エアシリンダとは?単動・複動の違いと種類・選び方(選定4ステップ)を図解で解説【2026年版】

エアシリンダとは?単動・複動の違いと種類・選び方(選定4ステップ)を図解で解説【2026年版】
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この記事の要点

  • エアシリンダとは、圧縮空気の力を直線的な「押す・引く」の動きに変える、FA自動化で最も使われるアクチュエータです。
  • 単動と複動の違いは戻り方向の駆動源です。戻すだけなら単動(ポート1つ)、戻り方向にも力が要るなら複動(ポート2つ)が基本です。
  • 選定は4ステップ——①動作方式②取付形式③ロッド形式④サイズ(内径・ストローク)の順に決めると迷いません。
  • 動きは電磁弁で制御します。単動は3ポート、複動は5ポートの電磁弁とPLC指令の組み合わせが定番です。

結論から言うと、エアシリンダの選定は「動作方式→取付形式→ロッド形式→サイズ」の順で決めれば失敗しません。製造現場の搬送・位置決め・クランプ(固定)の多くは、この空気圧アクチュエータが担っています。しかしカタログには単動・複動、フランジ・クレビス、ガイド付き・薄型…と型式が並び、「どれを選べば自分の装置に合うのか」で手が止まりがちです。この記事では、エアシリンダの基本原理と種類の違いを図解し、現場で使える選定4ステップまでを一気通貫で解説します。

エアシリンダとは?

エアシリンダ(空気圧シリンダ)とは、圧縮空気の圧力を、ピストンとロッドによる直線的な往復運動に変換する空気圧アクチュエータです。工場の配管を流れる0.5MPa前後の圧縮空気をエネルギー源とし、ワークを押し出す・持ち上げる・挟むといった仕事をします。電気モーターに比べて構造が単純で安価、動作が速く、油を使わないため清潔という長所があり、搬送コンベアのストッパやプレスの押さえ、治具のクランプなど、製造ラインのあらゆる場所で使われています。

アクチュエータとは、制御信号を実際の物理的な動きに変える部品の総称です。センサが状態を検出し、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)が次の動作を判断し、その指令を「動き」に変える最終段がアクチュエータにあたります。エアシリンダはその代表格で、電磁弁(ソレノイドバルブ)を介してPLCの電気信号を受け取り、空気の力で動きます。

単動シリンダと複動シリンダの違いは?

結論は、戻り方向を「バネで戻す」のが単動シリンダ、「空気圧で戻す」のが複動シリンダです。最大の違いは、ロッドを戻す(後退させる)ときの駆動源にあります。単動シリンダは前進だけを空気圧で行い、後退は内蔵バネの力に任せます。給気ポートが1つで済むため配管がシンプルで、消費空気量も少なく済みます。一方の複動シリンダは、前進側と後退側の2つのポートを持ち、両方向とも空気圧で駆動します。押すときも引くときも力を出せるため、最も一般的に使われるタイプです。

比較項目単動シリンダ複動シリンダ
後退(戻り)の力内蔵バネ空気圧
ポート数1(給気のみ)2(前進側・後退側)
使う電磁弁3ポート5ポート
消費空気量少ないやや多い
向く用途軽負荷の押し出し・クランプ汎用の搬送・位置決め
表1:単動シリンダと複動シリンダの使い分け

この「電気信号を空気の動きに橋渡しする」役割を実際に担うのが電磁弁です。エアシリンダを理解するうえで、電磁弁とセットで押さえておくと選定が一気に楽になります。

電磁弁は、PLCからの電気信号を空気圧シリンダなどのアクチュエータへ送り込む「流体のスイッチ」として、両者の橋渡しをします。

電磁弁(ソレノイドバルブ)の種類と選び方

エアシリンダにはどんな種類がある?

エアシリンダの種類は、①動作方式②取付形式③ロッド形式の3つの軸で整理できます。カタログの型式も、ほぼこの3軸の組み合わせで決まっています。動作方式(単動・複動)は前章のとおりです。ここでは残りの2軸、取付形式とロッド形式を押さえましょう。

取付形式は、シリンダを装置に固定する方法です。がっちり固定するフット形・フランジ形、ピンを支点に首を振れるクレビス形・トラニオン形があり、シリンダが動作中に揺動するかどうかで選びます。ロッド形式は、出力軸まわりの構造です。標準の丸ロッドのほか、横荷重や回り止めに強いガイド付き(ガイドロッド)タイプ、扉の裏など狭所に収まる薄型(ガイドレス)タイプがあります。

