製造業の基礎知識第三角法とは?第一角法との違いと三面図の見方・投影図の読み方を図解で解説【2026年版】

もくじ
この記事の要点
- 第三角法とは、対象物を第三象限に置いて投影し、見る向きと同じ側に投影図を配置する図法です。日本のJIS機械製図では第三角法が標準です。
- 第一角法は投影図の配置が第三角法と上下・左右で逆になります。同じ形でも配置が違うため、投影法を取り違えると形状を誤って読み取ります。
- 三面図は正面図を基準に、平面図を上、右側面図を右に置きます。正面図と平面図は「幅」、正面図と側面図は「高さ」が一直線でそろいます。
- 図面の枠内にある識別記号(円錐台のマーク)を見れば、その図面が第三角法か第一角法かを判別できます。
- 投影法の取り違えや配置ミスは、試作・加工に進んでから発覚すると手戻りになります。図面を読む前に投影法を確認することが基本です。
機械図面を開いて最初に迷いやすいのが、「どの図がどこから見た形なのか」という投影図の読み方です。結論から言うと、日本の機械製図では第三角法が標準で、正面図を中心に、上から見た図は上、右から見た図は右に置かれます。この記事では、第三角法と第一角法の違い、三面図の配置、投影図を読む手順を図解で整理します。
第三角法とは?
第三角法とは、対象物を空間の第三象限に置き、対象物と見る人の間に投影面を置いて形を写し取る図法です。ガラス箱の中に部品を入れ、箱の各面に見えた形をそのまま外へ開いて並べる、とイメージすると分かりやすくなります。見た向きと同じ側に投影図が並ぶため、「上から見た図は上に、右から見た図は右に」置かれます。この直感的な対応関係が、第三角法が読みやすいと言われる理由です。日本では JIS B 0001(機械製図)で第三角法によることが原則とされ、実務の機械図面のほとんどが第三角法で描かれています。
なぜ投影法を最初に確認する必要があるの?
投影法を最初に確認する理由は、第三角法と第一角法では投影図の配置が上下・左右で逆になり、同じ配置の図面がまったく別の形状を意味してしまうためです。海外から受け取った図面や古い図面には第一角法のものも混じります。どちらの図法かを取り違えたまま加工に進むと、左右が反転した部品や、穴の位置が逆の部品ができてしまいます。次の図は、同じ部品を第三角法と第一角法で描いたときに、平面図と側面図の位置がどう入れ替わるかを示したものです。
第一角法と第三角法は何が違う?
第一角法と第三角法の違いは、投影図を「見る向きと同じ側」に置くか「反対側」に置くかです。第三角法は見た側に、第一角法は反対側に投影図を配置します。結果として、平面図・側面図の位置と、どちらの側面が右に来るかが逆になります。主な違いを表に整理します。
| 項目 | 第三角法 | 第一角法 |
|---|---|---|
| 平面図(上から見た図)の位置 | 正面図の上 | 正面図の下 |
| 右から見た図の位置 | 正面図の右(右側面図) | 正面図の左 |
| 正面図の右に来る図 | 右側面図 | 左側面図 |
| 主に使う地域 | 日本・北米 | 欧州・ISO圏 |
| 読み取りの直感 | 見た向きと同じ側で直感的 | 反対側で慣れが必要 |
三面図(正面図・平面図・側面図)はどう配置する?
三面図は、正面図を基準にして、平面図を上、右側面図を右に配置します。正面図は部品の最も特徴が分かる向きを選ぶのが基本です。三つの図はばらばらに描かれているのではなく、寸法が一直線でそろう関係にあります。正面図と平面図は「幅」がそろい、正面図と右側面図は「高さ」がそろいます。この整列関係を使うと、ある図で読み取った寸法を別の図に対応づけながら、立体形状を頭の中で組み立てられます。
投影図は、必ずしも三面すべてを描くわけではありません。円筒のように一方向から形が分かる部品なら正面図と一つの側面図で足り、複雑な部品では断面図や補助投影図を加えます。図の数と種類も、投影法とあわせて確認したいポイントです。
寸法公差とは、図面で指定した基準寸法に対して、製造上許される寸法のばらつきの幅のことです。
幾何公差とは?種類・記号・データムの読み方と寸法公差との違いを図解で解説【2026年版】
投影図を読むときの手順は?
