製造業の基礎知識電磁弁(ソレノイドバルブ)とは|種類・仕組み・選び方をFA自動化の視点で図解で解説【2026年版】

もくじ
この記事の要点
- 電磁弁(ソレノイドバルブ)とは、電気のオン・オフで空気・油・水などの流路を切り替えるバルブです。FA自動化では「PLCの指令を流体の動きに変える」橋渡し役を担います。
- 分類の軸は3つ。①動作方式(直動式/パイロット式)、②ポート数(2/3/5ポート)、③ソレノイド構成(シングル/ダブル)です。
- 通電していないときの状態にはノーマルクローズ(N.C.)とノーマルオープン(N.O.)があり、停電時にどちらへ戻すかが安全設計の起点になります。
- 選び方は「流体の種類・口径・接続方式・電圧・停電時の挙動」の5点で考えるのが基本です。
電磁弁(ソレノイドバルブ)とは?
電磁弁とは、電磁石(ソレノイド)のオン・オフで弁を動かし、空気・油・水などの流体の流れを「通す・止める・切り替える」バルブです。手動レバーの代わりに電気信号で流路を制御できるため、人手を介さない自動化に欠かせない部品です。英語の solenoid valve をそのまま「ソレノイドバルブ」と呼ぶこともあります。
FA(ファクトリーオートメーション)の制御の流れでいうと、センサが状態を検出し、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)が次の動作を判断し、その指令を実際の動きへ変えるのがアクチュエータです。電磁弁は、PLCからの電気信号を空気圧シリンダなどのアクチュエータへ送り込む「流体のスイッチ」として、両者の橋渡しをします。アクチュエータ側の全体像はアクチュエータとは(電動・空気圧・油圧の種類と選び方)で解説しています。
電磁弁にはどんな種類がある?(3つの分類軸)
電磁弁の種類は、①動作方式・②ポート数・③ソレノイド構成の3つの軸で整理すると一気に理解しやすくなります。カタログの型式も、ほぼこの3軸の組み合わせで決まっています。

直動式とパイロット式の違いは?
結論から言うと、直動式は小口径で応答が速く、パイロット式は省電力で大口径に向きます。直動式はソレノイドの電磁力だけで弁を直接開閉するのに対し、パイロット式は流体自身の差圧(圧力差)を利用して主弁を動かす構造です。
| 項目 | 直動式 | パイロット式 |
|---|---|---|
| 開閉の力 | 電磁力で直接 | 流体の差圧を利用 |
| 口径の目安 | 小口径(Rc1/8〜1/4程度) | 中〜大口径 |
| 消費電力 | やや大きい | 小さい |
| 作動の前提 | 差圧ゼロでも動く | 一定の最低作動差圧が必要 |
| 向く用途 | 小流量・真空・応答重視 | 大流量・省エネ重視 |
2ポート・3ポート・5ポートはどう使い分ける?
結論は、流体を開閉するだけなら2ポート、単動シリンダなら3ポート、複動シリンダなら5ポートが基本です。ポートとは弁につながる配管口のことで、数が増えるほど制御できる動作が増えます。
| ポート数 | 主な役割 | 動かせる対象の例 |
|---|---|---|
| 2ポート | 流体の開閉(ON/OFF) | 給水・エアブロー・流体の遮断 |
| 3ポート | 1方向の給気・排気 | 単動シリンダ・真空パッド |
| 5ポート | 2方向の給排気を切替 | 複動シリンダ(最も一般的) |
空気圧シリンダの多くは前進・後退の両方を空気で押す複動式のため、現場で最もよく使われるのは5ポート電磁弁です。これらの弁を実際に動かす指令を出すのがPLCで、リレー回路の延長線上にあります。
実装方式はリレーシーケンス(有接点)とPLCシーケンス(無接点)の2つ。現在の新規設備はほぼPLC(シーケンサ)で組まれます。
シーケンス制御とは|リレーとPLCの仕組みを図解で解説
シングルとダブルソレノイドはどう違う?
結論は、停電時に定位置へ戻したいならシングル、その場で位置を保持したいならダブルです。シングルソレノイドは復帰バネを内蔵し、通電を切ると決めた定位置へ自動で戻ります。ダブルソレノイドは2つのコイルを持ち、最後に切り替えた位置をそのまま保持します。

