金属材料記号の読み方とは?SS400・S45C・SUS304の意味と違い・使い分けを図解で解説【2026年版】

「SS400」「S45C」「SUS304」——機械図面の表題欄や部品表に必ず並ぶ、この英数字の並びが金属材料記号です。結論から言えば、材料記号は暗記するものではなく「分解して読む」ものです。頭文字が材料の系統(S=鋼、F=鉄・鋳物、A=アルミニウム)を、続く数字や文字が強度・成分・種類を表すという構成さえ押さえれば、初見の記号でもおおよその素性がつかめます。この記事では、図面で登場頻度の高いSS400・S45C・SUS304を中心に、記号の意味・3者の違い・使い分けの考え方を図解と比較表で整理します。

この記事の要点

  • 材料記号は「頭文字=系統、続く数字・文字=強度や成分」という構成で分解して読める。
  • SS400は一般構造用圧延鋼材(JIS G 3101)。400は引張強さの下限400 N/mm²を表し、溶接構造の架台・フレームに広く使われる。
  • S45Cは機械構造用炭素鋼(JIS G 4051)。45は炭素量約0.45%を表し、焼入れ・焼戻し(調質)で強度と硬さを高められる。
  • SUS304はクロム18%・ニッケル8%系のオーステナイト系ステンレス。耐食性が必要な部品の第一候補になる。
  • 使い分けの軸は「強度・熱処理の要否・耐食性・コスト」。選定根拠を記録に残すことが、図面品質の安定につながる。
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金属材料記号とは?図面の材料欄は何を表している?

金属材料記号とは、JIS(日本産業規格)で定められた材料の種類を、英字と数字の組み合わせで表す表記のことです。鉄鋼材料はJIS G、アルミニウムなどの非鉄金属はJIS Hの各規格で材質・強度・製造方法が規定されており、図面の材料欄に記号を1つ書くだけで「どの規格の、どの強度・成分の材料か」を設計・調達・加工・検査の全員が同じ意味で受け取れます。つまり材料記号は、寸法公差や表面粗さと同じく図面というコミュニケーションの共通言語の一部です。

読み方の原則はシンプルで、次の図のように要素ごとに分解します。頭文字のS(Steel)は鋼、F(Ferrum)は鉄・鋳物系、A はアルミニウム合金。続く部分は、材料の系統によって「引張強さの下限値」を表す場合と「炭素量などの成分」を表す場合に分かれます。

材料記号は「分解」すると読める SS400 S 鋼(Steel) S 構造用(Structure) 400 引張強さの下限 400 N/mm² S45C S 鋼(Steel) 45 炭素量 約0.45% C 炭素(Carbon) SUS304 SUS ステンレス鋼 304 鋼種を表す番号(18Cr-8Ni系)
図1:SS400・S45C・SUS304の記号分解。数字の意味が「強度」か「成分」かは系統で異なる

SS400とは?「SS」と「400」は何を意味する?

SS400とは、JIS G 3101「一般構造用圧延鋼材」に規定される、最も流通量の多い構造用鋼です。SSはSteel Structure(構造用の鋼)に由来する記号で、400は引張強さの下限値400 N/mm²(規格上は400〜510 N/mm²)を表します。つまりSS400という4文字は「引張強さ400 N/mm²以上を保証した構造用の鋼材」と読み下せます。

特徴は、安価で入手しやすく、溶接に適していることです。装置の架台・フレーム・ブラケット・カバーの骨組みなど、「形を作って支える」用途の第一候補になります。一方で、JIS G 3101は炭素量などの成分規定が緩やかで、焼入れによる硬化を前提としていません。硬さや耐摩耗性が必要な部品には、次に述べるS45Cなどの機械構造用鋼を選ぶのが基本です。

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S45Cとは?SS400との違いはどこにある?

