アクチュエータとは?電動・空気圧・油圧の種類と選び方・FA自動化での役割を図解で解説【2026年版】

アクチュエータとは?電動・空気圧・油圧の種類と選び方・FA自動化での役割を図解で解説【2026年版】
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この記事の要点

  • アクチュエータとは、電気・空気・油などのエネルギーを、回転や直線運動といった「機械の動き」に変える出力装置です。FA(ファクトリーオートメーション)では、センサが集めた情報をPLCが判断し、その指令を実際の動作に変えるのがアクチュエータの役割です。
  • 動力源で大きく電動(サーボモータ・ステッピングモータ・誘導モータ+インバータ)流体圧(空気圧シリンダ・油圧シリンダ)の2系統に分かれます。
  • 選定は「力(出力)・速度・位置決め精度・設置環境」の4基準で考えるのが基本です。高精度な位置決めは電動、速くて安価な単純動作は空気圧、大きな力は油圧が目安になります。
  • センサ(入力)とアクチュエータ(出力)はFA制御ループの両端にあたり、片方だけでは自動化は成立しません。

ロボットアームが部品をつかみ、コンベヤが製品を送り、シリンダがワークを押し出す——工場のあらゆる「動き」を生み出しているのがアクチュエータです。アクチュエータとは、電気・圧縮空気・作動油などのエネルギーを、回転運動や直線運動といった機械的な動きに変換する出力装置を指します。本記事では、アクチュエータの種類と仕組み、選び方の4基準、FA自動化での役割を、図解と比較表でやさしく整理します。制御の全体像を押さえたい設計・生産技術の担当者が、明日の検討に使える形でまとめました。

アクチュエータとは?FA自動化での役割を図解で解説

アクチュエータとは、制御システムからの指令(電気信号)を受け取り、それを物理的な動きに変える装置です。FAの自動化は「センサで測る → PLC・コントローラで判断する → アクチュエータで動かす」という流れで成り立っており、アクチュエータはこの流れの最後で「実際の動作」を担う出力側の要素です。たとえば搬送ラインなら、ワークの有無をセンサが検出し、その情報をもとにPLCがモータへ動作指令を出し、モータ(アクチュエータ)がコンベヤを回します。

アクチュエータが担うFA制御ループの図解。センサからの入力をPLCが処理し、ドライバを介してアクチュエータが機械を動かす一連の流れとフィードバックを示す
図1 アクチュエータはFA制御ループの「出力」を担い、指令を実際の動きに変える

ここで重要なのは、アクチュエータは単独では機能しないという点です。多くのアクチュエータは、指令を増幅して電力を供給する「ドライバ(駆動回路)」とセットで使われ、さらに動いた結果をセンサで測り、目標とのズレを補正するフィードバックが組み合わさって、はじめて精密な制御になります。入力を担うセンサについては、別記事で検出方式ごとに整理しています。

FAセンサは「接触式(リミットスイッチ)」と「非接触式(近接・光電・超音波)」に大別され、検出対象・距離・環境・応答速度の4基準で選ぶのが基本です。

工場の自動化で使うセンサの種類とは【2026年版】

アクチュエータにはどんな種類がある?

アクチュエータは動力源によって、大きく「電動(モータ系)」と「流体圧系」の2系統に分かれます。電動は電気を動力にする方式で、位置や速度を細かく制御しやすいのが特長です。流体圧系は圧縮空気や作動油を動力にする方式で、構造がシンプルで大きな力を出しやすいのが特長です。それぞれの代表例を整理したのが次の図です。

アクチュエータの分類図。電動(サーボモータ・ステッピングモータ・誘導モータ+インバータ)と流体圧(空気圧シリンダ・油圧シリンダ)の2系統に分かれることを示す
図2 アクチュエータは動力源で「電動」と「流体圧」の2系統に大別される

電動アクチュエータ(モータ系)

電動アクチュエータの中心はモータです。サーボモータは位置・速度・トルクをフィードバック制御でき、止めたい位置に正確に止められるため、ロボットや位置決めステージに使われます。ステッピングモータは入力パルスの数に比例して回転するため、フィードバックなしでも「決まった量だけ送る」動作が得意です。回転速度を変えたいだけなら、汎用の誘導モータにインバータを組み合わせる方式が広く使われます。

インバータとは、モーターに供給する交流電源の周波数を変えることで、モーターの回転数を無段階に制御する装置を指します。

インバータとは|仕組み・V/f制御・選び方・省エネ効果を図解で解説【2026年版】

流体圧アクチュエータ(空気圧・油圧)

