製造業の基礎知識電磁リレー(リレー)とは|仕組み・a接点/b接点・電磁接触器との違い・選び方を図解で解説【2026年版】

もくじ
この記事の要点
- 電磁リレーとは、コイル(電磁石)の力で接点を機械的に開閉し、小さな電気信号で別の回路を入切(スイッチ)する部品です。
- 接点にはa接点(ノーマルオープン=普段開)・b接点(ノーマルクローズ=普段閉)・c接点(切替)の3種類があります。
- リレーは「制御回路(信号)」側、電磁接触器(マグネットスイッチ)は「主回路(モータなど大電流)」側で使い分けるのが基本です。
- 選定では「コイル定格電圧・AC/DC」「接点構成(極数とa/b/c)」「接点容量と負荷の種類」「開閉寿命」の4点を順に確認します。
- 誘導負荷(コイル・電磁弁など)を切るときは、接点保護のためサージ対策(ダイオード・スナバ)を併用するのが原則です。
制御盤を開けると、必ず並んでいるのが小さな箱型の「リレー」です。本記事は、電磁リレーの仕組みと接点(a接点・b接点・c接点)の違い、混同しやすい電磁接触器(マグネットスイッチ)やSSRとの使い分け、選び方までをFA(ファクトリーオートメーション)の視点で図解します。結論を先に言えば、リレーは「小さな信号で、独立した別回路を入切する中継スイッチ」であり、その役割を押さえれば制御図面の読み解きが一段やさしくなります。
電磁リレーとは?仕組みと役割をやさしく解説
電磁リレーとは、コイルに電流を流して電磁石をつくり、その吸引力で可動鉄片(アーマチュア)を動かして接点を開閉する電気部品です。ポイントは、「コイル側(信号を受ける入力)」と「接点側(実際に開閉される出力)」が電気的に分離されていることです。つまり、ボタンやセンサ、PLCの出力といった小さな信号で、それとは別の回路を入切できます。

リレーはなぜ必要?小さな信号で大きな回路を動かす
リレーが重宝される理由は主に4つです。第一に「絶縁・中継」。入力側と出力側を分けられ、弱電の制御回路と強電の負荷回路を安全に橋渡しできます。第二に「増幅的なスイッチング」。数十mAの信号で数Aクラスの負荷を入切できます。第三に「接点を増やす(分岐)」。1つの信号で複数の接点を同時に動かせます。第四に「電圧レベルの変換」。DC24Vの信号でAC100V側を入切する橋渡しも一般的です。
リレーの接点とは?a接点・b接点・c接点の違い
リレーの「接点」は、コイルの状態に応じて開いたり閉じたりする出力スイッチの部分です。動作の起点になるので、ここを正しく読めることが図面理解の第一歩になります。基本は次の3種類です。
| 接点の種類 | 呼び方 | コイル非励磁(OFF) | コイル励磁(ON) | 主な使い方 |
|---|---|---|---|---|
| a接点 | ノーマルオープン(NO) | 開(電気が流れない) | 閉(導通する) | 「操作したら動かす」始動・運転指令 |
| b接点 | ノーマルクローズ(NC) | 閉(導通する) | 開(電気が流れない) | 非常停止など、故障時に安全側へ倒す回路 |
| c接点 | 切替(COM/NO/NC) | COM–NC が導通 | COM–NO が導通 | 2つの状態を排他的に切り替える |
非常停止スイッチや安全ドアスイッチをb接点で組むのは、断線などの故障が起きたときに回路が「開く=止まる」側に倒れるためです。リレーの接点をどう割り当てるかは、安全設計に直結します。記号や使い分けの詳細は、関連記事「a接点・b接点・c接点の違いとは」で詳しく解説しています。
普段は電気が流れず、押したときに流れるのがa接点(ノーマルオープン)。
シーケンス制御とは|フィードバック制御との違い・リレーとPLCの仕組み
電磁リレーと電磁接触器・SSRはどう違う?
「リレー」と名前が似ている部品に、電磁接触器(マグネットスイッチ)とSSR(半導体リレー)があります。動作原理は近いものの、扱う電流の大きさと用途が異なります。ざっくり言えば、リレーは制御回路(信号)、電磁接触器は主回路(モータなどの大電流)、SSRは無接点で高頻度の開閉、という棲み分けです。