S45Cとは、JIS G 4051「機械構造用炭素鋼鋼材」に規定される代表的な炭素鋼です。記号の45は炭素含有量の代表値0.45%(規格では0.42〜0.48%)を表し、Cは炭素(Carbon)を意味します。SS400との最大の違いは、成分が厳密に管理されているため熱処理が効くことです。焼入れ・焼戻し(調質)や高周波焼入れによって強度・硬さを大きく高められるので、回転軸・ギヤ・ピン・治具のベースプレートなど「力を伝える・すり減っては困る」部品に使われます。

逆に言えば、熱処理を前提にしない単純な架台にS45Cを指定すると、材料費と加工費が無駄に上がります。「溶接して形を作るならSS400、熱処理して機能を持たせるならS45C」が使い分けの出発点です。こうした指定の判断は、寸法公差の決め方と同じく、担当者の経験だけに頼ると図面ごとにぶれが生じます。

公差・はめあいの判断が個人の経験頼みになると、図面ごとに精度や合否がぶれます。

寸法公差・はめあいとは|種類・記号・図面の読み方と選び方を図解で解説【2026年版】

SUS304とは?なぜ耐食部品の第一候補なのか?

SUS304とは、クロム約18%・ニッケル約8%を含むオーステナイト系ステンレス鋼で、「18-8ステンレス」とも呼ばれます。SUSはSteel Use Stainlessに由来するとされる記号で、304はアメリカのAISI規格に対応した鋼種番号です。JISでは棒材がJIS G 4303、板材がJIS G 4304(熱間圧延)・G 4305(冷間圧延)などに規定されています。

最大の特徴は耐食性です。表面のクロムが酸素と結びついて不動態皮膜を作るため、めっきや塗装なしで錆びにくく、食品機械・薬品まわり・屋外部品・水回りの第一候補になります。強度も板材の規格値で引張強さ520 N/mm²以上とSS400より高い水準ですが、材料単価は炭素鋼より高く、熱伝導が小さく粘いため切削加工の難易度も上がります。「錆びては困る箇所に絞って使う」のが基本です。

SS400・S45C・SUS304の違い比較表

項目SS400S45CSUS304
JIS規格JIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)JIS G 4303〜4305(ステンレス鋼)
記号の意味S=鋼、S=構造用、400=引張強さ下限S=鋼、45=炭素量0.45%、C=炭素SUS=ステンレス鋼、304=鋼種番号
引張強さの目安(規格値)400〜510 N/mm²焼ならし材で570 N/mm²以上(調質でさらに向上)520 N/mm²以上(固溶化熱処理状態)
熱処理基本的に行わない焼入れ・焼戻しで硬さ・強度を向上できる焼入れ硬化しない(固溶化熱処理)
耐食性低い(塗装・めっきが前提)低い(防錆処理が前提)高い(不動態皮膜)
コスト感安価SS400より高い炭素鋼より高い
主な用途架台・フレーム・ブラケット軸・ギヤ・ピン・治具ベース食品機械・薬品まわり・水回り部品
表1:SS400・S45C・SUS304の比較。強さの数値は各JIS規格の代表的な下限値(目安)

なお、材料記号と一緒に指定される公差や表面粗さの読み方は、シリーズ記事で解説しています。図面読解の知識をまとめて押さえたい方は、材料選定の根拠がチームで共有できているかを見直すきっかけとして、無料の業務診断もご活用ください。

そのほか図面によく出る材料記号は?

3種の代表格以外にも、装置図面には次のような記号が頻出します。頭文字の系統を押さえておくと、初見でも見当がつけられます。

  • SPCC(JIS G 3141・冷間圧延鋼板):薄板のプレス・板金部品の定番。カバーやシャーシに使われる。
  • FC250(JIS G 5501・ねずみ鋳鉄品):250は引張強さ250 N/mm²以上の意味。振動を吸収しやすく、工作機械のベッドや装置ベースに使われる。
  • A5052(JIS H 4000系・アルミニウム合金):マグネシウムを加えた合金で、耐食性と加工性のバランスがよく、アルミ板材として流通量が多い。
頭文字で見る材料記号マップ 材料記号の頭文字 S = 鋼(Steel) 最も多い頭文字 SS400(一般構造用) S45C(機械構造用) SUS304(ステンレス) SPCC(冷間圧延鋼板) F = 鉄(Ferrum) 鋳鉄・鋳物系 FC250(ねずみ鋳鉄) 250=引張強さ 250 N/mm² A = アルミニウム JIS H(非鉄金属) A5052(Mg系合金) 耐食性・加工性のバランス ※代表例の抜粋。頭文字の由来は通称として広く使われる整理です
図2:頭文字(S・F・A)で材料の系統に見当をつける読み方

