ベアリング(転がり軸受)とは?種類の違いと型番の読み方・はめあいの選び方を図解で解説【2026年版】

この記事の要点
- ベアリング(転がり軸受)とは、軸とハウジングの間で転動体を転がし、摩擦を減らしながら軸を支える機械要素です。
- 種類は「玉軸受」と「ころ軸受」に大別され、荷重の向き(ラジアル/スラスト)と大きさで選び分けます。
- 型番(呼び番号)は JIS B 1513 で規定され、「6203ZZ」なら 6=深溝玉軸受、2=直径系列、03=内径17mm、ZZ=両側シールドを意味します。
- 内径番号は 00=10mm/01=12mm/02=15mm/03=17mm、04〜96 は「番号×5」が内径mmです。22mm・28mm・32mm と 500mm 以上は「/22」「/500」のように内径を直接書きます。
- 末尾の補助記号(シール・すきま・精度)にはメーカー独自の記号もあります。基本番号が同じでも、補助記号まで一致しなければ同じ軸受ではありません。
- 寿命を決めるのは軸受本体より「はめあい」と「すきま」の指定です。回転する側をしまりばめにするのが原則です。
図面に「6203ZZ」と書いてあるけれど、この数字が何を表しているのか、なぜこの型番でなければいけないのかが分からない——設計や調達、保全の現場でよく聞く悩みです。
結論から言うと、ベアリングの型番は意味のある記号の並びで、先頭1桁が形式、次が寸法系列、その次の2桁が内径、末尾が仕様(シール・すきま・精度)を表します。読み方さえ分かれば、カタログを引かなくても「どんな軸受か」がその場で判断できます。
本記事では、転がり軸受の構造と種類の違い、型番(呼び番号)の読み方、そして実務でトラブルが集中する「はめあい」と「すきま」の考え方までを、図解でまとめて解説します。
この記事が支援する判断:設計・調達・保全の担当者が、図面や現品に書かれた型番から交換品・代替品を手配するとき、「この型番の読み方で合っているか」「基本番号だけで手配してよいか」を決める場面を支援します。型番の読み違いや補助記号の写し漏れは、取り付けた後の発熱や早期損傷として表に出るため、発注の前に判断を済ませておく必要があります。
ベアリング(転がり軸受)とは?
ベアリング(転がり軸受)とは、回転する軸と固定側のハウジングの間に転動体(玉やころ)を入れ、すべりではなく転がりで支えることで摩擦を小さくする機械要素です。すべり軸受と比べて起動時の摩擦が小さく、潤滑管理が簡単で、規格品として入手しやすいという特徴があります。
転がり軸受は、基本的に4つの部品で構成されます。軸に取り付く内輪、ハウジングに収まる外輪、その間を転がる転動体、そして転動体どうしの接触を防いで等間隔に保つ保持器です。この4要素を押さえておくと、後述する型番や故障モードの理解が一気に進みます。
ベアリングの種類は何が違う?
種類の違いは、突き詰めると転動体の形と受けられる荷重の向きの2点です。転動体が球なら玉軸受、円筒や円すいなどの棒状ならころ軸受に分類されます。玉軸受は点で接触するため摩擦が小さく高速回転向き、ころ軸受は線で接触するため接触面積が大きく、重い荷重に強いという性格の違いがあります。
荷重の向きは、軸に対して垂直にかかるラジアル荷重と、軸方向にかかるスラスト荷重に分かれます。ベルトやギヤで駆動する回転軸はラジアル荷重が主体、垂直に立てた回転テーブルなどはスラスト荷重が主体になります。どちらもかかる場合は、両方を受けられる形式を選びます。
| 形式 | 転動体 | 得意な荷重 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 深溝玉軸受 | 玉 | ラジアル中心(スラストも少量可) | 汎用モータ、搬送ローラ、一般機械 |
| アンギュラ玉軸受 | 玉 | ラジアル+一方向スラスト | 工作機械主軸、ボールねじ支持 |
| 円筒ころ軸受 | 円筒ころ | ラジアル(大) | 減速機、圧延機、大型モータ |
| 円すいころ軸受 | 円すいころ | ラジアル+一方向スラスト(大) | 車軸、産業機械の軸支持 |
| 自動調心玉軸受 | 玉(複列) | ラジアル(芯ずれ吸収) | 軸のたわみ・据付誤差が出る箇所 |
| スラスト玉軸受 | 玉 | スラストのみ | 回転テーブル、旋回部 |
形式が決まったら、次に効いてくるのが軸・ハウジング側の寸法指定です。軸受そのものは規格品でも、はめ合う相手の公差をどう指定するかで結果は大きく変わります。この考え方は寸法公差の基礎と地続きです。
はめあいとは、軸と穴のように組み合わせる2つの部品の、寸法公差どうしの関係のことです。
寸法公差・はめあいとは|種類・記号・図面の読み方と選び方を図解で解説【2026年版】
ベアリングの型番(呼び番号)はどう読む?
