ねじ・ボルトの種類とは?六角ボルト・小ねじ・タッピンねじの違いと強度区分・図面での呼び方を図解で解説【2026年版】

ねじ・ボルトは、装置や製品を組み立てるうえでもっとも数の多い機械要素です。結論から言うと、ねじは「頭部の形状」と「締結する相手」で種類が分かれ、六角ボルト・六角穴付きボルト・小ねじ・タッピンねじ・止めねじなどに大別されます。さらにボルト頭には「10.9」のような強度区分が刻印され、図面では「M8×20」のように呼び径と長さで指定します。この記事では、ねじの基本と種類、強度区分の読み方、図面での指定のしかたまでを図解で整理します。
この記事の要点
- ねじは頭部形状と締結相手で「六角ボルト・六角穴付きボルト・小ねじ・タッピンねじ・止めねじ」などに大別される
- おねじ(ボルト側)とめねじ(ナット・下穴側)は対で機能し、呼び径・ピッチ・有効径が寸法の基本になる
- ボルト頭の「10.9」などの強度区分は、前の数字が引張強さ(10→1000N/mm²)、後の数字が降伏比(.9→降伏点はその9割)を表す
- 図面では「M8×20」のように呼び径×長さで指定し、必要に応じてピッチ・強度区分・表面処理を併記する
- 締結は「強いねじを使えば安心」ではなく、軸力・座面・被締結材とセットで選ぶ
ねじ・ボルトとは?回転を軸力に変える機械要素
ねじとは、円筒や円すいの表面にらせん状の溝(ねじ山)を設けた機械要素で、回すことで回転運動を直線方向の力(軸力)に変える働きをもちます。この軸力で部品どうしを締めつけて固定するのが「締結」です。ボルトは、頭部と軸部(ねじ部)を一体で成形した締結用のねじの総称で、ナットや相手部品のねじ穴と組み合わせて使います。
ねじは、外側にねじ山がある「おねじ」と、穴の内側にねじ山を切った「めねじ」が対で機能します。おねじの代表がボルトやねじ、めねじの代表がナットや部品側のタップ穴です。同じ「M8」でも、おねじ側とめねじ側でかみ合うように寸法が決められています。
ねじにはどんな種類がある?頭部と締結相手で分ける
締結に使うねじは、頭部の形状(回す工具が変わる)と、締結する相手(ナットか、部品のねじ穴か、まだ穴のない板か)で使い分けます。代表的な5種類を整理すると次のようになります。
| 種類 | 頭部・回し方 | 締結する相手 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 六角ボルト | 六角頭・スパナ/レンチ | ナット、またはタップ穴 | 強い締結が必要な構造部・架台 |
| 六角穴付きボルト (キャップスクリュー) | 六角穴・六角レンチ | タップ穴が多い | 装置内部・座ぐりに収めたい箇所 |
| 小ねじ | すりわり/十字・ドライバー | ナットまたはタップ穴 | カバー・小物部品の固定 |
| タッピンねじ | 十字など・ドライバー | 下穴のみ(自らめねじを作る) | 板金・樹脂への直接締結 |
| 止めねじ (セットスクリュー) | 頭なし・六角穴等 | 軸などを押さえる | プーリ・カラーの軸固定 |
迷いやすいのが「六角ボルトと六角穴付きボルトの使い分け」です。強い締めつけと点検のしやすさを優先するなら六角ボルト、装置内部で出っぱりを抑えたい・座ぐりに沈めたいなら六角穴付きボルト、というのが基本の考え方です。板金や樹脂に直接ねじ込むならタッピンねじ、回転する軸を押さえるだけなら止めねじ、と締結相手から逆算すると選びやすくなります。
強度区分「10.9」は何を表す?
