製造業の基礎知識図面はできたのに原価は「作ってみないと分からない」——設計段階で製造原価が見えない構造と、原価をそろえる順番
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もくじ
電磁弁とは、電磁石(ソレノイド)のオン・オフで弁を動かし、空気・油・水などの流体の流れを「通す・止める・切り替える」バルブです。手動レバーの代わりに電気信号で流路を制御できるため、人手を介さない自動化に欠かせない部品です。英語の solenoid valve をそのまま「ソレノイドバルブ」と呼ぶこともあります。
FA(ファクトリーオートメーション)の制御の流れでいうと、センサが状態を検出し、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)が次の動作を判断し、その指令を実際の動きへ変えるのがアクチュエータです。電磁弁は、PLCからの電気信号を空気圧シリンダなどのアクチュエータへ送り込む「流体のスイッチ」として、両者の橋渡しをします。アクチュエータ側の全体像はアクチュエータとは(電動・空気圧・油圧の種類と選び方)で解説しています。
電磁弁の種類は、①動作方式・②ポート数・③ソレノイド構成の3つの軸で整理すると一気に理解しやすくなります。カタログの型式も、ほぼこの3軸の組み合わせで決まっています。

結論から言うと、直動式は小口径で応答が速く、パイロット式は省電力で大口径に向きます。直動式はソレノイドの電磁力だけで弁を直接開閉するのに対し、パイロット式は流体自身の差圧(圧力差)を利用して主弁を動かす構造です。
| 項目 | 直動式 | パイロット式 |
|---|---|---|
| 開閉の力 | 電磁力で直接 | 流体の差圧を利用 |
| 口径の目安 | 小口径(Rc1/8〜1/4程度) | 中〜大口径 |
| 消費電力 | やや大きい | 小さい |
| 作動の前提 | 差圧ゼロでも動く | 一定の最低作動差圧が必要 |
| 向く用途 | 小流量・真空・応答重視 | 大流量・省エネ重視 |
結論は、流体を開閉するだけなら2ポート、単動シリンダなら3ポート、複動シリンダなら5ポートが基本です。ポートとは弁につながる配管口のことで、数が増えるほど制御できる動作が増えます。
| ポート数 | 主な役割 | 動かせる対象の例 |
|---|---|---|
| 2ポート | 流体の開閉(ON/OFF) | 給水・エアブロー・流体の遮断 |
| 3ポート | 1方向の給気・排気 | 単動シリンダ・真空パッド |
| 5ポート | 2方向の給排気を切替 | 複動シリンダ(最も一般的) |
空気圧シリンダの多くは前進・後退の両方を空気で押す複動式のため、現場で最もよく使われるのは5ポート電磁弁です。これらの弁を実際に動かす指令を出すのがPLCで、リレー回路の延長線上にあります。
実装方式はリレーシーケンス(有接点)とPLCシーケンス(無接点)の2つ。現在の新規設備はほぼPLC(シーケンサ)で組まれます。
シーケンス制御とは|リレーとPLCの仕組みを図解で解説
結論は、停電時に定位置へ戻したいならシングル、その場で位置を保持したいならダブルです。シングルソレノイドは復帰バネを内蔵し、通電を切ると決めた定位置へ自動で戻ります。ダブルソレノイドは2つのコイルを持ち、最後に切り替えた位置をそのまま保持します。

ここで重要になるのが、通電していないときに弁が開いているか閉じているか——ノーマルオープン(N.O.)かノーマルクローズ(N.C.)かという考え方です。これは制御回路のa接点・b接点とまったく同じ発想で、安全設計の基本になります。
非常停止スイッチや安全ドアスイッチは、a接点ではなくb接点で組むのが原則とされています。
a接点・b接点・c接点の違いとは|N.O./N.C.の動作と使い分け
電磁弁は単体で完結する部品ではありません。センサ・PLC・アクチュエータと組み合わさって初めて「装置の動き」になり、その装置をいつ・どう保全するかという運用にまでつながります。弁の良し悪しだけでなく、装置全体・現場の判断の中でどう機能するかという視点が、選定でも保全でも効いてきます。
生産技術OSが変えるのは「判断材料をそろえる工程」。止める/止めないの最終判断は人が握り続けます。
設備保全の判断が属人化する理由と、生産技術OSで標準化できる範囲
実際の選定は、次の5つのチェックポイントで考えると迷いません。
現場の自動化を「どの装置の・どの工程で・誰が判断しているか」という業務単位で棚卸ししたい方は、無料の業務診断もあわせてご活用ください。センサからアクチュエータまでの信号設計の考え方は工場の自動化で使うセンサの種類とはも参考になります。
どちらも電磁石で動く部品ですが、扱う対象が違います。リレーは「電気回路」を開閉する部品、電磁弁は「流体の流路」を開閉する部品です。リレーの接点で電磁弁のコイルをオン・オフする、という形でセットで使われることもよくあります。
停電時に安全側へ倒れる方を選びます。通電が切れたときに流体を止めたいならN.C.(ノーマルクローズ)、流したいならN.O.(ノーマルオープン)が基本です。エアブローや薬液供給は止まってほしいのでN.C.が一般的です。
前進・後退の両方を空気で押す複動シリンダなら5ポート、片側だけ空気でもう片側はバネで戻す単動シリンダなら3ポートが基本です。迷ったら、現場で最も使われるのは複動シリンダ+5ポートです。
FA用途ではDC24Vが主流です。ほかにAC100V/200V、DC12Vなどがあり、PLCやリレーの出力仕様に合わせてコイル電圧を選びます。電圧を間違えるとコイル焼損や動作不良の原因になります。
電磁弁は、動作方式(直動式/パイロット式)・ポート数(2/3/5)・ソレノイド構成(シングル/ダブル)の3軸で整理でき、最後はN.C./N.O.を含めた「停電時にどの状態であってほしいか」という安全設計に行き着きます。センサ・PLC・アクチュエータと合わせて、装置全体の動きの中で選ぶことが大切です。
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