め、世界6位に浮上 |
この表が示す通り、世界市場の成長は中国が一人勝ちに近い状態でけん引しています。中国の稼働台数は200万台を超え、単一国として世界最大。しかも中国では国産メーカーのシェアが57%まで上昇しており、ロボットを「買う国」から「作って売る国」へと変化しています。日本のロボットメーカーの勢力図がどう変わりつつあるかは、次の記事で詳しく解説しています。
実は、多々ある産業用ロボットのメーカーの中でも、「世界4強」と呼ばれるメーカーがあり、その4強の中には日本のメーカーが2社含まれています。
【2026年最新】産業用ロボットメーカー比較|世界4強(ABB・ファナック・安川電機・KUKA)と国内主要5社
FA業界の今後は?2035年に向けた市場予測
結論として、公開されている主要な予測はいずれも「FA・ロボット市場の拡大は続く」という方向で一致しています。短期ではIFRが、2025年の世界設置台数を前年比6%増の57万5,000台と予測し、2028年には70万台を超えるとしています。地政学リスクや通商政策の不確実性はあるものの、長期の成長トレンドが途切れる兆候はない、というのがIFRの見立てです。
より長期の予測としては、NEDO技術戦略研究センターが「ロボット全体の世界市場は2035年に約28兆円に迫る規模に達する」との見通しを公表しています。注目すべきはその内訳で、現在は金額ベースの大半を産業用ロボットが占めるのに対し、2035年には生活支援・医療介護・飲食などに向けたサービスロボット市場が産業用ロボットの2倍近くまで拡大すると見込まれています。また、2016年時点で世界ロボット市場の16%と推定されたAI×ロボットの領域は、2035年には51%まで拡大する見込みです。FAで培われたロボット技術が、工場の外へ市場を広げていく構図です。
ちなみに、本記事の旧版(2021年公開)では「2030年代に10兆円規模」という予測を紹介していました。これは経済産業省とNEDOが2010年に公表した将来市場予測(2035年に国内ロボット産業が約9.7兆円)に基づくものです。その後の統計を見ると、日本一国の受注額だけで2025年に1兆円を超え、世界市場の予測は28兆円規模へと引き上げられており、当時の「大風呂敷」は方向としては現実になりつつあると言えます。
市場が成長すれば、現場の人手不足は解決するのか?
ここまで見た通り市場は伸びています。しかし、日本の国内向け出荷が前年比10.8%減だったという事実は、「ロボットを買える環境が整っても、国内の現場への導入はそれほど進んでいない」ことを示しています。理由のひとつは、ロボット導入が機器の購入だけでは完結しない点にあります。対象工程の選定、仕様書の作成、システムインテグレータとの調整、立ち上げ、保全——この一連の業務が特定の担当者の経験に依存したままだと、1台目の導入には成功しても、2台目・3台目と展開するたびに同じ苦労を繰り返すことになります。
この「業務が人に張り付いている」構造は、ロボット導入に限らず製造業の共通課題です。当サイトの検証記事では、この構造を業務基盤の問題として整理しています。
そこで近年、第3の基盤として注目されているのが「業務OS」という考え方です。
業務OSとは何か——製造業ERPでもPLMでもない、第3の業務基盤の正体
属人化した生産計画は、需要変動や材料遅延のたびに再計算が特定個人へ集中し、その人が不在になると計画そのものが止まります。
生産計画が特定のベテランしか立てられない構造——需要・材料・段取りが一人の頭でしか繋がらない現場
FA市場の成長を自社の生産性に変換できるかどうかは、設備そのものよりも、立ち上げ・保全・改善の業務を仕組みとして回せるかにかかっています。自動化投資の前に生産技術部門の業務の流れを整理したい場合は、生産技術OSの解説ページで「どの業務が仕組み化に向くか」の整理軸を紹介しています。
FAQ(よくある質問)
Q1. ファクトリーオートメーション市場の規模は今どれくらい?
FA市場の代表指標である産業用ロボットで見ると、日本の2025年受注額は1兆456億円(前年比25.7%増)、世界の2024年設置台数は54万2,000台です。FA市場全体はロボットに加えPLC・センサ・サーボモータなどの制御機器を含むため、これより大きな規模になります。
Q2. FA業界は今後も成長する?
主要な公開予測は成長継続で一致しています。IFRは2025年に世界設置57万5,000台(+6%)、2028年に70万台超えを予測。NEDO技術戦略研究センターはロボット全体の世界市場が2035年に約28兆円に迫ると見込んでいます。
Q3. 国内向け出荷が減っているのはなぜ?
2025年の国内出荷額は2,041億円(10.8%減)で、自動車製造業向けを中心に主要業種で低調でした。輸出(+32.4%)との対比で、国内の設備投資の慎重さが際立つ結果です。導入・立ち上げを担う人材の不足も、国内で導入が進みにくい一因とされています。
Q4. FAと産業用ロボットの違いは?
FAは工場の生産工程を自動化する仕組みの総称で、産業用ロボットはその中核機器のひとつです。FAにはロボットのほか、PLC・センサ・搬送装置・インバータなどの機器と、それらを統合する制御システムが含まれます。
Q5. 中小製造業にもFA市場の成長は関係ある?
関係あります。人手不足は企業規模を問わず進んでおり、協働ロボットなど比較的少額から導入できる選択肢も増えています。重要なのは台数や規模ではなく、どの工程を自動化すれば効果が出るかを見極め、導入・保全の業務を特定の担当者に依存させない形で回すことです。
自己診断チェックリスト|FA投資の判断力チェック
- 設備投資の判断材料に、受注・出荷・稼働台数などの業界統計の根拠を添えられている
- ロボット導入の目的を「人手不足の穴埋め」ではなく工程単位で言語化できている
- 導入済み設備の稼働状況・保全記録を、特定の担当者以外でも追える状態になっている
- 自動化する工程を選ぶ基準(作業頻度×負荷×リスク)が文書として残っている
- 2〜3年先の増産・変種変量生産への対応を、FA投資計画に織り込んでいる
まとめ|統計は「追い風」を示している。活かせるかは現場の仕組み次第
日本の産業用ロボット受注額は2025年に1兆円を超え、世界の設置台数は10年で2倍になりました。2035年に向けても市場拡大の予測が並びます。一方で、日本国内の出荷は減少しており、成長の果実を国内の現場が取り込めているとは言えません。FA投資を検討する際は、市場統計という追い風を確認したうえで、自社の導入・立ち上げ・保全の業務を誰でも回せる形に整えることが、機種選定と同じくらい重要です。チェックリストで2つ以上「できていない」があった場合は、まず業務の現状把握から始めることをおすすめします。
出典・参考情報
- 日本ロボット工業会「マニピュレータ、ロボット統計 受注・生産・出荷実績 2025年10〜12月期及び年間【会員ベース】」(2026年1月23日):jara.jp
- robot digest「受注額が1兆円超に、今年は1兆2200億円の見通し/日本ロボット工業会 2025年統計」(2026年6月4日・会員/非会員合計の年間実績と2026年見通し):robot-digest.com
- IFR「World Robotics 2025」プレスリリース(2025年9月25日):ifr.org
- NEDO『NEDO 40年史』ロボット・AI技術(NEDO技術戦略研究センター「TSC Foresight」Vol.29による2035年世界市場予測を収録):nedo.go.jp
- 日本経済新聞「ロボット生産、2035年に9.7兆円に 経産省・NEDO予測」(2010年4月):nikkei.com
- ※各統計・予測は2026年7月24日に編集部が上記公開ソースを参照して記載しています。










