普及が進む協働ロボットの主要メーカー各社の特徴を紹介
- #協働ロボット
近年、産業用ロボットの市場は年々拡大しています。経済産業省の予測では、2035年には10兆円規模の市場になると予測されています。日本においては少子高齢化による人材不足はもはや無視できない深刻な問題となっており、これまでは一部の大手企業のみが行っていたこれらの設備投資の流れは、中小企業にまで広がりつつあります。しかしながら、工場自動化というのは費用さえ払ってしまえば実現するという単純なものではありません。
いくつもの複雑な工程を経てようやく実現するものであり、その中で様々なトラブルが発生することもあります。実際に工場自動化を進めていくうえでベンダーとユーザー双方の認識ずれ、それによる手戻りといった問題が常態化しており、これは業界全体で大きな課題となっています。そしてこれらの問題によりコストの上昇、納期の遅延などが発生しユーザー側も大きな被害を被ることになります。
しかしこれらはベンダー側の不手際のみに依拠する問題ではなく、ユーザー側の知識不足や他人任せのスタンスにより引き起こされているという面もあります。そこで今回は、工場自動化を進めていくうえで導入を検討するユーザー側が気を付けるべき点をいくつか紹介していきましょう。
伊藤 雅也
株式会社ファーストオートメーション CEO
1995年生まれ。愛知県の工業高校卒業後、自動車部品メーカーへ入社し、生産管理部に従事。
大手ロボットSIerの株式会社豊電子工業に転職し、技術営業として工場自動化、ロボット化の提案営業を行う。自動車業界に限らず、物流業界、食品業界、医薬品業界の企業様を担当。画像解析や自動制御技術を活用したロボットシステム提案も経験。
2020年9月、株式会社ファースト・オートメーションを創業。FA設備の調達プロセスを効率化するプラットフォームROGEARを展開し、業界全体の問題解決に取り組む一方で、自社メディアであるROBoINにてロボットSIerや業界の認知度を向上させる活動にも積極的に取り組む。
もくじ
まず前提として、「自動化する必要がない場合もある」ということをお話させていただきます。自動化はあくまで手段であって、もし自動化が現場の改善策として最適な手段になるのであれば投資をおこなうべきです。しかし、場合によってはモノの流れや人の配置を見直すことで十分な成果を出せる場合もあります。それらを踏まえて、それでも高い生産目標や深刻な人手不足問題の解決策として自動化を行う場合は、概ね下記のようなプロセスで検討を進めていくことになります。
上記を踏まえて自動化を解決策として選択した場合、自動化設備を導入する目的も明確になっていると思います。自動化をする背景や目的、目的を達成する方法、予算感、希望納期などをRFP(提案依頼書)にまとめましょう。ここで重要なのは、どうなっていればこの自動化プロジェクトが成功したと言えるのかをどれだけ明確に関係者に伝えられるかです。RFPの作成方法については過去に詳しく解説していますのでそちらの記事も参考にしてください。
このあと作成したRFPをベンダーに提出して提案を貰うことになりますが、プロジェクトのゴールが明確になっていれば、必ずそのゴールに向かうための最善策をベンダーは提案してくれるでしょう。逆に言えばここが正確に伝えられていないと、様々なトラブルの元となり良いプロジェクトにはなり得ません。スタート時点の方向性が定まっていなければ理想のゴールに辿り着くことはできません。それほどRFPの作成は自動化を進めるうえでは重要な工程だと言えます。
作成したRFPを元に目的を達成できるベンダーを探しましょう。しかし、ベンダーにも得意不得意な分野がありますし、数ある企業の中から自社の課題にマッチする企業を選定するのは難しいですよね。そこで、多くの場合は展示会への参加や付き合いのある商社から紹介を受けることが多いようです。ただ、本当に情報収集それだけでよいのでしょうか?
