自動化・ロボットの活用事例ロボットSIerの提案がなぜ「エース頼み」になるのか——引合対応の提案構想業務を分解し、属人化を解く順番【2026年】
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ロボット(産業用ロボット)の種類は、大きく分けて「直交ロボット」「垂直多関節ロボット」「双腕型ロボット」「人協働ロボット」「水平多関節ロボット(スカラ)」「パラレルリンクロボット」の6種類です。分類の粗さによって3種類・4種類と数えることもありますが、機構と用途で整理すると、この6つを押さえれば産業用ロボットの全体像がつかめます。
この記事では、産業用ロボットの6種類それぞれの特徴・軸数・代表的な用途・導入事例を一覧表で比較し、種類ごとの選び方と、導入後の現場運用でつまずきやすいポイントまでを2026年時点の情報で解説します。
この記事の要点
産業用ロボットとは、製造現場で組立・搬送・溶接・塗装などの作業を自動で行う、プログラム制御可能な多目的マニピュレータのことです。ロボットには家庭用ロボットやサービスロボットもありますが、本記事では工場で使われる産業用ロボットに絞って種類を解説します。国際規格ISO 8373および日本産業規格JIS B 0134では、ロボットを機構(構造)によって分類しており、これが「種類」を考えるうえでの土台になります。
| 種類 | 機構・軸数 | 主な用途 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|---|
| 直交ロボット | 直交スライド軸 2〜6軸 | 組立・搬送・接着剤塗布 | 安価・制御が容易 | 複雑な動作に不向き |
| 垂直多関節ロボット | 回転関節 4〜7軸 | 溶接・組立・塗装 | 自由度が最も高い | 高額・扱いに技術が必要 |
| 双腕型ロボット | 垂直多関節×2アーム | 精密ハンドリング・袋詰め | 1台で複雑作業 | プログラムが複雑 |
| 人協働ロボット | 多関節・安全設計 | ねじ締め・検査・受渡し | 柵不要で省スペース | 可搬質量・速度に制約 |
| 水平多関節(スカラ) | 水平回転軸+Z軸 | ピッキング・挿入・ねじ締め | 高速・安価・省スペース | 動作の自由度が低い |
| パラレルリンク | 並列リンク機構 | 高速仕分け・整列 | 高速・高精度 | 作業領域が狭い |
もくじ
結論として、産業用ロボットは分類の粗さで「3種類・4種類・6種類」と数え方が変わります。直交ロボットを別として、垂直多関節・双腕型・人協働をまとめて広義の「垂直多関節型」とすれば大きく3〜4種類、機構と用途で細かく分ければ6種類、という整理です。
また、ISO 8373やJIS B 0134の機構分類では、直角座標(直交)ロボット・円筒座標ロボット・極座標ロボット・関節ロボット(垂直多関節)・スカラ(水平多関節)ロボット・パラレルロボットに区分されます。円筒座標・極座標型は現在の生産現場では採用例が少ないため、本記事では実務でよく使われる6種類を軸に解説します。
それでは、6種類それぞれの特徴と導入事例を順に見ていきましょう。
直交ロボットとは、X軸・Y軸・Z軸の直交するスライド軸を組み合わせたロボットです。一般的には2軸以上のスライド軸が直交するものを指し、1軸のみの単軸ロボットを含める場合もあります。最も基本的な産業用ロボットで、構造がシンプルなぶん安価に導入でき、制御プログラムも比較的容易です。
小型のものが多く、小さな部品の組立工程や搬送工程が主な用途です。参考として、下記はプリント基板の組み立て工程のシミュレーション動画です。
複雑な動作をさせようとすると機構が複雑になりやすいため、複雑な動作が必要な工程では垂直多関節ロボットやスカラロボットへの置き換えを検討します。
垂直多関節ロボットは、人間の腕のように複数の回転関節を持つロボットで、「産業用ロボット」と聞いて多くの人がイメージする種類です。腰・肩・肘・手首にあたる4つの関節を4〜7軸のサーボモーターで動かし、非常に複雑な動作を実現します。そのぶん高度なプログラミングと技術が必要で、扱える技術者がいないと導入に失敗しやすい点には注意が必要です。
下記の動画は自動車製造ラインで、垂直多関節ロボットが並んで複雑な動作を行っている様子です。
自由度が最も高く需要も高い種類ですが、導入時にはロボットを扱う技術と、比較的高額になる導入費用を考慮して検討する必要があります。
片腕のように見える垂直多関節ロボットは、別名「単腕型ロボット」とも呼ばれます。この腕が2本になったものが「双腕型ロボット」で、アームが2本になることで1台でより複雑な動作が可能になりました。ただしプログラミングは相応に複雑になるため、導入には注意が必要です。垂直多関節ロボット2台だけでなく、スカラロボット2台を組み合わせた双腕型もあります。
人協働ロボットは「人と協働できる」ことをコンセプトに作られた種類で、軽量で安全な設計が最大の特徴です。人とロボットが同じ場所で作業できるため、大きな安全柵の設置スペースを確保しにくい現場で重宝します。ただし、実際に柵なしで運用できるかは、用途・速度・力などのリスクアセスメント結果によって決まります。
