電磁リレーとは?a接点・b接点の定義と、電磁接触器・SSR・PLCのどれを使うかの判断表【2026年版】

この記事の要点

  • 電磁リレーとは、コイル(電磁石)の力で接点を機械的に開閉し、小さな電気信号で別の回路を入切(スイッチ)する部品です。
  • 接点にはa接点(常時開路=普段開)・b接点(常時閉路=普段閉)・c接点(切換)の3種類があり、JIS C 5442 では「復帰状態」で開いているか閉じているかで定義されています。
  • リレーは「制御回路(信号)」側、電磁接触器(マグネットスイッチ)は「主回路(モータなど大電流)」側、SSRは「高頻度の開閉」で使い分けるのが基本です。
  • どれを選ぶかは「開閉するもの」「開閉の頻度」「止まったときにどちらへ倒すか」の3点で決まります(表3の判断表)。
  • 1秒に何度も開閉する用途、主回路の大電流、微小信号、安全機能の単独構成には、汎用の電磁リレーは向きません(表4)。

この記事が支援する判断:制御盤で「この入切は電磁リレーでよいのか、それとも電磁接触器・SSR・PLCの出力にすべきか」を決めること。あわせて、リレーを選ぶ場合に何を確認し、どんな条件ならリレーを使わないかを判断できるようにします。

制御盤を開けると、必ず並んでいるのが小さな箱型の「リレー」です。本記事は、電磁リレーの仕組みと接点(a接点・b接点・c接点)の違い、混同しやすい電磁接触器(マグネットスイッチ)やSSRとの使い分け、選び方までをFA(ファクトリーオートメーション)の視点で図解します。結論を先に言えば、リレーは「小さな信号で、独立した別回路を入切する中継スイッチ」であり、その役割を押さえれば制御図面の読み解きが一段やさしくなります。

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電磁リレーとは?仕組みと役割をやさしく解説

電磁リレーとは、コイルに電流を流して電磁石をつくり、その吸引力で可動鉄片(アーマチュア、JIS では「接極子」)を動かして接点を開閉する電気部品です。ポイントは、「コイル側(信号を受ける入力)」と「接点側(実際に開閉される出力)」が電気的に分離されていることです。つまり、ボタンやセンサ、PLCの出力といった小さな信号で、それとは別の回路を入切できます。なお、JIS C 5442(制御用小形電磁リレーの試験方法)は、対象とする制御用小形電磁リレーを「電圧250V以下及び電流30A以下の電気回路に使用する」ものと定めており、制御盤で見かける小型リレーはおおむねこの範囲に入ります。

電磁リレーの構造と動作の図解。コイル非励磁ではb接点が導通、コイル励磁では可動鉄片が引かれてa接点が導通する仕組みを示す模式図
図1:電磁リレーの構造と動作。コイルの通電(励磁)で可動鉄片が引かれ、a接点とb接点の導通が入れ替わる〔模式図〕

リレーはなぜ必要?小さな信号で大きな回路を動かす

リレーが重宝される理由は主に4つです。第一に「絶縁・中継」。入力側と出力側を分けられ、弱電の制御回路と強電の負荷回路を安全に橋渡しできます。第二に「増幅的なスイッチング」。数十mAの信号で数Aクラスの負荷を入切できます。第三に「接点を増やす(分岐)」。1つの信号で複数の接点を同時に動かせます。第四に「電圧レベルの変換」。DC24Vの信号でAC100V側を入切する橋渡しも一般的です。

逆に言えば、この4つのどれにも当てはまらない入切なら、リレーを挟む理由は薄くなります。PLCのトランジスタ出力で直接駆動できる小さな負荷や、主回路を直接開閉したい場面では、リレーを増やすほど配線・故障点・保守の手間が増えるだけです。「なぜここにリレーがあるのか」を4つの理由のどれかで説明できるかが、図面を読むときの手がかりになります。

リレーの接点とは?a接点・b接点・c接点の違い

リレーの「接点」は、コイルの状態に応じて開いたり閉じたりする出力スイッチの部分です。動作の起点になるので、ここを正しく読めることが図面理解の第一歩になります。基本は次の3種類です。

接点の種類呼び方コイル非励磁(OFF)コイル励磁(ON)主な使い方
a接点常時開路接点・メーク接点(NO)開(電気が流れない)閉(導通する)「操作したら動かす」始動・運転指令
b接点常時閉路接点・ブレーク接点(NC)閉(導通する)開(電気が流れない)非常停止など、故障時に安全側へ倒す回路
c接点切換接点(COM/NO/NC)COM–NC が導通COM–NO が導通2つの状態を排他的に切り替える
表1:a接点・b接点・c接点の動作の違い