強度区分とは、ボルトの材料が「どれだけの力に耐えるか」を数字で表した等級です。鋼製ボルトでは「4.8」「8.8」「10.9」「12.9」などがあり、ボルト頭に刻印されています。結論から言うと、小数点の前が引張強さ、後が降伏比を表します。
たとえば「10.9」なら、前の「10」に100を掛けた1000N/mm²が引張強さ(引きちぎられる限界の強さ)、後の「.9」が降伏比0.9を意味し、引張強さの9割にあたる900N/mm²が降伏点(永久変形が始まる手前の強さ)です。数字が大きいほど強く、同じ呼び径でもより大きな軸力に耐えられます。
ここで押さえておきたいのは、強度区分は「材料の強さ」だけの指標だという点です。実際にどれだけの荷重に耐えるかは、呼び径の太さ、締めつけで生む軸力、被締結材(相手の板やタップ穴)の強さまで含めて決まります。関連する図面記号や材料の見方は、次の3本の記事でも整理しています。
注意したいのは、強い材料を選べば安全というわけではないことです。材料の強度は設計上の余裕(安全率)とセットで考える必要があります。
金属材料記号の読み方とは?SS400・S45C・SUS304の意味と違い
陥りやすいのが「迷ったら厳しくしておけば安心」という発想です。これは強度設計における安全率でも同じ罠として知られています。
寸法公差・はめあいとは|種類・記号・図面の読み方と選び方
設計者が一日のうち4割を、図面を探したり、部品表をメンテしたり、設計変更を関係部署に伝えたりすることに使っている
同じような部品が毎回新しい型番で登録される——部品マスタが増え続ける構造
ねじは調達点数がもっとも多い部品でもあり、ほぼ同じ仕様のねじが別々の型番で重複登録されがちです。呼び径・ピッチ・強度区分・表面処理が図面や帳票のどこに定義され、誰でも参照できる形になっているか——ここが曖昧だと、選定や発注のたびに担当者の記憶に頼ることになります。自社の状況を切り分けたい場合は、無料の業務診断で情報の詰まりどころを一緒に洗い出せます。
図面ではねじをどう指定する?「M8×20」の読み方
メートルねじは「M(呼び径)×(長さ)」で指定します。「M8×20」なら呼び径8mm・長さ20mmのねじです。ピッチを明示したいときは「M8×1.25×20」のようにピッチを挟みます。ピッチを書かない場合は、その呼び径の標準ピッチ(並目)とみなすのが一般的です。
実際の図面や部品表では、これに強度区分(例:10.9)と表面処理(例:三価クロメート、生地など)を添えて仕様が確定します。長さの測り方は頭部形状で変わり、頭が座面に載る六角ボルトは頭下からの長さ、頭を沈める皿ねじは頭を含めた全長で表すのが基本です。
ねじ選びで気をつけることは?「強ければ安心」ではない
強度区分の高いボルトを選べば締結が安全になる、とは限りません。強いボルトほど硬く、条件によっては粘りが下がって割れやすくなる(遅れ破壊)こともあります。また、いくら強いボルトでも、締めつけで適切な軸力を生めなければゆるみます。締結の要は「ちぎれない強さ」だけでなく、「必要な軸力を確実に生み、保つこと」にあります。
そのため実務では、被締結材の強さ、座面の面圧、締めつけトルクと軸力の関係、ゆるみ止め(ばね座金・緩み止めナット・ねじロック剤)までをセットで検討します。ボルトの熱処理と強度・硬さの関係は、焼入れ・焼戻しと熱処理4種類の記事もあわせて読むと理解が深まります。
ねじ管理のセルフチェック
自社のねじ・締結部品の管理が整っているかは、次の5項目で見当がつきます。あてはまらない項目が多いほど、選定や調達が担当者の記憶に依存している可能性があります。
- ねじの呼び径・ピッチ・強度区分・表面処理が、図面や帳票の決まった場所に定義されている
- ほぼ同じ仕様のねじが、別々の型番で重複登録されていないか把握できている
- 締結部の必要軸力や締めつけトルクの目安が、担当者以外でも参照できる
- 被締結材(相手材)とねじの強度区分の組み合わせを、根拠をもって選べている
- ゆるみ対策の要否と方法が、部位ごとに決まっている
よくある質問(FAQ)
ボルトとねじの違いは?
明確な線引きはありませんが、一般に頭部と軸部を一体成形し、ナットやタップ穴と組んで強く締結する比較的大きなものを「ボルト」、ドライバーで回す小径のものを「小ねじ」と呼び分けることが多いです。どちらも「おねじ」の一種です。
「並目」と「細目」はどう違う?
ピッチ(ねじ山の間隔)の違いです。標準的なピッチが並目、それより細かいピッチが細目です。細目は薄物やゆるみを嫌う部位で使われますが、指定がなければ並目を用いるのが一般的です。図面では「M8×1.25」のようにピッチで区別します。
強度区分「8.8」と「10.9」はどちらを使うべき?
必要な軸力と相手材、環境で決めます。一般的な締結には8.8が広く使われ、より高い軸力が必要な場合に10.9を選びます。ただし高強度ほど遅れ破壊などの注意点が増えるため、区分を上げれば安心という判断ではなく、締結条件全体で選ぶことが大切です。
まとめ:ねじは「相手」と「強度区分」から選ぶ
ねじ・ボルトは、頭部形状と締結相手で種類が分かれ、強度区分でその強さが決まります。図面では呼び径×長さで指定し、選定の要は「強さ」だけでなく「必要な軸力を確実に生み、保つこと」です。ねじの仕様や締結条件が担当者の記憶に依存していると感じたら、業務のどこに情報の詰まりがあるかを一緒に整理する無料の業務診断をご利用ください。
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出典・参考
- JIS B 0205(メートル並目ねじ)/JIS B 0207(メートル細目ねじ):ねじの呼び・ピッチの区分
- JIS B 1051(炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質―ボルト、ねじ及び植込みボルト):強度区分の定義
- 本メディア編集部による業務観察(2026年7月時点)。図はいずれも仕組みを示す参考図で、実測値ではありません。