| 部品 | 主な回路 | 電流容量の目安 | 接点/方式 | 代表的な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 電磁リレー | 制御回路 | 数A以下〜十数A | 有接点(機械接点) | 信号の中継・分岐、小信号で負荷を入切 |
| SSR(半導体リレー) | 制御〜補助回路 | 数A〜数十A | 無接点(半導体) | ヒータなど高頻度・静音の開閉 |
| 電磁接触器(マグネットスイッチ) | 主回路 | 数十A〜 | 有接点(大容量主接点) | 三相モータなど大電流の開閉 |
混同されやすい4部品の違いを先に表で整理します。役割の軸は「主回路か制御回路か」「開閉専用か保護も担うか」の2つです。
電磁接触器(マグネットスイッチ)とは|電磁開閉器・リレー・サーマルとの違い
こうした「どの部品を、どの回路に、なぜ選んだか」という選定の根拠は、つい担当者の頭の中だけに残りがちです。型式の置き換えや増設のたびに、当時の判断を知る人を探す——という属人化は、リレー1個の選定から始まっています。判断の根拠を図面や台帳にそろえておけるかどうかは、個人の心がけというより、業務の基盤づくりの問題です。
引き継ぐべき情報をデータモデルとして握るかどうかは、属人化への姿勢の問題ではなく、業務基盤の設計判断です。
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「選定理由や設定の根拠が人に張り付いていないか」を一度棚卸ししたい方は、無料の業務診断(制御・設計まわりの属人化チェック)から、自社の現状を整理してみてください。
リレーの種類と選び方は?4つの確認ポイント
電磁リレーには、用途に応じていくつかの種類があります。代表的なのは、制御盤で多用される小型のミニチュアリレー、やや大きな電流を扱うパワーリレー、通電を切っても直前の状態を保持するラッチング(キープ)リレー、機械接点を持たず半導体で開閉するSSR(半導体リレー)、微小信号を高速・高寿命で開閉するリードリレーなどです。
選定時は、次の4点を順に確認すると過不足がありません。
- コイル定格電圧と種類:駆動する信号がDC24VかAC100Vか。コイルの定格に合っていないと動作不良や焼損の原因になります。
- 接点構成(極数とa/b/c):必要な接点の数(1極・2極…)と、a接点/b接点/c接点のどれが何点必要かを決めます。
- 接点容量と負荷の種類:負荷の電圧・電流に加え、抵抗負荷かモータ・ランプ・コイルのような誘導/突入負荷かで、選ぶべき容量が変わります。
- 開閉寿命:機械的寿命(接点の物理的な回数)と電気的寿命(負荷を入切できる回数)を、想定する開閉頻度と照らします。高頻度ならSSRも候補です。
あわせて注意したいのが接点保護です。電磁弁やリレーコイルのような誘導負荷を切ると、逆起電力によるサージで接点が傷みます。DC回路ではダイオード、AC回路ではスナバ(CR)を入れるのが一般的な対策です。リレーの寿命を縮める原因の多くは、この保護の有無に関わります。
自己診断:リレーまわりの属人化チェック
- 制御盤のリレーが「何を入切しているか」を、図面だけで追えますか?
- 各リレーの型式・コイル電圧・接点構成の選定理由が記録に残っていますか?
- 故障時に「どの状態に倒れるか(a/b接点)」を担当者以外も把握できますか?
- 誘導負荷の接点保護(ダイオード・スナバ)の有無を確認できますか?
- 増設・更新のたびに、当時を知る人を探さずに済む仕組みがありますか?
3つ以上「いいえ」がある場合、部品選定の根拠を業務の基盤にそろえる取り組みが効く可能性があります。
よくある質問(FAQ)
Q. リレーとスイッチの違いは何ですか?
A. スイッチは人が手で操作して接点を開閉する部品です。リレーは、コイルに流す電気信号によって接点を自動で開閉します。人の操作ではなく、別の回路からの信号で動かせる点が大きな違いです。
Q. リレーと電磁接触器(マグネットスイッチ)はどう使い分けますか?
A. 扱う電流の大きさで分けます。信号や小さな負荷の入切はリレー、三相モータのような大電流の主回路の開閉は電磁接触器を使うのが基本です。電磁接触器にサーマルリレーを組み合わせると、過負荷保護も担えます。
Q. SSR(半導体リレー)と機械式リレーはどちらが良いですか?
A. 一概には言えません。SSRは無接点で寿命が長く、高頻度・静音の開閉に向きます。一方、機械式リレーは複数接点や絶縁の確実さ、漏れ電流の少なさで優れます。開閉頻度・負荷・コストで選び分けます。
まとめ
電磁リレーは、コイルの力で接点を開閉し、小さな信号で別の回路を入切する「中継スイッチ」です。a接点・b接点・c接点の動作を押さえ、制御回路はリレー、主回路は電磁接触器という棲み分けを理解すれば、制御盤と図面の見え方が変わります。選定はコイル電圧・接点構成・接点容量・開閉寿命の4点と、誘導負荷の接点保護が要点です。選定の根拠を人ではなく業務の基盤に残せるかが、更新や引き継ぎのしやすさを左右します。
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出典・参考
- JIS C 0617(電気用図記号)/JIS Z 8116(自動制御用語)—— 接点・制御に関する用語と記号の一般的定義
- 各制御機器メーカーの技術資料・リレー総合カタログ(コイル定格・接点容量・開閉寿命・接点保護の一般原則)。具体的な定格は各製品のカタログ・仕様書をご確認ください。
本記事の電流容量・寿命に関する数値は、一般的な製品傾向にもとづく目安です。設計・選定にあたっては、必ず採用する製品のメーカー仕様書を確認してください。