呼び番号は、軸受の形式・主要寸法・内部すきま・精度などの仕様を表す記号列で、JIS B 1513(転がり軸受-呼び番号)で規定されています。基本番号と補助記号で構成され、主要寸法そのものは JIS B 1512(転がり軸受の主要寸法)に対応しています(出典: ジェイテクト「ベアリングの基礎知識-呼び番号」)。
もっとも普及している「6203ZZ」を分解すると、6=単列深溝玉軸受、2=直径系列(同じ内径でも外径・幅が変わる系列)、03=内径番号、ZZ=両側シールド付き、となります。内径番号は 00=10mm、01=12mm、02=15mm、03=17mm と決まっており、04〜96 は「番号×5」がそのまま内径mmです(例:08 なら 40mm)。
型番の先頭の記号で、軸受の形式はどう見分ける?
型番の先頭の数字・英字は「軸受系列記号」と呼ばれ、形式と寸法系列をまとめて表します。現品の刻印や図面の部品表を見たら、まず先頭がどの系列かを確かめると形式が絞れます。
| 型番の先頭(軸受系列記号の例) | 軸受の形式 | 型番の例 |
|---|---|---|
| 60・62・63・64、68・69 | 単列深溝玉軸受 | 6203、6005 |
| 70・72・73 | 単列アンギュラ玉軸受 | 7205 |
| 12・13・22・23 | 自動調心玉軸受 | 1206 |
| NU・NJ・N(+2・3・22 など) | 単列円筒ころ軸受 | NU210 |
| 302・303・320・322 など | 円すいころ軸受 | 30205 |
| 222・223・230・231 など | 自動調心ころ軸受 | 22210 |
| 511・512・513 | 単式スラスト玉軸受 | 51105 |
| NA48・NA49 | 針状ころ軸受 | NA4905 |
内径番号と内径の寸法はどう対応する?
系列記号の後ろの2桁が内径番号です。ジェイテクトの解説は、この規則を「内径番号04~96の範囲では、内径番号を5倍すると呼び内径寸法(mm)となる」と定めています(出典: ジェイテクト「呼び番号」表6-2)。00〜03 だけは5倍の規則に従わないため、覚えておく必要があります。
| 内径番号 | 呼び内径 | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| 1〜9(1桁) | 1〜9mm | 番号がそのまま内径(小径軸受) |
| 00/01/02/03 | 10/12/15/17mm | 5倍の規則に従わない4つ |
| 04〜96 | 番号×5(20〜480mm) | 例:04=20mm、08=40mm、20=100mm |
| /22・/28・/32 | 22・28・32mm | 5の倍数でない内径は「/」の後に内径を直接書く |
| /500 以上 | 500mm以上 | 例:/500=500mm、/530=530mm |
型番の末尾の補助記号は何を表す?