水平多関節ロボット(スカラロボット)は、複数の回転軸とアームを持ち、先端部がZ軸方向に動作するロボットです。水平方向の動作がメインで複雑な動作はできませんが、機構も動作もシンプルなため導入費用は比較的安価で、省スペースに設置できます。動作の自由度が低いぶん、使える工程は限られます。
下記の動画は、ボトルの向きを判別して搬送する工程です。制御は難しいものの、動作自体は単純であることがわかります。
パラレルリンクロボットは、メーカーによっては「ゲンコツロボット」とも呼ばれる比較的新しい種類で、従来型のデメリットを改善するために用途を絞ったロボットです。高精度・高速・シンプルな機構である一方、作業領域は狭いのが特徴です。
主な導入事例は「小物の仕分け作業」で、コンベア上に不規則に並んだ製品を仕分けて別の場所へ置く工程に使われます。ワークの向きや種類を瞬時に把握するため、ビジュアルセンサーが必須となります。
ここまで見てきたように、ロボットの種類選びは「どの機種を買うか」の話に見えます。しかし現場で本当に効いてくるのは、機種を選んだあとの運用です。関連する視点として、過去記事から3本を引用します。
世界4強には入らないものの、特定領域では世界トップシェアを持つ国内主要メーカー5社の特徴を整理します。
産業用ロボットメーカー比較|世界4強+国内5社のシェアと特徴
各OSは独立して導入可能ですが、共通のデータ層を持つことで、設計変更が発生したときに調達と品質と生産技術が同じ情報を見て動ける状態をつくります。
業務OSとは何か——第3の業務基盤の正体
引き継ぐべき情報をデータモデルとして握るかどうかは、属人化への姿勢の問題ではなく、業務基盤の設計判断です。
生産計画が特定のベテランしか立てられない構造
種類選定の基本は「工程に必要な最小限の自由度・速度・可搬質量で選ぶ」ことです。図2のように、種類ごとに動作の自由度と導入コストのバランスが異なります。直線的な動作で十分な工程に多関節ロボットを使うと、動作もコストも過剰になり、デメリットの方が大きくなります。
産業用ロボットは、適材適所に使うことで初めて導入目的を達成できます。種類の長所・短所を踏まえ、どの工程にどの種類を割り当てるかを設計段階で見極めることが重要です。
種類を正しく選んでも、選定理由や教示(ティーチング)のノウハウが特定の担当者の頭の中だけに残ると、増設や機種更新のたびに同じ人に頼らざるを得なくなります。これは担当者の意識の問題ではなく、選定基準・教示データ・保全履歴を組織で共有する仕組みがないために起きる構造的な問題です。
生産技術の現場では、機種選定・立ち上げ・保全・改善の判断が個人の経験に依存しがちです。こうした判断に必要な情報を業務基盤(生産技術OS)の側でデータモデルとしてそろえておくと、誰が担当しても同じ情報を見て判断できる状態に近づきます。生産計画が特定のベテランしか立てられない構造の記事でも、同じ「一人の頭でしか繋がらない」問題を扱っています。
ロボット導入後の教示・選定ノウハウの属人化を整理したい方へ。生産技術の業務を一気通貫でそろえる考え方をまとめています。
産業用ロボットは細かく分けると6種類(直交・垂直多関節・双腕型・人協働・水平多関節スカラ・パラレルリンク)です。分類を粗くすると3〜4種類にまとめられ、ISO 8373・JIS B 0134の機構分類では円筒座標・極座標型を含めて区分されます。
垂直多関節ロボットです。4〜7軸で人の腕のように複雑な動作ができ、溶接・組立・塗装など幅広い工程で使われるため、汎用性が高く需要も最も大きい種類です。
スカラ(水平多関節)は水平方向の動作が中心で、高速・安価・省スペースが強みですが動作の自由度は低めです。垂直多関節は4〜7軸で自由度が高く複雑な作業ができますが、費用が高く扱いに技術が必要です。
人との協働を前提とした安全設計ですが、柵なしで運用できるかは用途・速度・力などのリスクアセスメント結果によります。ISO 10218など関連規格に基づき、速度・力の制限や安全機能を確認したうえで判断します。
工程に必要な動作の自由度・速度・可搬質量・設置スペース・コストで絞り込むのが基本です。工程に対して過剰な性能のロボットを選ぶとコストと運用負荷が増えるため、適材適所を意識します。
産業用ロボットの種類は、細かく分けて直交・垂直多関節・双腕型・人協働・水平多関節(スカラ)・パラレルリンクの6種類です。それぞれに長所と短所があり、工程に対して適材適所で選ぶことが導入成功の第一歩になります。そして種類選定と同じくらい、教示や選定ノウハウを組織で共有し、属人化を防ぐ仕組みづくりが現場の生産性を左右します。
※上記の規格・分類は2026年7月10日時点で編集部が参照した内容です。最新の規格改訂状況は各発行機関の公式情報をご確認ください。
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