非常停止スイッチや安全ドアスイッチをb接点で組むのは、断線などの故障が起きたときに回路が「開く=止まる」側に倒れるためです。リレーの接点をどう割り当てるかは、安全設計に直結します。記号や使い分けの詳細は、関連記事「a接点・b接点・c接点の違いとは」で詳しく解説しています。

普段は電気が流れず、押したときに流れるのがa接点(ノーマルオープン)。

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規格では、a接点・b接点はどう定義されているのか?

JIS C 5442:1996「制御用小形電磁リレーの試験方法」の用語の定義では、a接点は「常時開路接点」として「復帰状態で開路となり,動作状態及び保持状態で閉路となる接点。メーク接点又はa接点ともいう。」と定められています。b接点は「常時閉路接点」で、「復帰状態で閉路となり,動作状態及び保持状態で開路となる接点。ブレーク接点又はb接点ともいう。」とされています(JIS C 5442:1996 2.(2)(h)(i)、2026年10月7日に規格本文で確認)。

ここで大事なのは、基準が「スイッチを押したかどうか」ではなく、リレーの復帰状態(コイルに励磁入力がない状態)で決まっている点です。同じ規格は、c接点を「閉じる前に開く切換接点」(トランスファー接点)と定義し、開く前に閉じるものは別にコンテニアス接点(メークビフォアブレーク接点)と呼んで区別しています。切替の瞬間に両方の回路が同時に導通してよいかどうかで、選ぶ接点構造が変わるということです。

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電磁リレーと電磁接触器・SSRはどう違う?

「リレー」と名前が似ている部品に、電磁接触器(マグネットスイッチ)とSSR(半導体リレー)があります。動作原理は近いものの、扱う電流の大きさと用途が異なります。ざっくり言えば、リレーは制御回路(信号)、電磁接触器は主回路(モータなどの大電流)、SSRは無接点で高頻度の開閉、という棲み分けです。

ミニチュアリレー・パワーリレー・SSR・電磁接触器の接点電流容量と用途の目安を比較した横棒グラフ。制御回路向けから主回路向けへと容量が大きくなる
図2:リレー・SSR・電磁接触器の電流容量と用途の目安。右へ行くほど大きな電流を扱う〔参考図・目安です。実際の定格は各メーカーのカタログでご確認ください〕
部品主な回路電流容量の目安接点/方式代表的な用途
電磁リレー制御回路数A以下〜十数A有接点(機械接点)信号の中継・分岐、小信号で負荷を入切
SSR(半導体リレー)制御〜補助回路数A〜数十A無接点(半導体)ヒータなど高頻度・静音の開閉
電磁接触器(マグネットスイッチ)主回路数十A〜有接点(大容量主接点)三相モータなど大電流の開閉
表2:電磁リレー・SSR・電磁接触器の使い分け

混同されやすい4部品の違いを先に表で整理します。役割の軸は「主回路か制御回路か」「開閉専用か保護も担うか」の2つです。

電磁接触器(マグネットスイッチ)とは|電磁開閉器・リレー・サーマルとの違い

選んだ理由は、どこに残しておくべきか?

こうした「どの部品を、どの回路に、なぜ選んだか」という選定の根拠は、つい担当者の頭の中だけに残りがちです。型式の置き換えや増設のたびに、当時の判断を知る人を探す——という属人化は、リレー1個の選定から始まっています。判断の根拠を図面や台帳にそろえておけるかどうかは、個人の心がけというより、業務の基盤づくりの問題です。少なくとも、型式・コイル電圧・接点構成・負荷の種類・選んだ理由の5項目を、図面の部品表か保全台帳のどちらか一方に必ず書く、と決めておくだけでも引き継ぎの手間は変わります。

引き継ぐべき情報をデータモデルとして握るかどうかは、属人化への姿勢の問題ではなく、業務基盤の設計判断です。

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制御盤まわりの選定根拠や設定値をどこに、どの粒度で残すかを整理したい方は、AX導入相談で現状の棚卸しから一緒に進められます。

リレー・SSR・電磁接触器・PLC出力は、どう選び分けるのか?