末尾の補助記号のうち、実務で判断が分かれやすいのが内部すきま記号です。C3 は普通すきまより大きいすきまを持つ指定で、温度上昇によって内輪が膨張し、すきまが減る使い方(モータや高温環境)で選ばれます。逆にすきまを詰めすぎると、運転中に予圧が過大になって発熱・焼き付きにつながります。
| 補助記号の種類 | 記号の例 | 意味 |
|---|---|---|
| シールド(非接触) | Z/ZZ | 片側/両側シールド |
| 接触形シール | RS/2RS | 片側/両側シール |
| 内部すきま | C2/CN(無表示)/C3/C4 | 普通すきまより小/普通/大/C3より大 |
| 公差等級 | 無表示/P5/P4/P2 | 0級(普通)/5級/4級/2級(数字が小さいほど高精度) |
| 組合せ(アンギュラ) | DB/DF/DT | 背面/正面/並列組合せ |
注意したいのは、補助記号がすべて規格で統一されているわけではない点です。ジェイテクト自身が「JTEKTでは JIS以外の補助記号も用いている」と明記しているとおり、シール記号などはメーカーごとに呼び方が違います。他社品に置き換えるときは、記号の文字列ではなく記号が表す仕様(シールの形式・すきま・精度)で照合します。
ベアリングはなぜ「はめあい」で寿命が変わるのか?
軸受が早期に壊れる原因の多くは、軸受そのものの品質ではなく、軸とハウジングのはめあい指定の誤りにあります。原則はシンプルで、荷重に対して回転している側をしまりばめ、静止している側をすきまばめにします。
一般的なモータのように内輪が軸と一緒に回り、荷重の向きが変わらない場合、内輪は荷重を受ける位置が次々に変わる「回転荷重」を受けます。この状態で軸がすきまばめだと、内輪が軸上で微少に滑り、クリープと呼ばれる摩耗が起きます。そのため軸側は k5・m5 などのしまりばめ、静止側の外輪が入るハウジングは H7・J7 などのすきまばめを指定するのが定石です。
もう一点、軸受の性能を支えているのが材料と熱処理です。転がり軸受の軌道輪・転動体には高炭素クロム軸受鋼(JIS G 4805 の SUJ2 など)が広く使われ、焼入れ・焼戻しによって高い硬さと転がり疲れ強さを両立させています。図面上の硬さ指示が何を意味するかは、硬さの基礎と合わせて理解しておくと判断が早くなります。
硬さは「圧子を押し付けたときのへこみにくさ」を表す指標で、試験方式ごとに 圧子の形 と 測る量 が違うだけです
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硬さの狙い値は熱処理条件とセットで決まります。軸受まわりの部品(軸・スリーブなど)に硬さを指示する場合も、条件がどこに定義されているかを部署間で共有できているかが品質を左右します。
狙い値・試験方式・熱処理条件がどこに定義されているかを部署で共有できているかが品質のカギです
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型番の読み方だけで交換品を手配するのが向かないのは、どんなとき?
型番が読めれば多くの交換品は手配できますが、次の条件に当てはまるときは、基本番号(例:6203)だけで発注すると別仕様の軸受が届きます。先に確認することを済ませてから手配してください。
| 当てはまる条件 | 型番だけでは足りない理由 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| すきま・精度の記号(C3、P5 など)が付いている | 基本番号が同じでも運転中の発熱や回転精度が変わる | 補助記号を末尾まで全桁写して発注する |
| 他社品に置き換える | シール記号などはメーカー独自で、文字列が一致しない | シール形式・すきま・精度を仕様で照合する |
| アンギュラ玉軸受を組み合わせて使っている(DB・DF・DT) | 単品で手配すると組合せ時の予圧が成立しない | 組合せ記号と予圧記号を含めて組単位で手配する |
| 刻印が摩耗して読めない、または図面と現品が違う | どちらが正しいか分からないまま発注すると再発する | 内径・外径・幅を実測し、図面の改訂履歴と照合する |
| 高温・食品・クリーンなど特殊な環境で使う | 保持器材料・グリース・熱処理の指定が別記号で入る | 使用環境を発注仕様に書き、メーカーに適合を確認する |
現場でよくある失敗と、その対策
軸受の不具合は、選定ミスよりも「取り付け」と「指定漏れ」に起因するものが目立ちます。代表的なものを挙げます。
