最新トレンドRPA活用のメリットと導入方法を詳しく!参考事例も紹介!
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もくじ
KPMGが2026年に発表した「Global Tech Report 2026: Industrial Manufacturing」は、製造業におけるAI活用の潮目が変わったことを明確な数字で示しました。本レポートによると、産業製造業のエグゼクティブのうち49%が「AIのユースケースは既にビジネス価値を生んでいる」と回答しています。これは全業界平均を大きく上回る水準です。
さらに68%が「今後12ヶ月以内にAIを本番スケールで展開する」と答えており、製造業は産業横断で見ても、AI活用のリード役になっていることが統計として確認されました。
レポートから特に重要な指標を抜き出すと、以下のようになります。
| 指標 | 値 | 含意 |
|---|---|---|
| AIが既に価値を生んでいる | 49% | PoCフェーズを抜け、実運用で効果が出ている企業が半数に迫る |
| 今後12ヶ月でAIを本格スケール | 68% | 多くが「PoCから本番」への移行フェーズ |
| 技術投資からのリターン改善 | 80% | AI含む先進技術が実際に財務成果に寄与 |
| AIデータ基盤は堅牢だと自己評価 | 83% | データ整備は進んでいると自認 |
| データの信頼性はAIの最大リスク | 76% | しかし同時に76%がデータ信頼性に懸念 |
| サイバーセキュリティ投資を大幅増額予定 | 48% | 工場ネットワーク・AI導入・地政学不安で守りの投資も拡大 |
このレポートで最も興味深いのは、83%が「AIに必要なデータ基盤を構築できている」と自信を見せる一方で、76%が「信頼できないデータこそがAIの最大リスク」と回答している点です。
この矛盾をどう読むべきでしょうか。実務的にはこう解釈できます——インフラとしてのデータレイク・MES連携・センサー接続などは整ってきた(インフラとしての自信)一方で、そこに集まってくるデータの欠損・粒度・タイムスタンプ精度・意味付け(セマンティクス)・組織横断の一貫性はまだ十分ではない(中身に対する不安)、という二層構造です。
製造業AIの本番運用を阻む最大の要因は、もはや「モデル」や「アルゴリズム」ではなく、「業務データの品質と意味」にシフトしています。
同レポートでは、48%のエグゼクティブが「来年サイバーセキュリティ投資を大幅に増やす」と回答しています。背景にあるのは、次の3つの同時進行です。
つまり、「AI投資とセキュリティ投資はセット」という視点が、製造業エグゼクティブの間で標準的な経営判断になりつつあります。
第一に、「AIで価値が出ている49%」に入るかどうかが、2026〜2027年の競争軸です。ここに入れなかった企業は、同業他社が生産性・コスト・品質で先行する状況に直面します。経営層はPoCの数ではなく、「本番運用で測れている改善値」を問うべきです。
第二に、「データ基盤の自信」と「データ信頼性の不安」の二重構造は、日本の製造業にも当てはまります。セマンティクス(タグ辞書/用語統一)、タイムスタンプ、単位、欠損処理といった地味な整備が、実は最も効くレバーになります。派手なAIツール導入の前に、データの「意味」を揃える作業に投資することが有効です。
第三に、装置メーカーにとっては「自社装置が生成するデータをどこまで使える形で出せるか」が問われます。センサー値そのものを出すだけでなく、「この値は何のKPIに効くか」「異常閾値はどこか」「関連ログとの時刻整合はどうか」といったメタ情報までをセットで提供する能力が、顧客のAI戦略の成否を握ります。
第四に、サイバーセキュリティは「コストセンター」ではなく「AI戦略のインフラ」として再定義する必要があります。48%がセキュリティ投資を大幅増額する中、日本企業が劣後すると、海外顧客・規制対応で不利になる可能性があります。
KPMG Global Tech Report 2026が示した製造業AIの姿は、「価値創出フェーズ突入(49%)」と「データ信頼性への不安(76%)」「セキュリティ投資増(48%)」が同居する、成熟と挑戦の両面を持つものでした。日本の製造業・装置メーカーにとっては、PoCの数を増やすことよりも、「データの意味を揃える」「セキュリティをAI戦略の一部として扱う」「メタ情報付きでデータを出せる装置/ラインを設計する」ことが、これからの勝ち筋となります。
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