重量物とは?法令に定められた内容を分かりやすく解説
こんにちは!
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先日、職場でちょっとした重量物を持つ機会があったのですが、それから腰が痛くて困ってるんですよね。
重量物の取り扱いには注意が必要ですよ!厚生労働省からも注意喚起されているくらいですから。
「1個か2個だから・・・」と軽い気持ちで重量物の持ち運びをするのは危険です。実は、令和3年度の厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」によると、負傷に起因する疾病6,731件の内、腰痛が5,847件でした。つまり、約87%の負傷が腰痛という状況。
腰痛の原因は様々ですが、最も危険なのが重量物の持ち運びです。そこで本記事では、主に下記の2点について解説しました。
- 重量物とはどのようなものを指すのか
- 重量物を運ぶ場合の注意点
重量物にはきちんとした定義があり、人の手で持ち運びが可能な重さについても法律できちんと定められています。労働環境を整えるという意味でも、重量物の取り扱いについて再確認しておきましょう。
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もくじ
重量物とはどういったものを指すのか
重量物とは、一言で表すなら重い物です。あなたが手で持ち上げるときに「重い」と感じる物と言えばわかりやすいでしょう。
あなたの身の回りにも多くの重量物があるはずです。たとえば、冷蔵庫や洗濯機やタンスなど。もちろん、オフィスにあるコピー機や机なども重量物に含まれるかもしれません。また、書類や段ボールも内容次第で重量物となる可能性があります。
つまり、重量物は種類に関係なく、重ければすべて重量物です。ただし、労働基準法では重量物の重さなどについて細かく定義されています。
では、どのように定義されているのか見ていきましょう!
労働基準法に定められた重量物の定義
重量物の取り扱いに関しては、労働基準法の第62条で『使用者は、満十八才に満たない者に、厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。』と定められています。また、妊婦者の重量物に関して書かれているのは、第64条。
さらに詳しい定義については、下記2つの規則に記載されていました。
つまり、性別・年齢などによって扱える重量物の制限が異なるということです。では、それぞれについてもう少し詳しく解説しましょう。
年少者が取り扱える重量物の定義
年少者が取り扱える重量物に関しては、『重量物を取り扱う業務』に記載されていました。年少者労働基準規則・第7条を見ると、具体的に年齢・性別に分け、下記のように取り決められています。
断続作業・継続作業によっても重量が異なるので注意が必要です。
妊娠中の女性が扱える重量物の定義
『危険有害業務の就業制限の範囲等』には、法第64条の3第1項の規定により妊娠中の女性を就かせてはならない業務として規定されています。
女性労働基準則・第2条では、下記のように年齢別に重量物の取り扱いが記載されていました。
性別・年齢による重量物の定義
労働基準法では上記のように、性別・年齢と作業内容による重量物の制限を設けています。これは、作業者の安全を守る観点から決められたものです。
ただし、上記には18歳以上の男性に関しては規定がありません。では、18歳以上の男性は無制限なのでしょうか。実は、厚生労働省の『職場における腰痛予防対策指針』の中で重量制限が記載されていました。
これらを踏まえて情報をまとめたので、下表を参照してください。
ただし、産業医の立場から推奨されている重量物の目安は以下の通りです。
- 成人男性:体重の40%以下かつ25kg未満
- 成人女性:体重の24%以下かつ20kg未満
したがって、法律だけを守れば良いというものではありません。状況に応じた対応が必要となります。
法律で細かく決められているのは知りませんでした。では、重量物を運ぶ場合も何か注意点などあるのでしょうか?
人力で重量物を運ぶ場合の注意点
厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」には、人力で重量物を運ぶ際の注意点が細かく記載されています。取り扱える重量に関する注意点は既に述べた通り。
したがって、ここでは重量以外の注意点として下記の3点を解説します。
- 荷姿の改善・重量の明示等
- 作業姿勢・動作
- 取扱い時間・頻度
それでは、それぞれについて具体的に見ていきましょう。
荷姿の改善と重量の明示等
人力で重量物を運ぶ際には準備が重要となります。特に梱包時には以下のような点に注意すると運搬しやすくなります。
- 適切な材料で確実に把持できるような梱包をする
- それぞれの重量を明示する
- 荷物を持ちやすく補助具などを活用する
- 大きな荷物や重い荷物は小分けにする
- 重心が偏らないようにする
重要なことは、とにかく持ち運びしやすくするという点です。いかに持ち上げやすく、運びやすいかということを考慮して梱包しておくだけでも運搬効率が大きく改善されます。
重量物の取り扱いは作業姿勢と動作に注意
実際に重量物を運ぶ動作についても注意が必要です。
- 重量物を上げ下げする際には体を対象物に近付ける
- 重量物を上げ下げする際には重心の低い姿勢にする
- 低い位置から重量物を持ち上げる際の姿勢に注意する
- 適切な高さの作業台等を利用して腰をかがめる作業を極力減らす
- 荷物を持ち上げるときは呼吸を整え、腹圧を加えて行う