「何を開閉したいのか」から逆に決めると迷いません。判断の軸は、①開閉するものが信号か主回路か、②開閉の頻度、③故障したときにどちらへ倒すべきか、の3つです。次の表は、制御盤でよく出てくる場面ごとに第一候補を整理したものです。

開閉したいもの・条件第一候補判断の理由
PLC出力やセンサ信号を、別の電圧の回路へ中継・分岐したい電磁リレー(ミニチュアリレー)入力と出力を絶縁でき、1つの信号で複数の接点を動かせる
ヒータの温度制御など、数秒〜数分ごとの高頻度な開閉SSR機械接点がなく、開閉回数による接点の摩耗がない
三相モータなど主回路の大電流を入切したい電磁接触器(+サーマルリレー)主回路用の大容量接点を持ち、サーマルと組めば過負荷保護も担える
非常停止・安全ドアなど安全機能の回路安全リレー(安全リレーユニット)接点の溶着などの故障を検知し、安全側に止める構造が求められる
運転条件や順序が多く、変更も頻繁にあるPLC(出力はリレー出力/トランジスタ出力)配線を組み替えずにプログラムで変更でき、リレーの数を減らせる
数mA・数V程度の計測信号や通信線を切り替えたい信号用リレー・リードリレー微小な負荷を確実に導通させる接点を持つ
表3:開閉したいもの別の選び分け(判断表)。定格は必ず採用する製品の仕様書で確認する

非常停止まわりの構成は、汎用リレーの延長で考えると危険です。停止カテゴリや安全リレーの考え方は、関連記事「非常停止回路と安全リレー」で整理しています。また、リレーの数が増えてきて「このままリレー回路で組むか、PLCに置き換えるか」で迷う段階に来たら、制御点数・変更頻度・保全体制の3点で判断するのが基本です。

リレーの種類と選び方は?4つの確認ポイント

電磁リレーには、用途に応じていくつかの種類があります。代表的なのは、制御盤で多用される小型のミニチュアリレー、やや大きな電流を扱うパワーリレー、通電を切っても直前の状態を保持するラッチング(キープ)リレー、機械接点を持たず半導体で開閉するSSR(半導体リレー)、微小信号を高速・高寿命で開閉するリードリレーなどです。JIS C 5442 では、ラッチングリレーを「双安定リレー」と呼び、励磁入力を除いた後も状態を保つリレーとして定義しています。

選定時は、次の4点を順に確認すると過不足がありません。

  1. コイル定格電圧と種類:駆動する信号がDC24VかAC100Vか。コイルの定格に合っていないと動作不良や焼損の原因になります。
  2. 接点構成(極数とa/b/c):必要な接点の数(1極・2極…)と、a接点/b接点/c接点のどれが何点必要かを決めます。
  3. 接点容量と負荷の種類:負荷の電圧・電流に加え、抵抗負荷かモータ・ランプ・コイルのような誘導/突入負荷かで、選ぶべき容量が変わります。
  4. 開閉寿命:機械的寿命(接点の物理的な回数)と電気的寿命(負荷を入切できる回数)を、想定する開閉頻度と照らします。高頻度ならSSRも候補です。

接点を傷めないために、何を確認するのか?

カタログの「接点容量」を読むときは、何の値かを区別します。JIS C 5442 は、接点が開閉できる基準の負荷電流を「定格接点電流」、開閉せずに連続して流せる電流を「定格通電電流」として別々に定義しています。開閉する用途では前者を見る必要があり、後者の大きい数字だけで選ぶと接点が早く傷みます。

あわせて注意したいのが接点保護です。電磁弁やリレーコイルのような誘導負荷を切ると、逆起電力によるサージで接点が傷みます。DC回路ではダイオード、AC回路ではスナバ(CR)を入れるのが一般的な対策です。リレー自身のコイル側にも、同じ規格が「コイルサージ抑制部品」と呼ぶダイオードなどを付けることがあります。リレーの寿命を縮める原因の多くは、この保護の有無に関わります。

自己診断:リレーまわりの属人化チェック

  • 制御盤のリレーが「何を入切しているか」を、図面だけで追えますか?
  • 各リレーの型式・コイル電圧・接点構成の選定理由が記録に残っていますか?
  • 故障時に「どの状態に倒れるか(a/b接点)」を担当者以外も把握できますか?
  • 誘導負荷の接点保護(ダイオード・スナバ)の有無を確認できますか?
  • 増設・更新のたびに、当時を知る人を探さずに済む仕組みがありますか?

