製造業の基礎知識ラダー図の記号一覧|接点・コイル・タイマ・SET/RSTなど現場頻出20種類を例で読み解く【2026年版】

「ラダー図の記号って結局いくつ覚えればいい?」——結論、5カテゴリ・20種類を押さえれば現場ラダー図の9割は読めます。本記事では接点/コイル/タイマ・カウンタ/データ・演算/制御フローの5カテゴリで記号を整理し、読み方を早見表でまとめました。
ラダー図の概念や3つの基本回路パターン、主要3メーカー比較は PLCラダー図とは|基本5記号・主要3メーカー比較とAI自動生成の到達点 で扱っています。
もくじ
ラダー図記号 早見表|5カテゴリ × 主要20命令

ラダー図は IEC 61131-3 で標準化されたPLC言語のひとつで、リレー回路の図面をソフトウェアで表現する発想で生まれました。記号もリレー由来のものが多く、電気回路図を読んだ経験があれば直感的に理解できます。
| カテゴリ | 主要記号・命令 | 役割 |
|---|---|---|
| 接点(入力) | A接点/B接点/PLS/PLF | 外部信号や内部リレーの状態を取り込む |
| コイル(出力) | OUT/SET/RST/OUTP | 条件成立時にリレーや出力を駆動する |
| タイマ/カウンタ | T0/T1/C0/ST | 時間遅延・回数カウントを処理する |
| データ/演算 | MOV/ADD/CMP/BCD・BIN変換 | レジスタ値の転送・四則演算・比較 |
| 制御フロー | MC/MCR/STL/NOP/END | プログラム実行の区切り・ジャンプを制御 |
カテゴリ1|接点(入力)系の記号と読み方
接点はラダー図の「入力」を担う記号で、外部信号や内部リレーの状態を取り込みます。基本は A接点(ノーマルオープン)と B接点(ノーマルクローズ)の2種類です。
- A接点 —| |—:信号がオンのときに「電気が通る」状態。例:スイッチを押している間だけ動かす起動条件
- B接点 —|/|—:信号がオフのときに「電気が通る」状態。例:非常停止スイッチ(押されていないときが通常状態)
- 立上り検出 PLS:信号がオフ→オンに変化した1スキャンだけオンを出力。エッジ検出用
- 立下り検出 PLF:信号がオン→オフに変化した1スキャンだけオンを出力
接点記号の上に書かれている「X0」「M100」などのデバイス番号は信号名です。X系は外部入力、Y系は外部出力、M系は内部リレーを示すのが一般的(メーカーにより一部差異あり)で、初見のラダー図でも信号の出所をすぐ判別できます。
接点・コイル・タイマ/カウンタ・算術/論理演算・END命令の5系統の基本記号で構成され、電気回路図の知識があれば短時間で読み書きできるのが特徴です。
PLCラダー図とは|基本5記号・主要3メーカー比較とAI自動生成の到達点
カテゴリ2|コイル(出力)系の記号と読み方
コイルはラダー図の「出力」を担う記号で、行の右端に配置します。条件が成立すると出力先のリレーや外部機器がオンになります。
- 通常コイル —( )—:条件が成立している間だけオンを出力(条件が外れるとオフ)
- SET —(S)—:条件が一度でも成立すると、その後ずっとオン状態を保持(RSTされるまで)
- RST —(R)—:SETでオンになったリレーや出力をオフにリセット
- パルス出力 —(P)—:条件が成立した瞬間に1スキャンだけオン
SET/RSTは「自己保持回路を簡単に書ける命令」として現場で多用されます。起動条件でSET・停止条件でRSTを使えば、自己保持を数行で書けます。ただしSETでオンにしたリレーをRSTで戻し忘れると、装置を再起動しても挙動が変わらない「保持の罠」に陥るため、ペアでの使用が原則です。
カテゴリ3|タイマ・カウンタ系の記号と読み方

