パレタイズはパレタイザとロボットのどちらで自動化するのか?——処理量・品種数・荷姿で決める境界と、自動化がまだ早い5つの条件【2026年版】

この記事の要点

  • パレタイズの自動化手段は、処理量と品種数でほぼ決まります。少品種を大量に積むなら専用パレタイザ、品種や積み方が変わるならロボットが第一候補です。
  • 協働ロボットのパレタイズは、公表されている仕様の例で最大毎分8箱・1箱8kgまでと、軽い箱を中程度の速さで積む範囲が得意です。
  • 荷姿で持ち方が変わり、段ボールは吸着、袋物は爪やフォークが基本です。荷姿が崩れやすい物は、手段を選ぶ前に荷姿を整えるのが先です。
  • 積む前の箱の向きや品種の並びがそろっていない、1日の量が少ない、パレットや箱の品質がばらつく場合は、自動化はまだ早い段階です。

この記事が支援する判断:生産技術や物流の担当者が、ライン終端のパレット積みを自動化するにあたり、メーカーやSIerに見積もりを頼む前に「専用パレタイザ・産業用ロボット・協働ロボットのどれを候補にするか」と「まだ人手で残す工程はどこか」を決める場面を支援します。

箱や袋をパレットに積む作業は、重さと回数がそろって負担が大きく、自動化の候補に挙がりやすい工程です。一方で、手段には専用パレタイザ、産業用ロボット、協働ロボットがあり、どれを選ぶかで費用も設置スペースも大きく変わります。結論から言えば、決め手は「1分あたり何箱積むか」と「何品種をどう積み分けるか」の2つです。本稿では、手段ごとの得意な範囲と、自動化がまだ早い条件を整理します。

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パレタイズは、パレタイザとロボットのどちらで自動化するのか?

専用パレタイザとは、箱を1段分ずつ並べてからまとめてパレットに載せる、積み付け専用の機械です。同じ箱を大量に、速く積むことに向きます。ロボットは箱を1個ずつつかんで置くため、1個あたりの時間はかかりますが、プログラムを変えれば積み方も品種も変えられます。協働ロボットは、条件を満たせば柵を減らして人の近くで使えるロボットで、軽い箱を中程度の速さで積む範囲が得意です。表1は、自社の工程をどの手段に当てはめるかの判断基準です。

判断の軸専用パレタイザ産業用ロボット協働ロボット
処理量速いライン(ロボットでは追いつかない量)中〜高速低〜中速(公表例で毎分8箱まで)
品種・積み方少品種・積み方が固定品種が多い・積み分けがある品種が多くても量が少ない
1個の重さ重い物・袋物も可重い物も可(機種で変わる)軽い箱(公表例で8kgまで)
設置スペース大きい柵の内側を含めて中〜大小さい
安全の考え方機械の囲いと出入口の管理柵で囲うのが基本リスクアセスメントで柵を減らせる場合がある
表1:パレタイズの自動化手段を選ぶ判断表。協働ロボットの数値はジーディー自動機械(フレックスリンク事業部)が公表するパレタイジングセルの仕様例(編集部作成)

表1で2つ以上の軸が同じ列に入れば、その手段が第一候補です。重量物の自動化を整理した過去記事でも、選定の鍵を次のように書いています。

搬送は経路と物量、パレタイズは積付パターンと品種数が選定のカギになります。

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処理量と品種数で、手段の候補を絞る品種・積み方の数(右ほど多い)処理量(上ほど多い)専用パレタイザ少品種を大量に速く産業用ロボット積み分けを速く人手か補助機器量が少なく積み方も単純協働ロボット軽い箱を多品種で
図1 処理量と品種数でパレタイズの自動化手段を絞る考え方。境目は箱の重さと設置スペースでも動く〔概念図〕

荷姿によって、選ぶ手段はどう変わるのか?

荷姿とは、積む物の形と包み方のことです。荷姿が変わると、つかみ方が変わり、つかみ方によって使える手段と速さが変わります。表2は、代表的な荷姿ごとの持ち方と、先に確かめることの一覧です。

荷姿基本の持ち方先に確かめること
段ボール箱上面を吸着箱の材質・テープの位置・中身の偏り
袋物(粉・粒)爪やフォークで下から支える袋の中身が片寄らないか、袋の口の位置
クレート・通い箱縁を爪でつかむ箱の型が何種類あるか、変形していないか
シュリンク包装・缶の束吸着か下から支える包装がゆるんでいないか、層ごとのずれ
表2:荷姿ごとの持ち方と、手段を選ぶ前に確かめること(編集部作成)

段ボールは吸着が基本ですが、空気を通す材質のため、思ったより大きな力が要ります。ロボットハンドの選び方を扱った過去記事でも、次のように注意しました。

見落としやすいのは表面です。段ボールのように空気を通す材料や油が付いた鋼板は、真空吸着の候補に残っても必要な力が大きく増えます。

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協働ロボットのパレタイズは、どこまでを受け持てるのか?