材料はどう使い分ける?——選定の4つの軸

実務での材料選定は、①必要な強度と熱処理の要否、②耐食性の要否、③コストと入手性、④加工のしやすさ——の4軸で絞り込むのが基本です。まず「錆びては困るか」でステンレス系かどうかを分け、次に「熱処理で硬さ・強度が必要か」でS45CなどとSS400系を分ける。この順番で考えると、多くの部品は自然に候補が1〜2つに絞れます。

注意したいのは、強い材料を選べば安全というわけではないことです。材料の強度は設計上の余裕(安全率)とセットで考える必要があります。

材料そのものの強度のばらつき、想定を超える荷重、応力計算の近似、経年劣化や腐食、想定外の使われ方——これらをすべて計算し尽くすことはできません。

安全率(安全係数)とは|決め方・計算式・材料別の目安と許容応力の関係を図解で解説【2026年版】

もう1つの課題は、選定根拠の記録です。「なぜこの部品がS45Cなのか」「なぜここだけSUS304なのか」という理由が図面にも設計資料にも残っていないと、後任者は前例踏襲するしかなく、過剰品質やコスト高が温存されます。材料・公差・表面粗さといった図面指示の根拠を、担当者の頭の中ではなく業務の基盤に蓄積していく考え方として、当メディアでは業務OSという整理を提案しています。

業務OSとは、設計・調達・品質・生産技術といった「業務領域ごと」に、その領域の文書・データ・フロー・AIエージェントをパッケージとして束ねた基盤です。

業務OSとは何か——製造業ERPでもPLMでもない、第3の業務基盤の正体

FAQ(よくある質問)

SS400とS45Cはどう使い分ければよいですか?

溶接して形を作る架台・フレーム類はSS400、熱処理して硬さや強度を持たせたい軸・ギヤ・ピン類はS45C、というのが基本の整理です。S45Cは炭素量が多いぶん溶接には注意が必要で、溶接主体の構造物には向きません。迷ったら「熱処理するか・溶接するか」を先に決めると判断しやすくなります。

SUS304は磁石につきますか?

SUS304はオーステナイト系のため基本的に磁石につきませんが、曲げやプレスなどの冷間加工で組織が変化し、弱い磁性を帯びることがあります。磁性の有無で厳密に管理したい場合は注意が必要です。なお、同じステンレスでもフェライト系のSUS430は磁石につきます。

材料記号はどの規格で決まっていますか?

鉄鋼材料はJIS G(例:SS400はJIS G 3101、S45CはJIS G 4051)、アルミニウムなどの非鉄金属はJIS H(例:A5052はJIS H 4000系)で規定されています。規格票には成分・機械的性質・寸法許容差まで定められており、正確な数値が必要な場合は該当するJIS規格の最新版を確認してください。

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出典・参考情報

  • 出典:JIS G 3101「一般構造用圧延鋼材」/JIS G 4051「機械構造用炭素鋼鋼材」/JIS G 4303〜4305「ステンレス鋼」/JIS G 3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」/JIS G 5501「ねずみ鋳鉄品」(規格本文は日本産業標準調査会(JISC)で閲覧可能)
  • 本文中の引張強さなどの数値は、各JIS規格に定める代表的な下限値・範囲を編集部が要約した目安です。厚さ・形状・熱処理状態によって適用値が異なるため、設計に用いる際は該当規格の最新版をご確認ください。
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