製造業の基礎知識マグネットスイッチ(電磁接触器)とは?仕組み・電磁開閉器/リレー/サーマルとの違い・記号・選び方を図解で解説【2026年最新】

この記事の要点
- 電磁接触器(マグネットスイッチ)とは、電磁石(コイル)の力で主接点を開閉し、モーターなど大きな電流の負荷を入り切りする開閉器です。
- 「電磁接触器」に過負荷を検出する「サーマルリレー」を組み合わせたものが「電磁開閉器」で、現場で「マグネットスイッチ」と呼ばれるのは多くがこの電磁開閉器を指します。
- 電磁接触器は主回路(大電流)を、電磁リレーは制御回路(小電流の信号)を扱う点が最大の違いです。
- 選定では「定格使用電流(AC-3)」「操作コイル電圧」「補助接点数」「開閉頻度」「サーマル整定電流」の5点を押さえます。
結論から言えば、電磁接触器(マグネットスイッチ)とは「電磁石の力で主接点を開閉し、モーターのような大電流の負荷を安全に入り切りする部品」です。シーケンス制御の出力段でほぼ必ず登場する基本デバイスでありながら、「電磁開閉器」「電磁リレー」「サーマルリレー」との違いが曖昧なまま使われがちです。本記事では、電磁接触器の仕組み・記号・周辺部品との違い・選定のポイントを、図解と一次規格をもとに整理します(2026年8月時点の日本産業規格・各社技術資料に基づく)。
電磁接触器(マグネットスイッチ)とは?
電磁接触器とは、操作コイルに電流を流して生じる電磁石の力で、主接点を機械的に開閉する開閉器です。英語ではコンタクタ(Magnetic Contactor、略してMC)と呼びます。操作回路から送られる小さな信号で、主回路の大きな電流(三相モーターの始動電流など)を入り切りできるのが本質的な役割です。低圧開閉装置の日本産業規格 JIS C 8201-4-1 で、電磁接触器およびモータスタータとして規定されています。
「マグネットスイッチ」は俗称で、現場では電磁接触器そのものを指す場合と、後述する電磁開閉器(電磁接触器+サーマルリレー)を指す場合があります。図面や仕様書では、どちらを指しているのかを記号と型式で確認することが大切です。
電磁接触器と電磁開閉器・電磁リレー・サーマルリレーの違いとは?
混同されやすい4部品の違いを先に表で整理します。役割の軸は「主回路か制御回路か」「開閉専用か保護も担うか」の2つです。
| 部品 | 主な役割 | 扱う電流 | 過負荷保護 |
|---|---|---|---|
| 電磁接触器 | 主回路の開閉(モーター入り切り) | 大電流(主回路) | なし(開閉専用) |
| 電磁開閉器 | 電磁接触器+サーマルで開閉と保護 | 大電流(主回路) | あり(サーマル内蔵) |
| 電磁リレー | 制御回路の信号の中継・分岐 | 小電流(制御回路) | なし |
| サーマルリレー | 過負荷(過電流)を熱で検出し遮断指令 | 主回路の電流を検出 | あり(過負荷のみ) |
ポイントは、電磁接触器は「開閉」だけを担い、過負荷保護はサーマルリレーが担うという分業です。両者を一体化したものが電磁開閉器で、「マグネットスイッチ」と呼ばれる多くはこの電磁開閉器を指します。なお、サーマルリレーが守るのは過負荷(モーターの焼損につながる継続的な過電流)であり、短絡(ショート)の保護は配線用遮断器(MCCB)やヒューズの役割です。
電磁接触器の仕組みと動作原理
電磁接触器の内部は、操作コイル・固定鉄心・可動鉄心・主接点・補助接点・復帰ばねで構成されます。操作コイルに電圧を加えると電磁石となって可動鉄心を吸引し、それに連動して主接点が閉じます。コイルへの通電を切ると電磁石の力が消え、復帰ばねの力で可動鉄心が戻り、主接点が開きます。この「コイルへ通電している間だけ接点が閉じる」という動作が、シーケンス制御で出力を保持する自己保持回路の土台になります。
主接点は三相モーター用なら3極(R・S・T)で、大電流の開閉時に発生するアーク(火花)を消すための消弧構造を備えます。補助接点は、自己保持や表示灯・インターロックなど制御回路の信号に使うa接点・b接点で、主接点とは別系統で動きます。a接点・b接点の動作そのものは、接点の基礎を整理した次の記事も参考になります。
a接点は2本の縦線(開いた接点)、b接点はその縦線に斜線を1本加えた形(常閉を示す)で表され、c接点は共通端子から2方向へ分岐する形で描かれます。