- 腰部のひねりをなるべく少なくする
- 2人以上での作業をする際は身長差を少なくする
低い位置から重量物を持ち上げる際の姿勢としては、下記を参考にしてください。
- 片足を前に出す
- 膝を曲げる
- 腰を十分に下ろす
- 重量物を抱えたら膝を伸ばして立ち上がる
とにかく、重量物を取り扱う際には無理な姿勢にならないことと急激な変化をさせないことを覚えておけば良いでしょう。そうすれば、腰への負担も少なくなります。
重量物の取り扱い時間と頻度
重量物の梱包状態と作業姿勢や動作についての注意点以外では、作業負荷を極力減らすことが重要です。作業負荷は以下の4つの要素によって決まります。
- 荷物の重量
- 頻度
- 運搬距離
- 運搬速度
作業負荷を踏まえた具体的な注意点は下記の3点です。
- 作業の負荷によって休息をとる
- 軽作業との組み合わせによって重量物を取り扱う時間を減らす
- 単位時間内における取り扱い量を適切に定める
したがって、時間あたりの作業負荷を減らせる場合には極力減らしてください。もし、作業負荷を減らせない場合には、他の作業員との交替も考慮する必要があります。グループによる軽作業との組み合わせがおすすめです。
重量物を運ぶ際のその他の注意事項
重量物を人力で運ぶ際に注意する点としては、上記の通りです。ただし、必要に応じて以下の4点についても取り入れるのが良いでしょう。
- 必要に応じて腰部保護ベルトを使用する
- 「職場における腰痛予防対策指針」の「健康管理」を実施する
- 「職場における腰痛予防対策指針」の「労働衛生教育等」を実施する
- 長時間の車両運転後の作業は休息やストレッチなどを行う
腰部保護ベルトについては、効果の有無を確認しながら使用する必要があります。腰部保護ベルトの商品説明動画がありましたので、参考にしてください。
腰部保護ベルトは腰椎への保護を行うと同時に優れた運動性能を兼ね備えたものです。腰痛予防には最適ですが、装着方法を間違うと効果が得られないので注意しましょう。
健康管理については、「健康診断」「腰痛予防体操」の実施と「職場復帰時の措置」が必要です。腰痛は再発する可能性が高いので、日々の健康管理が重要となります。
労働衛生教育は「腰痛の原因や予防方法」についての教育の他、健康の保持増進のための措置についての教育も必要です。
人力で重量物を運ぶというのは簡単そうに見えますが、実際は多くのことに注意をしなければならないということがよくわかりました。
そうなんです。
だからこそ、人力に頼らない方法についても検討すべきでしょう!
重量物の運搬はロボットに頼ろう
人力での重量物の運搬は考えていたよりも大変なことだということがわかっていただけたことでしょう。一昔前の製造業なら、根性論で重量物を運ぶこともできたかもしれません。しかし、より安全な作業が必要となっている現在では、根性論に頼ることは不可能です。
そこでおすすめしたいのが、ロボットを活用した重量物の運搬作業。ただし、重量物運搬を得意とする産業用ロボットについて調べてみると、可搬重量が500kgや700kgのものが目に付きます。
しかし、本来の目的は労働基準法で定義された重量物の運搬作業です。つまり、可搬重量としては8kgから50kg程度のロボットであれば問題ありません。必要に応じたロボットを選択してください。
ロボットシステムの選択には当社のROGEARがおすすめです。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
また、ロボットを含む下記のような設備を導入することで効率よく重量物の運搬が可能です。
- 搬送ロボット(AGV・AMR)
- 自動倉庫
- 移動ラック
- ピッキングロボット
- パレタイジング・デパレタイジングロボット
これらは、一般的にマテハン(マテリアルハンドリング)と呼ばれ、近年自動化が進められています。マテハンに関しては別の記事で詳しく解説していますので、下記の記事を参考にしてください。
>>マテハン(マテリアルハンドリング)とは?導入するメリットや活用事例などを紹介
重量物についてのまとめ
本記事では重量物とはどのようなもので、運ぶ際にどのような点に注意すべきかといということについて詳しく解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
重量物とはあなたが手で持ち上げるときに「重い」と感じる物です。ただし、労働基準法では下記のように重量物の定義がなされていました。
上記のように、労働基準法では性別・年齢・作業別によって取り扱える重量物を細かく規定しています。
しかし、労働基準法における規定内の重量物であっても、人力での運搬作業を行う際には注意が必要です。特に腰痛は再発しやすいので、下記の3点には十分注意して作業を行ってください。
- 荷姿の改善・重量の明示等
- 作業姿勢・動作
- 取扱い時間・頻度
ただし、人力での運搬作業には限度があります。労働基準法には抵触しない場合でも、腰痛が発生しないとは限りません。そこでおすすめしたいのが、ロボットを含む重量物の運搬設備の導入。
具体的には、下記のようなマテハン(マテリアルハンドリング)の設備です。
- 搬送ロボット(AGV・AMR)
- 自動倉庫
- 移動ラック
- ピッキングロボット
- パレタイジング・デパレタイジングロボット
重量物の運搬が少量の場合は大きな問題になることはありません。しかし、継続した作業となると、腰痛の危険性が増します。できる限りロボット等を活用し、人力による運搬作業を減らしましょう。
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