空気圧シリンダ(エアシリンダ)は、圧縮空気でピストンを動かして直線運動を生み出します。一般的な工場の空気圧は0.5〜0.7MPa程度で、動作が速く、構造が単純で安価、油を使わないためクリーンな環境にも向きます。一方で空気は圧縮されるため、途中の任意位置で正確に止める用途は不得意です。油圧シリンダは非圧縮の作動油を使うため、プレスや射出成形のように非常に大きな力を安定して出す用途で力を発揮します。その分、油圧ユニットや配管が必要で、設置・メンテの手間は大きくなります。

電動・空気圧・油圧の比較表

比較項目電動(モータ系)空気圧シリンダ油圧シリンダ
出力(力)小〜中非常に大きい
位置決め精度高い(サーボ)低い(両端停止が基本)
速度制御しやすい速い
クリーン度高い高い(油不使用)低い(油漏れ懸念)
コスト・構造やや高い・複雑安価・単純高い・付帯設備が必要
代表用途ロボット・位置決め押し出し・クランププレス・成形
表1 動力源による代表的な特性の違い(一般的な傾向)

「うちのこの工程は、電動と空気圧のどちらで自動化すべきか」——現場の動作要件から最適なアクチュエータ選定や自動化の進め方を整理したい方は、業務診断で現状の自動化ボトルネックを棚卸しできます。

アクチュエータはどう選ぶ?4つの判断基準

アクチュエータ選定は、次の4つの基準を順に当てはめると整理しやすくなります。第一に力(出力)——動かす対象の質量や必要な推力。第二に速度——タクトタイムに対して十分か。第三に位置決め精度——任意位置で止める必要があるか、両端だけでよいか。第四に設置環境——クリーン要求、防爆、温度、メンテ性です。たとえば「精密に位置を決めたい」ならサーボ、「速く押し出すだけ」ならエアシリンダ、「重い金型を強い力で動かす」なら油圧、というように、要件が選択肢を絞り込んでいきます。

こうした動作指令を組み立てる頭脳がPLCです。アクチュエータをどう動かすかは、PLCの制御プログラム(ラダー図など)で記述されます。

PLCラダー図とは、リレー回路を模した梯子状のシンボルでPLCの制御プログラムを記述する方式

【2026年最新】PLCラダー図とは|基本5記号・書き方・主要3メーカー比較

自己診断ミニチェックリスト(5項目)

  • 動かす対象の質量・必要推力を数値で言えるか
  • 「任意位置で止める」必要があるか、それとも両端停止でよいか
  • 要求されるタクトタイム(1サイクルの目標時間)が決まっているか
  • 設置環境の制約(クリーン・防爆・温度・水分)を洗い出したか
  • 既存設備の電源・エア源・制御盤に余力があるか

5項目のうち答えに詰まるものがあれば、その部分が選定前に詰めるべき要件です。

よくある質問(FAQ)

アクチュエータとセンサの違いは?

センサは状態を「測って入力する」装置、アクチュエータは指令を受けて「動かして出力する」装置です。FA制御ループでは、センサが入口、アクチュエータが出口にあたり、両者は対の関係にあります。

サーボモータとエアシリンダ、どちらを選べばいい?

任意の位置で正確に止めたい・速度や力を細かく制御したいならサーボモータ、決まった2点間を速く安価に動かすだけならエアシリンダが目安です。精度要求とコストのバランスで判断します。

油圧アクチュエータはもう古い技術?

いいえ。電動化は進んでいますが、プレスや大型成形のように「非常に大きな力を安定して出す」用途では油圧が依然として有利です。用途に応じて電動と使い分けるのが実務的です。

まとめと次のアクション

アクチュエータは、FA制御ループの「出力」を担い、センサとPLCが整えた指令を実際の動きに変える要です。電動か流体圧か、どの方式を選ぶかは「力・速度・位置決め精度・設置環境」の4基準で決まります。まずは自社の工程をこの4基準で言語化することが、過不足のない自動化への第一歩です。

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出典

  • 本記事のアクチュエータ分類・特性は、機械要素・制御工学の一般的な定義に基づき編集部が整理したものです。空気圧の供給圧(0.5〜0.7MPa程度)は工場エア源の一般的な値です。
  • 関連する制御要素の詳細は、当サイトのセンサの種類インバータPLCラダー図の各解説記事を出典としています。
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