a接点・b接点・c接点の違いとは|ノーマルオープン/ノーマルクローズの動作・記号・使い分けを図解で解説【2026年版】
電磁接触器の記号と図面での読み方
図面では、電磁接触器の操作コイルは四角または丸で表し、主接点は三相分まとめて描かれます。補助接点はa接点・b接点の記号で別途記載され、コイルと同じ符号(例:MC)でひも付けて「どのコイルが動かす接点か」を示します。電磁開閉器の場合は、主接点の負荷側にサーマルリレーの記号(ヒーターとトリップ接点)が直列で入ります。記号の体系をまとめて押さえると、配線図とラダー図の両方が読めるようになります。
電磁接触器の主接点は、PLCのラダー図でいえば出力コイルが動かす「最終段のスイッチ」に相当します。プログラム上の論理と、現場の主回路をつなぐ接続点と考えると理解しやすくなります。
現場で動いているロジックの多くはこの3パターンの組み合わせで成立しています。
自己保持回路・インターロック・タイマ駆動——PLCシーケンス制御の3つの基本回路パターンを図解で読み解く【2026年版】
電磁接触器の選定で押さえる5つのポイント
電磁接触器・電磁開閉器を選ぶときは、次の5点を順に確認すると過不足のない選定ができます。
- 定格使用電流(使用負荷種別 AC-3):かご形モーターの始動・運転を表すAC-3クラスの電流値で、負荷のモーター容量に合わせて選びます。
- 操作コイル電圧:AC100V/AC200V/DC24Vなど、制御回路の電圧に合わせます。盤の制御電源と一致しないと動作しません。
- 補助接点の数と種類:自己保持・表示・インターロックに必要なa接点/b接点の数を確認します。不足する場合は補助接点ブロックを増設します。
- 開閉頻度と寿命(AC-3/AC-4):寸動(ジョギング)や頻繁な入り切りがある用途はAC-4クラスで、接点寿命に余裕を持たせます。
- サーマルリレーの整定電流:電磁開閉器として使う場合、サーマルの整定値をモーターの定格電流に合わせて調整します。整定がずれると過負荷保護が効きません。
これらの選定基準は、本来はメーカーの技術資料に明文化された共通ルールです。しかし実際の現場では、型式選定や保護協調の判断がベテラン個人の経験に依存し、属人化しやすい領域でもあります。判断のルールをどう仕組みに載せるかという視点は、業務側でも同じ課題として現れます。
型式選定や保護協調の判断を「人の記憶」から「たどれる仕組み」へ移すには、選定基準と判断根拠をチームで共有できる形で残すことが出発点になります。装置の立ち上げ・保全・改善の判断を業務基盤にそろえる考え方は、生産技術OS(立ち上げ・保全・改善を統合する業務基盤)で整理しています。
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自己診断ミニチェックリスト
- 図面の「マグネットスイッチ」が電磁接触器単体か電磁開閉器か、型式で説明できる
- 電磁接触器とサーマルリレーの役割分担(開閉と過負荷保護)を区別できる
- 短絡保護は接触器ではなくブレーカー側の役割だと理解している
- 操作コイル電圧が制御電源と一致しているか確認する習慣がある
- サーマルの整定電流をモーター定格に合わせて設定できる
よくある質問(FAQ)
マグネットスイッチと電磁接触器は同じものですか?
厳密には異なります。マグネットスイッチは俗称で、多くは電磁接触器にサーマルリレーを組み合わせた「電磁開閉器」を指します。ただし現場では電磁接触器単体をマグネットスイッチと呼ぶこともあるため、型式と記号で確認するのが確実です。
電磁接触器とリレーはどう使い分けますか?
主回路の大電流(モーターなど)を開閉するのが電磁接触器、制御回路の小電流の信号を中継するのが電磁リレーです。接触器はアークの消弧構造を備え、大電流の開閉に耐える設計になっています。
サーマルリレーは短絡も保護できますか?
できません。サーマルリレーが守るのは過負荷(継続的な過電流)で、短絡(ショート)の保護は配線用遮断器やヒューズが担います。両者は守る範囲が異なるため、必ず併用します。
出典
- JIS C 8201-4-1「低圧開閉装置及び制御装置-第4-1部:接触器及びモータスタータ-電気機械式接触器及びモータスタータ」(日本産業標準調査会)
- 各制御機器メーカー(三菱電機・富士電機・オムロン等)公開の電磁接触器・電磁開閉器 技術資料/選定ガイド
