普及が進む協働ロボットの主要メーカー各社の特徴を紹介
- #協働ロボット
こんにちは!
産業用ロボットの情報を発信している製造DX.comです。[◎△◎]
産業用ロボットは安全だから事故は起こらないのかと思っていました。
実はそうでもありません。あまり知られていないかもしれませんが、痛ましい事故なども発生しています。
実は、産業用ロボットによって引き起こされる事故は年々増加しています。産業用ロボット自体の安全性は年々向上していて、更に安全対策についても厳しくなっているにも関わらず増えている状況です。
そこで、本記事では産業用ロボットによって実際に起こった事故や事前対策などについて詳しく解説しました。
産業用ロボットをより安全に使用するためにも、ぜひ記事を最後までご覧になってください。
もくじ
平成25年から令和3年までの労働災害における死傷者数と死亡者数は以下のようになっています。
※()内は新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いたもの。
上記のグラフを見て理解できるのは、以下の3点です。
上記の表を見ると、昭和49年から死亡者数・死傷者数共に緩やかに減少しています。ただし、平成29年頃から死傷者数は再び緩やかに増加。そして令和3年は大きく増加していることがわかります。
では、死傷災害の内容についてはどうでしょうか。
上記のグラフは令和3年の労働災害発生状況を表したもの。死亡災害の16%、労働者死傷病の9%が「はさまれ、巻き込まれ」です。また、死亡災害・死傷病のどちらにも「激突され」や「転倒」が多いこともわかります。
もちろん、これら全てが産業用ロボットによる事故というわけではありません。
しかし、実際は産業用ロボットによる事故が増えていることが推測できます。その理由は、製造工場内の生産設備の自動化が進み、産業用ロボットの導入台数が増えてきているからです。製造工場では自動化が進み、人員を削減しています。その点を考慮して考察してみましょう。
経済産業省の資料「ロボットを取り巻く環境変化等について」には、世界の産業用ロボット導入台数が記載されています。上の画像を見ると2013年から5年間で導入台数が約2倍になっていることがわかるでしょう。
また、産業用ロボットの導入台数が増え、工場は省人化が進んでいます。しかし、製造業の労働災害は緩やかな減少傾向。前述した通り、令和3年には増加傾向となりました。
つまり、産業用ロボットを含む工場の自動化によって、機械関連の事故は増加していると言えるでしょう。
産業用ロボットを含む自動化によって事故が増えているということですね。では、産業用ロボットによって起こりやすい事故はどのようなものですか?
産業用ロボット関連で起こりやすい事故は、下記の2種類です。
それぞれについてもう少し詳しく解説しましょう。
産業用ロボットによる事故として多いのが「はさまれ・巻き込まれ」の事故です。過去には、下記の動画のような痛ましいニュースもありました。
近年は安全対策がしっかり施されるようになっていますが、上記の動画のように大きな事故が発生することもあります。
現在は協働ロボットなどの利用も増えました。協働ロボットはモーター出力が80W以下の産業用ロボットで、人と接触しても安全に設計されています。しかし、80Wよりも大きな出力のロボットは安全対策をしなければ危険です。協働ロボットについては下記の記事を参考にしてください。
実は、80Wよりも大きな出力の産業用ロボットは安全柵設置などの安全対策が義務付けられています。しかし、中には製造現場では作業性の問題でルール違反を犯している作業現場もあり、誰の目から見ても危険な状態です。
したがって、安全柵を設置していなかったり、安全柵を無効にしていたりする場合にはロボットのアームや周辺装置に挟まれる危険性があるでしょう。また、ローラーなどの回転物に巻き込まれることもあり、場合によっては死に至るケースもあります。
製造工場では毎年多くの転倒事故も報告されています。多くの転倒事故は直接的に産業用ロボットによる事故ではありません。しかし、転倒によって稼働中の産業用ロボットに接触することがあれば、大きな事故となり得るでしょう。
たとえば、作業現場の床に油などがこぼれて足を滑らすケースがあります。転倒したところに作業中の協働ロボットなどがあれば、労働災害となるかもしれません。協働ロボットの安全性が高いとは言え、転倒時の接触は危険なので注意が必要です。
それでは、続いて産業用ロボットによる事故の具体的な例を紹介しましょう。
実際に産業用ロボット関連で発生した事故の例を紹介します。今回取り上げたのは、厚生労働省の「職場のあんぜん」サイトから抜粋した下記2つの死亡事故の例です。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