もちろん情報収集にばかり時間を掛ける訳にはいきません。そこで、それらの課題を解決するために工場自動化業界でも企業同士のマッチングサービスやデータベースを用いたサービスが増加しています。これら複数のサービスから総合的に情報収集をおこない自社にマッチしそうな企業を探してみましょう。例えば、弊社も知識のないユーザーでもRFP作成や情報収集が手軽に行えるサービスを提供しています。まずは無料で利用することも可能なのでご興味があれば是非お試しください。
ベンダーが見つかったら次はベンダーから提案を受けることになります。その提案内容をまずは熟読ししっかりと理解しましょう。そして理解できない部分があれば必ずベンダーに確認しましょう。理解が曖昧な状態で高度な技術を用いた設備を導入しても、導入後の管理や運用ができず、せっかく導入した設備は倉庫で眠ってしまうことになります。ベンダーは常に最新の技術を取り入れています。しかし、それらの技術を活用する場合、要望に対しオーバースペックになることも多々あります。自社の自動化の目的を再度見直し、費用対効果を考えつつ、適切な仕様で進めていくことが重要です。
また、認識を合わせるうえで有効的なのが3Dシミュレーションです。ベンダーに依頼しイメージを具現化してもらいましょう。シミュレーションソフトを使えば設備構成や形はもちろんのこと、動きを見ることもできます。しっかりとベンダーとの認識を合わせながら、後々トラブルが起きないようにしましょう。
仕様整合が取れたら稟議を通し発注します。発注後はあとはベンダーを信じるのみです。もちろんベンダーの進捗も気になりますよね。ですので、ベンダーの開発スケジュールを都度共有してもらったり、密にコミュニケーションが取れる環境を構築しましょう。弊社が開発しているROGEARを利用すれば、ベンダーの開発スケジュール状況の可視化やチャットスペースですばやいコミュニケーションが可能です。
また、ただ進捗を確認するだけでなく、品質の確認も都度行いましょう。例えば、設備の設計が完了した段階では承認図という形でベンダーに提出してもらい、出図前の図面を確認しておきましょう。そこであらためて認識ズレがないかを確認したり、図面にしたときの細かい配置の変更や干渉物の除去、スイッチの変更などを必要に応じてここで依頼すると良いでしょう。ただし、あまりにも大きな変更は当初予定していた見積もりには含まれないものになるため、追加費用になります。だからこそ発注前段階の設備仕様の認識合わせが重要であり、抜け漏れの無い仕様検討が求められるのです。
承認図を確認し問題なかった場合、部品の発注を行い、部品が入荷次第、設備の組立がおこなわれていきます。工場自動化の需要は日々拡大しているため、部品調達は基本的に時間が掛かる場合が多いでしょう。その解決策として、一部の長納期部品のみ先行してベンダーに発注をするということもあります。この辺は設備の最終的な立ち上げ時期を考慮してベンダーに相談しながら進めていきましょう。部品が無事に入荷し設備が組みあがってきたら、出荷前の試運転に立ち合いをすることをオススメします。その段階までにテスト仕様書などを用意しておき、設備が目的を達成できる動きをしているかなどを確認しましょう。問題なければ納品となります。
納品された設備の管理はベンダーに頼りっぱなしでは危険です。トラブル対応ができる人材は社内に最低1名は必要です。ロボットシステムを導入する場合、特別教育を受講する必要もあります。特別教育受講者が自社にいない場合は、設備納品前に受講の手配をしておきましょう。特別教育の受講も需要拡大の為、すぐには予約できない場合も多いので前もって手続きを進めておくと良いでしょう。特別教育については下記の記事で解説しているので参考にしてください。
以上のプロセスで進めていくことで、ユーザーもベンダーも気持ちのいい取引ができます。例えば仕様の認識合わせを怠ったり、要求事項を言語化せず曖昧な依頼をしてしまうとトラブルが頻発し、その度にベンダー側に修正依頼をすることになります。ベンダー側からすると設計の手戻りに繋がりますので、設計者の工数が当初見積もりで予定していた工数を超過することになり、追加請求をせざるおえない状況になります。そうなったらユーザー側も予算を超過することになり、どちらも譲れない泥沼の戦いになるわけです。このような言った言わない議論が発生すると誰もが得をしない取引になってしまいます。そのような状況にならないようにベンダーに丸投げするだけではなく、ユーザー側も主体的に自動化検討を進めていく意識を持って取組んでいく必要があるでしょう。
今回は工場自動化を行う際にユーザー側が気を付けるべきことを紹介しました。弊社では工場自動化に関わる業務をサポートしトラブルを限りなく0に近づけるナレッジマネジメントサービス「ROGEAR(ロギア)」を開発しています。業務上のお悩みや業務のDX化などにご興味があれば無料相談も行っていますので、下記のフォームからお気軽にお問い合わせください。
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伊藤 雅也
株式会社ファーストオートメーション CEO
1995年生まれ。愛知県の工業高校卒業後、自動車部品メーカーへ入社し、生産管理部に従事。
大手ロボットSIerの株式会社豊電子工業に転職し、技術営業として工場自動化、ロボット化の提案営業を行う。自動車業界に限らず、物流業界、食品業界、医薬品業界の企業様を担当。画像解析や自動制御技術を活用したロボットシステム提案も経験。
2020年9月、株式会社ファースト・オートメーションを創業。FA設備の調達プロセスを効率化するプラットフォームROGEARを展開し、業界全体の問題解決に取り組む一方で、自社メディアであるROBoINにてロボットSIerや業界の認知度を向上させる活動にも積極的に取り組む。
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