協働ロボットを使ったパレタイジングセルの公表仕様の一例では、処理能力は最大8ボックス/分、カートン重量は最大8kg、パレット高は最大1.9m(調整できる台をオプションで用意)とされています(出典:ジーディー自動機械 フレックスリンク事業部の製品ページ。2026年10月21日に確認)。毎分8箱は、1時間に約480箱です。これを大きく超える量が一日中続くラインや、8kgを超える箱が多いラインは、産業用ロボットか専用パレタイザを先に検討します。

柵については、ロボットの種類にかかわらず法令の考え方は同じです。労働安全衛生規則第150条の4は、運転中の産業用ロボットに接触する危険があるときは「さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない」と定めています(e-Gov法令検索で2026年10月13日に確認)。協働ロボットでも、リスクアセスメントで接触の危険がないと確かめられた範囲でのみ柵を減らせます。人がパレットを入れ替える場所や、通路に面した場所の扱いを先に決めておきます。

見積もりの前に確かめる順番1 量を数える1分あたりの箱数と最大値2 品種を並べる箱の種類と積み方の数3 荷姿を見る重さ・材質と崩れやすさ4 場所を測る設置場所と人の出入り4つがそろってから、手段と見積もりの比較に進む
図2 パレタイズの自動化で見積もりを頼む前に確かめる4項目。量と品種で手段が絞れ、荷姿と場所で仕様が決まる〔概念図〕

パレタイズの自動化がまだ早いのは、どんなときか?

重量物の作業は、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」が「適切な動力装置等により自動化し、それが困難な場合は、台車、補助機器の使用等により人力の負担を軽減することを原則とすること」と定めており(出典:厚生労働省、別紙 I-1)、自動化を考える理由は十分にあります。ただし、次の条件に当てはまる工程では、機械を入れても止まりやすく、まだ早い段階です。先に条件を整えるか、補助機器で負担を減らします。

まだ早い条件止まる理由先にやること
箱の向きや品種の並びがそろわずに流れてくるつかむ位置と置く位置が毎回変わる前工程で向きと順番をそろえる
荷姿が崩れやすい(中身が片寄る・箱が弱い)持ち上げや段積みで崩れる箱の仕様や詰め方を見直す
パレットや箱の品質がばらつく位置がずれ、荷崩れや停止が起きるパレットの規格と点検を決める
1日の量が少ない設備の費用を回収できないリフターなどの補助機器で負担を減らす
パレットの出し入れの動線が決まっていないフォークリフトと人がセルの周りで交錯する置き場と動線を先に決める
表3:パレタイズの自動化がまだ早い5つの条件と、先にやること(編集部作成)

よくある質問(FAQ)

専用パレタイザとロボットは、どちらが安いですか?

一律には決まりません。同じ箱を大量に積むラインでは専用パレタイザのほうが1箱あたりの費用は下がりやすく、品種や積み方が多いラインではロボットのほうが変更の費用を抑えられます。処理量と品種数を数えてから、両方の見積もりを比べます。

協働ロボットなら、柵なしでパレタイズできますか?

柵を減らせるのは、リスクアセスメントで人との接触の危険がないと確かめられた場合です。協働ロボットだから柵が不要になるわけではありません。パレットを入れ替える場所や通路に面した側は、センサーや区画で人の出入りを管理します。

品種が多いラインでも自動化できますか?

ロボットなら積み方をプログラムで切り替えられるため対応できます。ただし、どの品種がどの順番で流れてくるかが分からないと、置く場所を決められません。品種の情報を読み取る仕組みと、前工程で順番をそろえる運用を合わせて考えます。

まとめ

パレタイズの自動化手段は、1分あたりの箱数と、品種・積み方の数でほぼ決まります。少品種を大量に積むなら専用パレタイザ、積み分けが多ければ産業用ロボット、軽い箱を中程度の速さで積むなら協働ロボットが第一候補です。見積もりの前に、量・品種・荷姿・場所の4つを数えておくと比較がぶれません。箱の向きがそろわない、荷姿が崩れやすい、量が少ないといった工程は、機械より先に条件を整えてください。

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出典・参考

  • ジーディー自動機械株式会社 フレックスリンク事業部「協働ロボットを活用した『パレタイジングセル』」製品ページ(イプロス掲載。技術仕様を2026年10月21日に確認)
  • 労働安全衛生規則 第150条の4(e-Gov法令検索。2026年10月13日に条文を確認)
  • 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日改訂)別紙「作業態様別の対策」I 重量物取扱い作業 1(2026年10月13日に原文を確認)

パレタイズをどの手段で自動化するかは、ライン終端の量と品種を書き出すと決めやすくなります。パレタイズの自動化の進め方を相談する(無料)

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