ここで重要になるのが、通電していないときに弁が開いているか閉じているか——ノーマルオープン(N.O.)かノーマルクローズ(N.C.)かという考え方です。これは制御回路のa接点・b接点とまったく同じ発想で、安全設計の基本になります。
非常停止スイッチや安全ドアスイッチは、a接点ではなくb接点で組むのが原則とされています。
a接点・b接点・c接点の違いとは|N.O./N.C.の動作と使い分け
電磁弁は現場の自動化のどこに位置づく?(選び方)
電磁弁は単体で完結する部品ではありません。センサ・PLC・アクチュエータと組み合わさって初めて「装置の動き」になり、その装置をいつ・どう保全するかという運用にまでつながります。弁の良し悪しだけでなく、装置全体・現場の判断の中でどう機能するかという視点が、選定でも保全でも効いてきます。
生産技術OSが変えるのは「判断材料をそろえる工程」。止める/止めないの最終判断は人が握り続けます。
設備保全の判断が属人化する理由と、生産技術OSで標準化できる範囲
実際の選定は、次の5つのチェックポイントで考えると迷いません。
- 流体の種類:空気・油・水・蒸気など。流体に対応した弁体・シール材を選ぶ。
- 口径・流量:必要な流量に対し小さすぎると圧力損失が大きくなる。
- 接続方式:配管接続かマニホールド集約か。多連弁ならマニホールドが省配線。
- 定格電圧:DC24Vが主流。AC100V/200V・DC12Vなどはコイル仕様をPLC出力に合わせる。
- 停電時の挙動:N.C./N.O.とシングル/ダブルで、停電時に安全側へ倒れる構成を選ぶ。
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よくある質問(FAQ)
電磁弁とリレーは何が違う?
どちらも電磁石で動く部品ですが、扱う対象が違います。リレーは「電気回路」を開閉する部品、電磁弁は「流体の流路」を開閉する部品です。リレーの接点で電磁弁のコイルをオン・オフする、という形でセットで使われることもよくあります。
ノーマルクローズとノーマルオープンはどちらを選ぶ?
停電時に安全側へ倒れる方を選びます。通電が切れたときに流体を止めたいならN.C.(ノーマルクローズ)、流したいならN.O.(ノーマルオープン)が基本です。エアブローや薬液供給は止まってほしいのでN.C.が一般的です。
空気圧シリンダにはどのポートの電磁弁を使う?
前進・後退の両方を空気で押す複動シリンダなら5ポート、片側だけ空気でもう片側はバネで戻す単動シリンダなら3ポートが基本です。迷ったら、現場で最も使われるのは複動シリンダ+5ポートです。
電磁弁の定格電圧は何が多い?
FA用途ではDC24Vが主流です。ほかにAC100V/200V、DC12Vなどがあり、PLCやリレーの出力仕様に合わせてコイル電圧を選びます。電圧を間違えるとコイル焼損や動作不良の原因になります。
まとめ:電磁弁選びは「停電時にどうあるべきか」から
電磁弁は、動作方式(直動式/パイロット式)・ポート数(2/3/5)・ソレノイド構成(シングル/ダブル)の3軸で整理でき、最後はN.C./N.O.を含めた「停電時にどの状態であってほしいか」という安全設計に行き着きます。センサ・PLC・アクチュエータと合わせて、装置全体の動きの中で選ぶことが大切です。
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出典
- 電磁弁の動作方式・ポート数・ソレノイド構成の分類、口径・電圧の目安は、空気圧機器メーカーの製品カタログおよび技術解説(ミスミ MISUMI、SMC 等の公開情報)の一般的な区分に基づく整理です。
- 非常停止回路をb接点(N.C.)で組むフェールセーフの考え方は、機械安全の一般原則に基づきます。