この事故は車のシリンダーヘッド鋳造ラインの工程において、半製品を搬送する移載装置(産業用ロボット)のクランプに被災者が挟まれて死亡した事故でした。
事故が発生したのは夜間の作業であり、隣のラインで作業をしていた作業員が挟まれている被災者を発見しました。状況としては、被災者が産業用ロボットに何らかの異常を発見。その時、被災者はドアを開けて身を乗り入れた為、稼働していたクランプ部分に挟まれたと思われます。
事故が発生した際、産業用ロボット上の電源スイッチは自動運転状態のままとなっていました。
この事故の原因として考えられるのは次の2点です。
つまり、ラインが自動運転状態のまま危険区域に立ち入ったことが最も大きな原因でしょう。
この災害は、受像用ブラウン管パネル製造工場において、産業用ロボットのマニプレータに作業者が挟まれた死亡事故です。被災者がコンベヤ内にあったパネル破片を取り除いている作業中の出来事でした。
被災者は、減速機がある場所のコンベア内のパネル破片を発見。その後コンベアに接近し破片を取り除いていたところ、稼動中の産業用ロボットのマニプレータと減速機の間に頭部をはさまれ死亡したという事故です。
この事故の原因としては、次のようなことが考えられます。
不運にも多くの原因が重なり、重大な事故となってしまった痛ましい事故の例と言えます。
産業用ロボットに関する事故は怖いですね。
事故を起こさないようにしなければ・・・
産業用ロボットによる事故を起こさない為には、安全対策を行うことが最重要。そこで、事故を起こさないための対策として提案するのが次の5点です。
それでは、各々について詳しく解説していきましょう。
はさまれ・巻き込まれ事故が発生するのは、稼働中の産業用ロボットに近付くことが原因です。特に、異常を発見したときの咄嗟な動作として、手を出したり安全策の中に入り込むことは危険。
また、メンテナンス時にも電源遮断などの安全確認を行ったうえで産業用ロボットに近付くことが大原則です。
産業用ロボットを操作する作業員だけでなく、周辺で作業をする全員が作業マニュアルを厳守すべきです。
ロボットを直接操作しない作業員も、何らかの事情により危険区域に近付くことがあるかもしれません。しかし、そんな場合でも作業マニュアルを厳守することで、安全な作業が可能となります。大きな事故を未然に防ぐこともできるでしょう。
また、先程紹介した事故例も夜間の一人作業によって起こったものでした。したがって、産業用ロボットやその周辺での作業は決して一人で実施しないよう、マニュアルへの記載が必要となります。
産業用ロボットを操作する前には安全教育を実施する必要があります。ロボットメーカーによる安全講習などを受けるのがおすすめです。
安全教育により、産業用ロボットの危険性と事故防止策を作業員が理解できるでしょう。
安全教育には、法律で義務付けられている特別教育がありますが、それだけでなく社内でも安全作業手順を定期的に確認することが重要です。
産業用ロボットを導入して生産ラインを自動化する際に、協働ロボットに置き換えることができないか検討しましょう。協働ロボットはモーターの出力も小さく、安全性に優れたロボットです。
協働ロボットは重量物を運んだり、素早い動作には向いていません。しかし、人手作業を補助するには十分なロボットです。協働ロボットを導入することで、産業用ロボットによる事故を防げます。
前述した通り、産業用ロボットに関する事故には「転倒事故」も含まれます。転倒を防ぐ一つの対策方法としては、工場の動線をシンプルに保つことです。5S活動などを行い、工場の安全対策に取り組むことをおすすめします。
5Sに関しては、下記の記事で詳しく解説しています。整理・整頓時には参考にしてください。
産業用ロボットによる事故は正しい使用方法によって防げます。
本記事では、産業用ロボットの事故とその対策について詳しく解説しました。もう一度記事を振り返ってみましょう。
製造工場では自動化に伴い産業用ロボットに関する事故が増えてきました。産業用ロボットによる事故として最も多いのは次の2つです。
記事内では、産業用ロボットによる下記2件の死亡事故例を紹介しました。
また、産業用ロボットによる事故を起こさない対策として提案したのは次の5点です。
産業用ロボットは使い方を間違えれば危険です。場合によっては死亡事故も発生します。その点を再認識して、安全に取り扱いましょう。
自動化を行うにあたって知っておくべき事項をまとめた「工場自動化ガイド」を作成しました。これから自動化を行っていきたいと考えている企業様は是非参考にしてみてください。
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