投影図を読むときは、投影法の確認から始め、正面図を起点に他の図へ視線を移すのが基本の手順です。次の順で進めると、初めて見る図面でも形をつかみやすくなります。
- 図面枠内の識別記号や表題欄で、第三角法か第一角法かを確認する。
- 正面図を見つけ、部品の全体像と基準になる向きをつかむ。
- 平面図(正面図の上)で奥行き方向の形を、右側面図(正面図の右)で高さ方向の形を確認する。
- 正面図と平面図で「幅」、正面図と側面図で「高さ」がそろっているかを見て、対応する辺を結びつける。
- 断面図・寸法・公差・表面粗さなどの指示を読み、加工の条件まで含めて形を確定させる。
陥りやすいのが「迷ったら厳しくしておけば安心」という発想です。これは強度設計における安全率でも同じ罠として知られています。
寸法公差・はめあいとは|種類・記号・図面の読み方と選び方を図解で解説【2026年版】
図面を正しく読めるようになったら、次は寸法公差・幾何公差・表面粗さといった記号の読み方に進むと、投影図の上に描かれた指示の意味までつながって理解できます。投影法は、これらすべての土台になる読み方です。
図面の読み方を部署全体でそろえたい方へ: 図面の読み違いや投影法の取り違えが手戻りにつながっていないか、業務の観点で棚卸ししたい場合は、業務診断(無料)で現状を整理できます。
投影法を取り違えるとなぜ手戻りになるのか?
投影法の取り違えが手戻りになるのは、図面を読む段階のミスが、試作や加工へ進んでから初めて形になって現れるためです。部品ができてから「左右が逆」「穴の位置が反対」と判明すると、材料も工数も戻せません。これは個人の注意力の問題というより、図面を読むときの前提(投影法・基準の取り方・記号の意味)が人によってばらつく構造の問題でもあります。
設計者が一日のうち4割を、図面を探したり、部品表をメンテしたり、設計変更を関係部署に伝えたりすることに使っている
業務OSとは何か——ERPでもPLMでもない「第三の基盤」という考え方
投影法や記号の読み方といった図面リテラシーを、個人の経験ではなく部署で共有できる形に整えると、読み違いによる手戻りは減らせます。図面を読む・探す・判断する作業を業務の仕組みとして整理する考え方は、当サイトでは業務OSという切り口でも扱っています。
自己診断:図面の投影図を正しく読めていますか?
次の5項目のうち、自信を持って「はい」と言えるのはいくつあるでしょうか。3つ以上「いいえ」がつく場合、投影図の読み取りが我流になっている可能性があります。
- 受け取った図面が第三角法か第一角法かを、最初に確認する習慣がある。
- 正面図・平面図・右側面図がそれぞれどこから見た形かを、迷わず言える。
- 正面図と平面図で「幅」、正面図と側面図で「高さ」がそろう関係を使って形を確認できる。
- 海外図面や古い図面で配置が違うとき、投影法の違いだと気づける。
- 図面の読み方(投影法・記号)が、部署内で自分以外の人にも共有されている。
よくある質問(FAQ)
第三角法と第一角法はどちらを使えばいい?
日本国内の機械製図では第三角法が原則です。JIS B 0001 でも第三角法によることが定められています。ただし取引先や海外拠点が第一角法を使う場合もあるため、図面ごとに識別記号で確認するのが安全です。
図面が第三角法か第一角法かはどう見分ける?
図面の表題欄付近にある識別記号(円錐台を横から見たマーク)で見分けます。第三角法と第一角法では、この記号の見え方が左右逆になります。記号がない場合は、平面図が正面図の上にあれば第三角法、下にあれば第一角法と判断できます。
三面図は必ず三つ描かないといけない?
いいえ。形が正しく伝わる最小限の図で構いません。円筒や単純な板なら正面図と一つの側面図で足りることもあり、逆に複雑な部品では断面図や補助投影図を加えます。図の数より、形状が一意に決まるかどうかが基準です。
出典・参考情報
- JIS B 0001「機械製図」(投影法・図形の表し方の原則)
- JIS Z 8316「製図—図形の表し方の原則」(投影図の配置)
- 本メディア編集部による図面実務の観察にもとづく整理。図は説明用の概念図です。
(参照日: 2026年7月14日。規格の最新版・適用範囲は各規格票をご確認ください。)
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