3つ以上「いいえ」がある場合、部品選定の根拠を業務の基盤にそろえる取り組みが効く可能性があります。まずは、交換頻度の高いリレーや、止まったときの影響が大きい回路のリレーから、型式と選定理由を図面か台帳に書き足すところから始めると負担が小さく済みます。

電磁リレーが向かないのは、どんなとき?

電磁リレーは安価で扱いやすい反面、機械接点を持つことによる弱点があります。次の条件に当てはまるときは、リレーを使わない(または単独で使わない)ほうが安全です。

条件リレーが向かない理由先に検討するもの
数秒に1回以上の高頻度で開閉する電気的寿命を短期間で使い切り、接点の摩耗で導通不良が起きるSSR、PLCのトランジスタ出力
モータなど主回路の大電流を直接開閉する定格接点電流を超えると、接点の溶着・焼損につながる電磁接触器(+サーマルリレー)
振動・衝撃の大きい場所に取り付ける外部からの衝撃・振動による接点の異常な開閉(チャタリング)が起きうるSSR、防振取付、設置場所の変更
数mA・数V程度の微小信号を切り替える電力用の接点では、微小負荷の導通が不安定になりやすい信号用リレー、リードリレー
非常停止などの安全機能を汎用リレーだけで組む接点が溶着しても検知できず、止まるべきときに止まらない安全リレーユニット
表4:電磁リレーが向かない条件と、代わりに検討するもの

チャタリングは、JIS C 5442 で「リレーに加わる外部からの衝撃,振動などに起因する接点間の異常な間欠開閉現象」と定義されています。リレーの可動部や接点どうしがぶつかって起きる「バウンス」とは区別されており、設置環境の問題として扱う点が実務上の違いです。

よくある質問(FAQ)

リレーとスイッチの違いは何ですか?

A. スイッチは人が手で操作して接点を開閉する部品です。リレーは、コイルに流す電気信号によって接点を自動で開閉します。人の操作ではなく、別の回路からの信号で動かせる点が大きな違いです。

リレーと電磁接触器(マグネットスイッチ)はどう使い分けますか?

A. 扱う電流の大きさで分けます。信号や小さな負荷の入切はリレー、三相モータのような大電流の主回路の開閉は電磁接触器を使うのが基本です。電磁接触器にサーマルリレーを組み合わせると、過負荷保護も担えます。

SSR(半導体リレー)と機械式リレーはどちらが良いですか?

A. 一概には言えません。SSRは無接点で寿命が長く、高頻度・静音の開閉に向きます。一方、機械式リレーは複数接点や絶縁の確実さ、漏れ電流の少なさで優れます。開閉頻度・負荷・コストで選び分けます。

a接点とb接点は、規格ではどう定義されていますか?

A. JIS C 5442 では、a接点(常時開路接点)は復帰状態で開路となり動作状態で閉路となる接点、b接点(常時閉路接点)は復帰状態で閉路となり動作状態で開路となる接点と定義されています。基準はコイルに励磁入力がない復帰状態です。

まとめ

電磁リレーは、コイルの力で接点を開閉し、小さな信号で別の回路を入切する「中継スイッチ」です。a接点・b接点・c接点の動作を押さえ、制御回路はリレー、主回路は電磁接触器、高頻度の開閉はSSRという棲み分けを理解すれば、制御盤と図面の見え方が変わります。選定はコイル電圧・接点構成・接点容量(定格接点電流)・開閉寿命の4点と、誘導負荷の接点保護が要点です。高頻度の開閉・大電流・微小信号・安全機能の単独構成には向かないため、その場合は表3・表4に沿って別の部品を選びます。選定の根拠を人ではなく業務の基盤に残せるかが、更新や引き継ぎのしやすさを左右します。

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出典・参考

  • JIS C 5442:1996「制御用小形電磁リレーの試験方法」1. 適用範囲・2. 用語の定義(常時開路接点・常時閉路接点・切換接点・双安定リレー・チャタリング・定格接点電流・定格通電電流・コイルサージ抑制部品)。2026年10月7日に規格本文で確認
  • JIS C 0617(電気用図記号)/JIS Z 8116(自動制御用語)—— 接点・制御に関する用語と記号の一般的定義
  • 各制御機器メーカーの技術資料・リレー総合カタログ(コイル定格・接点容量・開閉寿命・接点保護の一般原則)。具体的な定格は各製品のカタログ・仕様書をご確認ください。

本記事の電流容量・寿命に関する数値は、一般的な製品傾向にもとづく目安です。設計・選定にあたっては、必ず採用する製品のメーカー仕様書を確認してください。

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