主なバリエーション選ぶ観点
動作方式単動/複動戻り方向にも力が要るか
取付形式フット/フランジ/クレビス/トラニオン固定か揺動か・荷重の向き
ロッド形式標準ロッド/ガイド付き/薄型(ガイドレス)横荷重・回り止め・省スペースの要否
表2:エアシリンダを整理する3つの軸

なお、エアシリンダは単体で動くわけではなく、電磁弁・電源・PLCなどとともに制御盤の中で1つのシステムを構成します。盤内の電気の流れを俯瞰しておくと、シリンダがどの信号で動いているかが立体的に見えてきます。

盤内の回路は、モーターなどに大電流を送る動力回路(主回路)と、DC24Vの小さな信号で判断・指令を行う制御回路の2階建てで構成されます。

制御盤の基礎——主要機器8つでつかむ全体像

エアシリンダの選び方は?選定の4ステップ

エアシリンダの選定は、①動作方式②取付形式③ロッド形式④サイズ(内径・ストローク)の順に決めるのが定石です。上流から順に絞り込むことで、無数の型式から自分の装置に合う1本へ迷わずたどり着けます。

最後のサイズ決定では、必要な推力(押す力)からロッドの内径を選びます。推力の目安は、ピストンの受圧面積(内径から計算)に使用圧力を掛けた値です。実際には摺動摩擦や背圧で理論値より下がるため、必要推力に対して1.3〜2倍程度の余裕(負荷率50〜70%目安)を見込んで内径を決めるのが実務の定番です。あわせて、移動距離からストロークと、細長い場合の座屈(ロッドが曲がる限界)も確認します。

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選んだシリンダを実際に動かすには、電磁弁の給排気を切り替える制御ロジックが必要です。スタートボタンで前進し、その状態を保持する——といった動きは、シーケンス制御の基本回路で組み立てます。

自己保持回路は、押している間だけ閉じる「モーメンタリ接点」のスタートボタンで、出力を継続的にオンに保つための回路です。

シーケンス制御の基本回路3パターン

よくある選定ミスとは?

「とりあえず複動を選んでおけば安心」と考えがちですが、必ずしも最適とは限りません。戻り方向に力が不要な軽負荷の押し出しでは、単動のほうが配管も制御もシンプルになり、省エネにもつながります。逆に、横荷重が掛かる搬送で標準ロッドを選ぶと、ロッドやブッシュが偏摩耗して寿命を縮めます。この場合はガイド付きを選ぶべきです。また、推力に余裕を持たせすぎて内径を大きくすると、消費空気量が増えてランニングコストが上がります。「大は小を兼ねる」で選ぶのではなく、負荷率を目安に適正サイズを選ぶことが、結局はコストと信頼性の両立につながります。

よくある質問(FAQ)

単動と複動、どちらを選べばよい?

戻り方向にも力や確実な動作が必要なら複動、戻すだけでよいなら単動が基本です。省配管・省エネを優先する軽負荷の押し出しやクランプでは単動、汎用的な搬送・位置決めでは複動が広く使われます。

エアシリンダと油圧シリンダの違いは?

駆動する流体が違います。エアシリンダは圧縮空気で動き、清潔・高速・安価ですが大きな力は苦手です。油圧シリンダは油の非圧縮性を使って大推力を出せますが、装置が大きく油漏れ管理も必要になります。

必要な推力はどう見積もる?

推力(N)は、ピストンの受圧面積(内径から算出)に使用圧力を掛けた値が目安です。実際は摩擦や背圧で理論値より下がるため、必要推力に対して1.3〜2倍程度の余裕を見て内径を選びます。

エアシリンダの動きは何で制御する?

多くは電磁弁(ソレノイドバルブ)で給排気を切り替えて制御します。単動シリンダは3ポート、複動シリンダは5ポートの電磁弁が基本で、PLCの指令に応じて弁が動きます。

まとめ:上流から順に絞れば選定は迷わない

エアシリンダは、圧縮空気を直線運動に変える製造現場の主力アクチュエータです。まず単動か複動かで動作方式を決め、取付形式・ロッド形式・サイズの順に絞り込めば、無数の型式から自分の装置に合う1本へ最短でたどり着けます。次のステップとして、シリンダを実際に動かす電磁弁の選び方や、それらをまとめる制御盤の全体像へと理解を広げると、装置1台の「動きの設計」が見えてきます。

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出典

  • JIS B 8367(空気圧用シリンダ)——空気圧シリンダの用語・種類の規格
  • SMC株式会社・CKD株式会社 製品カタログ(エアシリンダの動作方式・取付形式・ロッド形式の分類)
  • 日本フルードパワー工業会(JFPS)——空気圧機器の技術資料
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