タイマは「条件成立から一定時間後にオンまたはオフする」命令、カウンタは「信号が何回入ったかを数える」命令です。実装はメーカーで多少異なりますが、考え方は共通しています。
- オンディレイタイマ T0 K20:条件成立から200ms後にオン(K値の単位は機種により10ms or 100ms単位)
- オフディレイタイマ T1:条件が外れてから一定時間後にオフする
- カウンタ C0 K100:入力パルスを100回数えたらオンに(生産個数のカウント等)
- 積算タイマ ST10:条件成立中の累計時間をカウント。装置の稼働時間集計などに使用
K値の単位はメーカー・機種ごとに異なるため、必ずマニュアルで確認します。「100に設定したつもりが10倍遅い/速い」という現場トラブルは、この単位の取り違えが原因のことが多いので注意が必要です。
カテゴリ4|データ・演算系の記号と読み方
接点とコイルだけでは表現できない「値の転送」「四則演算」「比較」を行う命令群です。データレジスタ(D0、D1…)の数値を操作します。
- 転送 MOV D0 D1:D0の値をD1にコピー。設定値の書き換え、初期化に多用
- 加算 ADD D0 D1 D2:D0 + D1 の結果をD2に格納(減算ならSUB、乗算MUL、除算DIV)
- 比較 CMP D0 D1 M0:D0とD1を比較し、結果をM0以降のリレーに格納(>/=/< の3状態)
- BCD/BIN変換:表示器(BCD)とPLC内部(BIN)の数値形式を相互変換
データ・演算系は接点・コイルに比べて使用頻度は下がりますが、「タッチパネルからの設定値で動作時間を変える」「生産個数を画面に表示する」といった現場必須の処理に使われます。命令名や引数の順序がメーカーで異なる点にだけ注意しましょう。
カテゴリ5|制御フロー系の記号と読み方
プログラム全体の実行順序を制御する命令群です。普段は意識しなくても動きますが、ラダー図を「読む」ときには必ず出くわします。
- END:ラダー図の末尾に必須。1スキャンの終了を意味し、ここから先頭に戻って再実行される
- MC/MCR:マスタコントロール。指定範囲のラダーをまとめてオン/オフできる「ブロック制御」
- NOP:何もしない命令。デバッグ時に既存命令を一時無効化するなどに使用
- STL:SFC(シーケンシャル・ファンクション・チャート)連携用のステップ命令
END命令はラダー作成ソフトの新規作成時にすでに書かれているのが普通ですが、「END以降に書いたラダーは実行されない」というルールは覚えておきましょう。「END命令の手前に挿入し忘れた」というバグは保全現場でも時々遭遇します。
2024年以降、自然言語の仕様から制御プログラム(特にラダー図・ST言語)のドラフトを生成する取り組みが、研究機関・PLCメーカー・装置メーカー双方で進んでいます。
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ラダー図記号を覚えたあとに押さえる「3つの基本回路パターン」
20種類の記号を覚えたら、次は組み合わせ=回路パターンを押さえます。現場頻出は次の3パターンで、業界・装置規模を問わずほぼすべてのラダー図に登場します。
- 自己保持回路:押しボタンを離しても動作を継続する基本形
- インターロック回路:相反する動作の同時実行を禁止(前進中は後退できない、安全扉が開いている間は装置が動かない等)
- タイマ駆動回路:「ボタンを押してから3秒後に動作開始」など時間を伴う制御の基本
3つの回路パターンの図解は PLCラダー図とは|基本5記号・主要3メーカー比較とAI自動生成の到達点 で扱っています。記号一覧と組み合わせれば、既存ラダー図を読んで動作を説明できるレベルまで到達できます。
ラダー図の知識を業務基盤につなげる
記号と回路パターンを覚えたら、次は「ラダー図単体ではなく、設計BOM・装置仕様書・検査ログといった上流/下流の業務とつなげて生産性を上げる」という視点が役に立ちます。PLCの中だけで完結しないという発想です。
ERPは『お金とモノの記録台帳』、PLMは『図面とBOMの保管庫』であって、業務そのものを実行する仕組みではない。
業務OSとは何か——製造業ERPでもPLMでもない、第3の業務基盤の正体
装置仕様書からラダー図のドラフトを生成する、検査ログの異常パターンを閾値見直しに反映する——こうした業務横断の基盤を業務OSと呼びます。ラダー図の理解は、業務効率を引き上げる基盤づくりにつながります。
FAQ|ラダー図記号についてよくある質問
Q1. ラダー図の記号は何種類覚えれば現場で困りませんか?
本記事の5カテゴリ20種類で現場ラダー図の9割は読めます。残り1割は機種固有の特殊命令で、必要に応じてマニュアルで確認すれば十分です。
Q2. A接点とB接点を見分けるコツはありますか?
記号の真ん中に斜線が入っているかで判別します。斜線なし「—| |—」がA接点(オンで通電)、斜線あり「—|/|—」がB接点(オフで通電)です。
Q3. SETとRSTを使うと自己保持回路は不要になりますか?
機能的には同等ですが、自己保持回路を明示的に書く流派とSET/RSTで書く流派が分かれます。装置メーカーや先輩の流儀に合わせるのが無難です。
Q4. メーカーが違うとラダー図の記号も違いますか?
接点・コイルなどの基本記号はIEC 61131-3でほぼ統一されていますが、応用命令はメーカーで命令名と引数の並びが異なります(三菱電機GX Works3/キーエンスKV STUDIO/オムロンSysmac Studio)。
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ラダー図記号一覧 まとめ
本記事ではラダー図記号を「接点/コイル/タイマ・カウンタ/データ・演算/制御フロー」の5カテゴリに整理し、現場頻出の20種類を読み方と例で紹介しました。回路パターン(自己保持・インターロック・タイマ駆動)と組み合わせれば、既存ラダー図の9割は読めるレベルに到達できます。
ラダー図やPLCを起点に、装置仕様書・検査ログ・設計BOMといった周辺業務まで含めた業務基盤の棚卸しを、60分・無料で実施しています。