- 圧入時に反対側の輪を叩いてしまう:圧入荷重が転動体を通って伝わり、軌道面に打痕が残ります。内輪を圧入するときは内輪だけに、外輪を圧入するときは外輪だけに力をかけます。
- 両端を固定してしまう:軸が熱膨張する機械で両端の外輪を固定すると、軸方向に逃げ場がなくなり異常な予圧がかかります。片側を固定側、もう片側を自由側にするのが基本です。
- グリースの詰めすぎ:空間いっぱいに充填すると撹拌抵抗で発熱します。一般的には空間容積の3分の1から2分の1程度が目安です。
- すきま記号の指定漏れ:温度上昇のある用途で普通すきまのまま発注し、運転中にすきまが消える。用途と温度条件を発注仕様に含めます。
- 図面に軸・ハウジングの公差記号がない:軸受は規格品でも、相手側の公差は設計側が決めるべき情報です。
自己診断チェックリスト
- その軸受にかかる荷重の向き(ラジアル/スラスト)を、図面か計算で説明できますか。
- 軸とハウジングの公差記号(例:k5/H7)が図面に明記されていますか。
- 固定側・自由側のどちらにするかが、組立図で読み取れますか。
- 運転時の温度上昇を見込んだ内部すきま(普通すきま/C3など)を指定していますか。
- 交換時の型番・数量・入手先が、保全側の資料に紐づいていますか。
このチェックリストで詰まるとすれば、多くは「情報がどこかにはあるが、必要な人がすぐ引けない」状態です。軸受の型番と補助記号、公差の決定理由、過去の不具合履歴が古い図面フォルダや紙の部品表に散っていると、交換のたびに現品を外して刻印を読み直すことになります。軸受の情報を確実に引き継ぐ近道は、その軸受が載っている過去図面をすぐに探し出せる状態にしておくことです。
紙とPDFの過去図面をAIで検索できる「図面バンク」の仕組みを見る →
FAQ(よくある質問)
6203と6003は何が違うのですか?
内径はどちらも17mmで同じですが、直径系列が違います。6203は系列2、6003は系列0で、6003のほうが外径と幅が小さくなります。取り付けスペースが限られる場合は系列の小さいものを、荷重が大きい場合は系列の大きいものを選びます。
ZZと2RSはどちらを選ぶべきですか?
ZZは鋼板シールドで非接触のため回転抵抗が小さく、高速回転に向きます。2RSはゴムの接触シールで密封性が高く、粉じんや水滴のある環境に向きます。回転数を優先するならZZ、異物侵入を防ぎたいなら2RSが目安です。
C3すきまはいつ指定すればよいですか?
運転中に内輪の温度が外輪より高くなり、内部すきまが減る用途で選びます。電動機や高温環境の搬送設備などが該当します。常温で低速、かつ高い回転精度が必要な用途では、普通すきまのままにするのが一般的です。
ベアリングの寿命はどう見積もりますか?
転がり疲れによる基本定格寿命は、軸受メーカーのカタログに載っている基本動定格荷重と、実際にかかる荷重・回転数から計算します。ただし実機の寿命は潤滑・異物・取り付け精度の影響を強く受けるため、計算値はあくまで比較の基準として扱い、実際の交換周期は保全記録から決めるのが現実的です。
基本番号が同じなら、別メーカーの軸受に置き換えてもよいですか?
主要寸法は JIS B 1512 で揃っているため取り付けはできますが、補助記号まで照合してから置き換えます。シール記号などはメーカー独自のものがあるため、記号の文字列ではなく、シールの形式・内部すきま・精度等級という仕様で一致を確認します。
内径番号が「/22」のようにスラッシュ付きなのはなぜですか?
22mm・28mm・32mm のように5の倍数でない内径と、500mm以上の内径は、内径番号の5倍の規則で表せないためです。この場合は「/」の後ろに内径の寸法をそのまま書きます。たとえば「62/22」は内径22mmの深溝玉軸受です。
まとめ
ベアリングは規格品なので、型番さえ読めれば選定の8割は形式と寸法で決まります。残りの2割を左右するのが、はめあい・内部すきま・取り付け方という、図面と現場の間にある情報です。型番の読み方を共通言語にできると、設計と調達と保全の会話が一段速くなります。
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出典
- ジェイテクト「ベアリングの基礎知識-呼び番号」(表6-1 軸受系列記号/表6-2 呼び番号の構成。2026年10月1日閲覧) https://koyo.jtekt.co.jp/support/bearing-knowledge/6-3000.html
- JIS B 1513「転がり軸受-呼び番号」/JIS B 1512「転がり軸受の主要寸法」
- JIS G 4805「高炭素クロム軸受鋼鋼材」










